世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、EUで進められている「グリーンウォッシュ」の規制強化についてご紹介します。
見せかけの環境配慮「グリーンウォッシュ」
「グリーンウォッシュ」とは、「エコ」や「環境にやさしい」とアピールして商品やサービスを提供しているにもかかわらず、実際は環境に配慮されていない状態のこと。エコなどをイメージさせる「グリーン」と、「ごまかし」を意味する「ホワイトウォッシュ」を合わせてつくられた造語です。
2019年にはファッションブランド「H&M」が、ノルウェー消費庁からグリーンウォッシュであるとの指摘を受けています。H&Mが行った環境に優しいファッションのキャンペーン「コンシャスコレクション」が、本当に環境に配慮されているかどうか、情報が不確かだという指摘でした。また、リサイクル素材を使ったTシャツが、製造工程で大量に水が使用されていることから、本当に環境に優しいアイテムなのかという疑問もあがりました。
EUがグリーンウォッシュの規制強化を発表
この「H&M」の事例に限らず、さまざまで企業や取り組みの中でも指摘されている「グリーンウォッシュ」。ついにその取り締まりがEUで始まります。
欧州議会と欧州理事会は、グリーンウォッシュ根絶に向け、「エコ」や「環境に優しい」など消費者に誤解を招く恐れのある広告やラベル表示を禁止することへの暫定的な合意に達しました。今回の合意内容は、11月の投票で通過すれば、法案化されるとのこと。法案が通れば「自然」「エコ」などの表示は、環境に配慮していることをしっかり証明できない限り、使うことができなくなります。
また欧州理事会は今年3月、環境に配慮されていることを実証するための最低条件として、第三者機関(正式に認定された独立機関)による裏付けと認証が必要だとしました。これに違反した企業などに対しては、罰則として罰金や公的資金の一時的な除外などが含まれる予定です。
EUだけじゃない!アジアでも進むグリーンウォッシュ対策
こうした動きは、環境問題に対してリーディング的な立場をとるヨーロッパだけでなく、世界にも広がっています。
韓国では2023年1月、環境に配慮しているとウソをついたり誇張した表現を行う企業に対して罰金を科す、「グリーンウォッシュ規制法案」を立案。違反すると最大で約31万円の罰金が課されます。この法案は、2023年度中に成立する見通しです。
また、アジア太平洋地域では、金融業界を中心に、グリーンウォッシュの規制強化を進めています。アジア投資家グループ(AIGCC)は2023年4月に「グリーンウォッシングとそれを回避する方法:アジアの金融業界の入門ガイド」を公開。グリーンウォッシュの概要や規制、グリーンウォッシュへの対策方法などがまとめられています。
一方、日本では、グリーンウォッシュに関する法律が現状では存在しません。
しかし2022年には「生分解性」と表示したカトラリーやストローを販売する2社に対し、合理的な根拠がなかったとして、消費者庁が行政処分を行いました。こうした動きから見ても、日本でも環境配慮の表示については、厳しく取り締まるようになっていると言えそうです。
その商品、もしかしたらグリーンウォッシュかも?
環境問題に関心がある10代は、「環境配慮」「エコ」などと書かれた商品に対して、意識的じゃなくても、ちょっとだけ魅力を感じたり、親近感を抱いたりすることが多いですよね。でも実際、その商品が本当にエコなのかを判断するのは、消費者としては難しいもの。
日ごろからそういった言葉を安易に信じすぎずに、疑ってみるのも大切です。今回のEUのように、グリーンウォッシュの規制がしっかり整えば、安心して商品を選べるはず。今後も、世界のグリーンウォッシュ対策に注目していきたいところです。
Reference:
Just Food「EU tables plans to tackle “greenwashing”」
AIGCC「グリーンウォッシングとそれを回避する方法: アジアの金融業界の入門ガイド」
消費者庁「カトラリー、ストロー、カップ等の販売事業者2社に対する景品表示法に基づく措置命令について」
Text:Tommy