「気になる10代名鑑」の552人目は、キーナハン・ローシンさん(18)。幼いころから惹かれていたファッションへの道に進むべく、今年から服飾の専門学校に通い、学内のコンテストにも挑戦しました。世界的ブランド「ディオール」の価値観に共鳴しているというローシンさんに、活動にかけている想いや今後の展望を聞きました。
キーナハン・ローシンの活動を知る5つの質問
Q1. いま、力を入れている活動は?
「服飾の専門学校に通っていて、日々、服をデザインして制作しています。限られた時間の中でいかにいいものをつくるかという課題は大変ですが、頑張って食らいついています。
最近では、未熟ながらも、学内のデザイン画コンテストに応募して、選出していただきました。文化祭でのファッションショーでのお披露目に向けて、高校のころからデザイン部で一緒に活動していた小林小春たちとチームを組んで、このデザイン画をもとにした制作に挑戦しています。
薔薇をひとつひとつ手縫いするという地道な作業が続いていて、終わるかどうか不安だけど、チームで支え合って完成させて、それをみんなで喜びたいです」
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Q2. 活動を始めたきっかけはなんですか?
「昔から素敵な服が好きで、ファッションに何かしら関わりたいと思っていました。でも当時は、絵を描くのがあんまり得意ではなくて……。デザイン画を描くのは好きだけどスキルもないし、ファッションは趣味として関わるのかなって、漠然と思っていたんです。でも下手ながらデザイン画の練習を続けたり、小春が描いたデザイン画にすごく感動して『自分も描いて作ってみたい!』とデザイン部に入部したり……。
転機になったのは兄のひと言。高校2年生のとき、デザイン部で使う布の話をしていたとき、すごくイキイキしていたみたいで、『ファッションが好きなんじゃないの?』という言葉をかけてくれました。そのひと言のおかげで、やっぱりファッションの道に行きたいという自分の気持ちを認められました」
Q3. 創作活動のテーマとなっていることはなんですか?
「『正反対の世界が共存することで生まれる新たな世界』というものを表現したいんです。
わたし自身、小さいころからおてんばで、ワイルドに見られることが多いけど、実は心はデリケートで……。周りから決めつけられて、そうじゃないのにな……と思うこともありました。みんなが見ている自分と、わたしだけが見えている自分、どっちかになるのも、妥協してその真ん中になるのも違うんじゃないかと思ったんです。どっちの自分もいるからこその自分なんだなって。
白と黒を混ぜてグレーが正解じゃなくて、白も黒もどっちもあっていいじゃん。そんな想いから、わたしがデザインする洋服は、コントラストがはっきりしているものやモノトーンが基調になっているものが多いです」
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Q4. これまでの活動のなかで、影響を受けているものは?
「ずっと憧れであり、いつかめざしたいと思っているブランドの『ディオール』です。戦時下で画一的なボックス型のシルエットばかりの服だった時代に、お花のように女性の曲線を美しく再現するファッションを提案したのがディオールで。
服って、着られないと意味がないと思っているんです。着た人が心地よく、ワクワクするなという気持ちをもって、初めてファッションが成立する気がするんです。
いまのファッションって、色や形、デザインに、新しさを追求しすぎているんじゃないかなって思うことがあります。デザイン性と、着たときの快適さやワクワク感を両立できるようなファッションを提案できるようになりたいです」
Q5. 今後、やってみたいことは?
「『ディオールと私』という、ラフ・シモンズがディオールのディレクターを務めているころのドキュメンタリーを観たとき、ファッションは、さまざまな個性が集まってみんなで完成させるもので、ひとりじゃ完結しないクリエーションだなということをすごく感じて。わたしもそのクリエーションに関わる一員になりたい。
そしていつかは、海外にも通用する自分のブランドを立ち上げたいなと思っています。カッコいい黒の中に、パールや宝石をあしらってかわいらしさも表現した、わたしらしいデザインを表現していきたいです」
キーナハン・ローシンのプロフィール
年齢:18歳
所属:文化服装学院高度専門士科
趣味:映画を見ること、本を読むこと、音楽を聴くこと、写真を撮ること
特技:マッサージ
大切にしている言葉:Everything happens for a reason.
キーナハン・ローシンのSNS
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Photo:Eri Miura
Text:Chihiro Bandome