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自分たちが暮らす街が消滅する?日本各地に存在する「消滅可能性都市」の現状【Steenz Breaking News】

自分たちが暮らす街が消滅する?日本各地に存在する「消滅可能性都市」の現状【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、10年ぶりに発表された「消滅可能性都市」についてご紹介します。

人口戦略会議が消滅可能性都市を発表

少子高齢化や地方の人口減少など、さまざまな問題を抱えている日本の社会。最近、驚くべき調査結果が発表され、注目を集めました。民間の有識者たちによってつくられた「人口戦略会議」による「消滅可能性都市」についての調査です。なんと、国内に744もの自治体が該当し、そのうち新たに加わった自治体は99もあります。

「消滅可能性都市」とは、「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」をもとに、若年女性の人口が2020年から2050年の間に、50%を下回る可能性のある自治体を指すもの。若年女性の人口減少が、出生率に深く関係していることから、この点に着目して分析がおこなわれました。ちなみに10年前の前回は、896の自治体が消滅可能性都市に該当しています。

数字だけを見ると、「前回より数が減っているから、回復傾向にあるんじゃないの?」と思った人もいるかもしれません。確かに自治体数自体は減っていますが、それは前回調査よりも、外国人の入国超過数(外国人の住民)が増加したことであるため、日本の少子化傾向は解決しておらず、注意が必要なのです。

消滅可能性都市から脱却した豊島区

消滅可能性都市に99の自治体が新たに加わったとはいえ、改善策を考えて実行して状況が改善した自治体が、239にものぼります。

例えば前回、東京23区内で唯一、消滅可能性都市に選ばれた豊島区。一大商業地である池袋があるにもかかわらず、リスト入りしたことで話題になりました。そんな豊島区が対策として行ったのが、「女性にやさしいまちづくり」です。

実際、豊島区に暮らす20~30代の女性に話を聞いて、対策を実施。「女性にやさしいまちづくり担当課(現在は、SDGs未来都市推進課へ統合)」を設立したり、待機児童を解消するために保育園の誘致に力を入れたりと、さまざまな取り組みを行いました。さらに令和5年9月以降から、区立の小・中学校に在籍する児童や生徒の給食無償化も導入しています。

こうした取り組みの成果もあり、豊島区に暮らす若年女性の人口は増加。国勢調査をもとにつくられた「日本の地域別将来推計人口(平成30年推計)」でも、大幅な改善が見られました。ただし、消滅可能性都市からは脱却したものの、他地域からの人口流入に依存しているため、出生率という面では、引き続き改善が必要とされています。

また豊島区と同様に、注目したいのが島根県です。なんと、12の市町村が消滅可能性都市から脱却しており、都道府県単位では、日本でいちばん改善されたといえそう。

なぜ、こんなにも改善したかというと、「合計特殊出生率」が関係しているとのこと。島根県では、出生率増加にむけた「しまねっ子すくすくプラン」などを実施したことで、現在は全国2位を誇っています。島根県の事例を見ると、やはり出生率の影響が大きいことがわかりますね。

消滅可能性都市にはさまざまな問題が関係している

消滅可能性都市の問題は、人口以外にも、子育て環境や職の多様性など、さまざまな問題が関係しています。そのため、政府と自治体が問題を正しく把握し、対策を決めることが改善するためのカギとなるでしょう。そして、豊島区のように、住民のリアルな声を聴く場を設けることも大切です。

10代のうちにできることは少ないかもしれませんが、まずは日本が置かれている現状を知ることから始めてみましょう。もし、自分が暮らす自治体がリストに掲載されているのであれば、どういった点が問題となっているのか、それに対してどのような取り組みがおこなわれているのかなどを、調べてみるのも良いかもしれないですね。

Reference:
令和6年・地方自治体「持続可能性」分析レポート ―新たな地域別将来推計人口から分かる自治体の実情と課題―|人口戦略会議
島根 消滅脱却全国1位|山陰中央新報デジタル

Text:Yuki Tsuruda

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Yuki Tsuruda

ライター

鹿児島県在住のフリーライター。販売職や事務職を経験後、2020年5月からフリーランスのライターへ。執筆ジャンルは、ものづくりやSDGsなど。

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