「気になる10代名鑑」の753人目は向山遥温さん(19)。地域の困りごとを解決するプラットフォームを立ち上げ、助け合いのまちづくりに取り組んでいます。カフェの経営からラップまで、幅広く活動する向山遥温さんの、活動のきっかけや今後の展望について聞いてみました。
向山遥温を知る5つの質問
Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?
「『NPO法人 夢ノ森伴走者CUE』を立ち上げ、兵庫県姫路市夢前町で『困ったときはお互いさま』をモットーにした、助け合いのまちづくりをしています。
例えば、地域の方と若者が協力して、荒れた里山を整備するイベントを開催したり、老人ホームの一角を借りて、お年寄りの方と地域の若者を繋げることで困りごとを解決する『Caféむすびめ』を経営したりしています。解決してほしい問題や相談を自作の『ライフノート』に書いて、それを読んだ人が自分の特技を活かして解決するという取り組みもおこなっています。
お金という価値ではなく、世代を超えた人同士がつながることで生まれる“思い出”という価値を生み出すことで、いつでも戻って来られるあたたかい町をつくりたいです」
Q2. 活動を始めたきっかけは?
「地元の方から、里山についての悩みを聞いたことが大きなきっかけです。高齢化で整備ができず、だんだん荒れてしまっていて。それによって、水脈が変わって家が浸水してしまったり、生態系が崩れたりしてしまっているんです。
そこで、地域のみんなで、先代から受け継がれてきた里山を整備して、その空間や出会いに新たな価値を生み出せないかと考えました。
地元の人に話を聞くうちに、里山以外にも困りごとや相談がたくさんあることがわかったので、解決の場としてのカフェ運営も始めました。大きな社会課題から、携帯の使い方のような小さい相談まで、内容はさまざまです」
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Q3. 活動にあたってのファーストアクションは?
「姫路市役所に電話をかけたことです。SDGsの取り組みについて話を聞くために電話をかけたら、『そこまでする高校生はいままでいなかった』と、職員の方がとても丁寧に対応してくださって。
この電話をきっかけに、職員さんのサポートで、里山の整備やカフェでの拠点作りの話がどんどん進んでいき、NPO法人の立ち上げまですることができたんです。周囲の人がやっていなくても、辛抱強く、気になったことに対して全力で行動することで、想像していなかった出会いや出来事にめぐり会えると思っています」
Q4. 最近、新しく始めた挑戦はありますか?
「いま、ラップにハマっています。
もともとラップ自体にまったく興味はなかったんですが、高校時代に後輩から『環境問題ってつまんないですよね』と言われて、どうにかして楽しさを伝えたいって思って。すぐに始められて、社会活動の楽しさを伝えられる方法を探しているうちに、ラップに辿り着きました。
5分あれば思いを伝えられるところや、独学でも始められるところが、ラップの魅力です」
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Q5. 将来の展望は?
「将来は、夢前町を舞台に、絆や思い出を育むためのイベントの開催や、整備して一般開放した里山にビオトープをつくって、世代を超えて受け継ぎたくなる、里山のロールモデルを形成していけたらいいなと思っています。
いまを生きる人が笑顔でいられて、次世代の人も引き継いでいきたいと思える自然があることが、自分自身の平和の定義なんです。その先導者として、大切な人や地域の『助けて』という声に答え続ける『おたすけまん』として活動を続けていきます!」
向山遥温のプロフィール
年齢:19歳
出身地:兵庫県姫路市夢前町
所属:特定非営利活動法人夢ノ森伴走者CUE 代表、兵庫県環境審議会公募委員、GEOC次世代メンバー
趣味:大切な人と一緒にやること全般
特技:ラップ、水泳
大切にしている言葉:私が勝ち得た富は、死ぬときに一緒に持っていけるものではない。私が持っていけるものは、愛情にあふれた思い出だけだ。これこそが本当の豊かさであり、あなたとずっと一緒にいてくれるもの、あなたに力を与えてくれるもの、あなたの道を照らしてくれるものだ。(『スティーブ・ジョブズ 最後の言葉』より)
向山遥温のSNS
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Photo:Eri Miura
Text:Mizuki Maeda