Steenz Breaking News

ブロッコリーも仲間入り!「指定野菜」っていったい誰が何を指定しているの?【Steenz Breaking News】

ブロッコリーも仲間入り!「指定野菜」っていったい誰が何を指定しているの?【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、「指定野菜」についてご紹介します。

みんな大好きブロッコリーが「指定野菜」になったのってなぜ?

春めいてきて、もりもりと野菜を食べたいシーズンになりました。最近、食べたサラダには何が入っていたでしょうか。レタスにトマト、きゅうり、そして栄養たっぷりのブロッコリーも入っていたかもしれません。

実はレタス、トマト、きゅうりというのは夏の野菜です。そしてブロッコリーは冬の野菜。自然に任せていれば、いまの時期に食べられる野菜ではありません。そこで登場するのが「指定野菜」や「特定野菜」といった制度。2024年1月に「ブロッコリーが指定野菜に追加。指定野菜が増えるのは50年ぶり」といった報道がされたので、聞き覚えがある人もいあるかもしれません。

それではこの「指定野菜に追加される」というのは、いったいどういうことなのか、見ていきましょう。

野菜は植物なので、栽培には気候が大きく関わります。夏の野菜は春から夏の気温に適し、冬の野菜は晩夏から冬の気温に適しています。しかし、普段から慣れ親しんでいる野菜がその時期にしか食べられないとなると、困ってしまいますよね。ただ単純に「食べたいから」という理由だけでなく、こうした野菜は、日々のビタミンやミネラルの供給源でもあります。安定的に生産地から供給されなければ、健康的な暮らしにも影響が出そうです。

そこで1966年、普段よく食べられている野菜の量・価格を安定的に供給できるようにする「野菜生産出荷安定法」が制定・施行されました。その法律に基づいた制度が「指定野菜」です。これまでに、キャベツ、きゅうり、さといも、だいこん、トマト、なす、にんじん、ねぎ、白菜、ピーマン、レタス、たまねぎ、ジャガイモ、ほうれんそうの14種類が指定されています。そしてここに、2026年からブロッコリーが追加になるというのが、冒頭のニュースだったわけです。

ブロッコリーはもともと、「特定野菜」という区分になっていました。「特定野菜」は「指定野菜」に準ずる野菜として、ブロッコリー以外にも、かぼちゃ、こまつな、生しいたけなど、35品目が定められています。この特定野菜の制度も、安定供給のために定められたものです。

そして近年、ブロッコリーの人気が高く、消費量も増え続けているため、手に入らなくなると国民への影響が大きいと農林水産省が判断。「指定野菜」へと区分を変えたわけです。かつては冬の野菜として、11月から3月ごろまでしか採れなかったブロッコリーですが、品種改良によって、少し暖かな季節でも栽培できるようになったり、氷漬けにして鮮度を保持したまま輸送する仕組みができたりしたことも、生産量と消費量を押し上げる要因になっているようです。

安定供給の仕組みとは?

指定野菜は、その種類ごとに1年間の需要と供給の見通しが、国によって発表されています。それに基づいて、登録出荷団体が品目ごとに産地をまとめ、ある程度の量を出荷できるように、仕組み化しています。こうすることで出荷する設備が整ったり、まとまった輸送が実現したりできるようになるので、価格を抑えることができます。

また、国は指定野菜になった野菜については、価格が基準以上に低落した場合に、補助金を交付することになっています。野菜の生産には時間がかかり、売り場の価格を見てから生産数を変えることはできません。なので、豊作などの理由で価格が下がる場合には、国が価格を一定程度保証することになっているのです。そうしないと価格が上下するリスクが農業を直撃してしまい、だんだんと農業から人が離れ、安定的に供給できなくなるという理論です。

さらに登録出荷団体は、産地の指定を少しずつ地域をずらしておこなっています。南北に長い日本だからこそ、旬の時期がずれるのを利用して、産地を変えていく産地リレーをおこなっています。

例えばいまの時期、東京周辺のスーパーには、鹿児島産の新ジャガイモが並んでいます。その後、5~6月には関東近郊産が、また7~8月には北海道産と、順次、産地が変わっていくのです。ジャガイモは適温ならば貯蔵が可能なので、秋以降は貯蔵されていたジャガイモを買うことができるというわけです。

ブロッコリーの場合、東京周辺であれば冬には千葉・埼玉だった産地が群馬や茨城へと移り、夏には長野や福島など冷涼な気候の産地に移っていっています。

季節が変わる様子は売り場でわかる

わたしたちが食べ慣れていて、食卓にも欠かせない野菜が安定的に手に入るように調整するための制度である「指定野菜」と「特定野菜」。野菜は産地表示が義務付けられているので、スーパーでPOPや値札を見れば、どこで栽培された野菜なのかがわかるようになっています。「いつも同じ野菜が並んでいて、旬を感じにくくなった」という意見もありますが、産地が移り変わる様子を見ることで、確かに季節の移ろいが感じられるのです。これからは値段だけでなく、産地情報も見てみるようにしましょう。

References:農林水産省「野菜生産出荷安定法」

TextItsuki Tanaka

SNS Share

Twitter

Facebook

LINE

Itsuki Tanaka

ライター

フリーランスのライター。食、農、環境領域 /博物館好き/コーヒー、アイス、チョコも好き。

View More