世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、新しい発想の新卒向けダイレクトリクルーティングサービス『ABABA』を開発したスタートアップ企業についてご紹介します。
6月1日時点で内定率が8割超え。2024年の就活事情
6月1日より、新卒採用における採用選考が解禁となりました。企業によって選考の回数はまちまちですが、6月下旬を迎え、SNS上などでは、内々定を手にした学生の声が目立つようになってきました。
大手人材会社の株式会社リクルートが運営する「就職みらい研究所」の調査によると、6月1日時点における就職内定率は82.4%と、卒業・修了年度の6月1日が選考解禁日となった2017年卒以降、最も高い水準となっています。
近年の新卒採用は、国内における慢性的な人手不足を背景に、企業間での競争が激化しています。それゆえ、政府が要請を出している新卒採用のルールがあるにもかかわらず、就職活動のスケジュールは年々早期化が進んでおり、今年は特に、早いスピードで採用活動が進んでいるようです。
最終選考での“お祈り”が起死回生の一手に!
“売り手市場”であることが顕著に表れた、2024年の“シューカツ事情”ですが、強く志望している企業から「最終面接で不採用の通知が来てしまった」という経験をしたという学生が多いのも事実。
不採用を知らせる文面の末尾に、「今後のご活躍をお祈り申し上げます。」という表現がよく使われることから、いつしか「お祈りメール」と呼ばれるようになった不採用通知。このお祈りメールを、未来の就職先と自分をつなぐ“起死回生の一手”にしてくれるサービスがあります。
2020年10月に創立されたスタートアップ企業が開発・提供する、新卒向けダイレクトリクルーティングサービス『ABABA』。最終面接で惜しくも不採用となってしまった学生が登録すると、これまでの就活の過程が評価されて、書類選考や一次面接が免除といった優遇された選考フローでのスカウトを受け取ることができます。
【お祈りメールを他社への推薦に変える「ABABA」リリース】
😭 (学生)面接落ちちゃった…。めちゃ頑張ったのに…。
😢 (人事)いい学生だったけど採用できなかったな。ABABAは自社で採用できなかった学生を企業間で推薦しあい、応援できるサービスです!#就活落ちたらABABA pic.twitter.com/C5SuAX6e36
— 久保 駿貴@ABABA CEO (@kubo_shunki) November 2, 2020
企業にとっても、他社の選考で一定の評価を受けたポテンシャルのある就活生に絞ったアプローチができるため、就活市場全体に向けた採用活動をおこなうよりも、マッチングに結びつきやすく、採用を効率化することができます。
さらに『ABABA』では、不採用通知を出す企業が学生を推薦できる「お祈りエール」という仕組みも導入。これにより、学生が不採用通知に対して抱く印象をやわらげることができ、せっかく採用選考を通じて自社のファンになってくれたり、もともと好印象を抱いていたりする学生が、心理的に離れていってしまうことを防ぐことができます。
そして、お祈りエールを送った学生とは、いずれ中途採用で自社の選考を受けてくれるかもしれない予備軍として関係値を構築できるため、学生と企業の双方にとって、大きなメリットのあるサービスとなっているのです。
友人の就職活動から着想を得て起業
このサービスを立ち上げたのは、株式会社ABABAのCEO・久保駿貴さんです。
【MC初挑戦!!🔥🔥】
今日は #セトフラ 投稿!
「教えて!くぼしゅん」特別編ということで、世界の子どもたちが自由に未来を描けるようアフリカと日本を繋ぐ23歳 山田果凛さんの挑戦を追いました!盛りだくさんの40分です!
初MCの姿も含め是非ご覧ください!
https://t.co/oVpQbcg9jj pic.twitter.com/0lHC974LEm— 久保 駿貴@ABABA CEO (@kubo_shunki) June 12, 2024
岡山大学で学生生活を送っていた久保さんは、3年次に観光サービスやクラウドファンディングサービスなどを構想し、事業化に挑んでいた起業家タイプの学生でした。大学4年生のころ、仲の良い友人が就職活動で最終面接に落ちて、ひどく落ち込んでしまった姿を見て、「最終面接にまで行けたことを評価してくれるサービスがあれば」「最終面接の不採用を告げるたった一通のメールで、学生と企業の縁が完全に切れてしまうのを防ぐサービスをつくれないか」と考えたことで、『ABABA』を思いついたそうです。
いまでこそ、1,100社の企業と45,000人の就活生が利用する巨大なサービスへと成長していますが、創業当初は、SNSを活用した地道な営業活動をおこなっていたという久保さん。これからの夢は、不採用通知が就活生と企業の新たな縁をつなぐ「お祈りエール」を日本の文化にしていくことだといいます。久保さんは、お祈りエールが国内の文化として定着すれば、企業も就活生も、誰も不幸にならないサーキュラーシステムができあがると考えています。
いずれは会社を1兆円企業にし、グローバルで戦える企業を目指していきたいと語る久保さん。今年3月には資金調達も実現し、株式会社ABABAを応援する企業は着実に増えています。
Text:Teruko Ichioka