「気になる10代名鑑」の706人目は、高橋由衣さん(16)。公民館を活用して、子ども食堂や学びの場といった、コミュニケーションが生まれる場所をつくる活動をしています。「ふらっと立ち寄って何でも話せる、家や学校じゃない空間をつくりたい」という思いから活動を始めたという高橋さんに、これまでに印象的だった出来事や今後の展望について、聞いてみました。
高橋由衣を知る5つの質問
Q1. いま、力を入れて取り組んでいることは?
「地域のつながりの輪を広げたいという思いで活動している『かずさサスティナブルリンク』の活動です。この団体は『地域のつながりを再発明する』をコンセプトにしていて、子どもたちからお年寄りまで、地域の方々が集まれる居場所づくりをしています。
具体的には、公民館の一室をお借りして、学生が勉強を教え合ったり、趣味を通してみんなで交流したりする場所を提供したり、誰でも来られる子ども食堂を開催したりしています。いろいろな世代の人が『来てよかった』と思ってもらえる、つながりの輪が広がるような場所にしたいと思っています」
Q2. 活動を始めたきっかけは?
「高校に入学したとき、新しい人間関係や友達をつくることに不安を感じていて。家や学校じゃない場所に、ふらっと立ち寄って、なんでも話せる空間があれば、頑張って明日を迎えられるかなって思うようになったんです。
そんなとき、近くに地元の高校生が集まる場があることを知ったんです。自分と違う価値観や考え方をもった人たちと話していると、不思議と不安やストレスが解消されていく感じがしました。自分の住んでいる地域にもこんな場所があれば、『今日もここに帰ってきてよかった』って思えるような地元になるんじゃないかなって考えるようになったんです。
ちょうど、公民館の在り方についても考えていて。誰もが知っている場所だし、子どものころはよく行っていたけど、大人になるうちに離れていく気がしていて。そんな公民館で、地域のつながりをつくれたいいなと思って、活動を始めました」
Q3. 活動をしている中で、印象的だった出来事は?
「最初に企画した子ども食堂で、用意した40食が完売したことです。
『かずさサスティナブルリンク』を立ち上げて、まずは子ども食堂を始めるために、公民館をお借りしたんです。チラシをつくって、それを配って、回覧板に載せてもらったり、近所の方に声をかけたりました。そうしたら、大勢の方が協力してくれて。とてもうれしかったです。
2回目も70食が完売しました。いろんな世代の方が集まってくれて、そこでコミュニケーションも生まれて。やっぱり地域のつながりって大切だなって、改めて気が付く機会になりました」
Q4. 活動するうえで、大切にしていることは?
「自分の理想ばかりを押し付けるのではなく、相手の話をしっかり聞くようにしています。いろんな世代の方と関わるからこそ、考えていることは違うし、本当に求めていることは何だろうと想像することがすごく大切だと思っていて。選択肢を広げながら、多くの提案ができるようになりたいです。
この前も、ある高校生が『この辺は街頭がなくて、夜が真っ暗だから、帰り道が怖い』と話をしていたことから、自転車通学している人に『COBライト』という、すごく明るいライトを配布することにしたんです。この地域をもっともっといいところにするために、こういうところで困っている、こういうところが不安ということを、少しずつ解決していきたいと思っています」
Q5. 将来の展望は?
「地域の公民館が、つながりを生む温かい場所になる、そう思ってもらえるような活動を、もっともっと広めていきたいです。
いろいろな世代の方と食事をしたり、何かを学んだり、ただお話ししたり。公民館がそういうことができる場所になれば、毎日が少しだけ安心できたり、居心地の良さを感じられると思うんです。わたしたち学生も、学校と家の往復の中で、寂しさや息苦しさを感じたときに、『ここに帰ってきてもいいよ』って言ってもらえるような居場所が、もっともっと増えてほしいと思っていて。
これから、全国にある公民館が、住んでいる方々の憩いの場になるような活動を続けていきたいです」
高橋由衣のプロフィール
年齢:16歳
出身地:千葉県君津市
所属:千葉県立君津高等学校、かずさサスティナブルリンク
趣味:寝ること
特技:筝
大切している言葉:やらないで後悔するよりやって後悔したほうがいい
Photo:Nanako Araie
Text:Serina Hirano