「気になる10代名鑑」の494人目は、藤田星流さん(19)。中学生の校則を変えることができたという経験から、子どもの権利を守るために活動を始めました。いまは障がい者支援施設の運営にもチャレンジし、社会にインクルーシブな変革を起こし続ける藤田さんに、活動におけるモットーや新たなチャレンジについて聞いてみました。
藤田星流の活動を知る5つの質問
Q1. いま、取り組んでいる活動について教えてください。
「さまざまな子どもが、自身の権利を守りながら、社会に参加できるようにする活動を行っています。
具体的には、家庭環境や学校内での問題によって、学校に通えない子どもたちの勉強する権利を守るためのフリースクールを運営しています。高校を卒業してからは、障がい者支援の福祉施設を運営したり、障がいを持っている子どもたちに勉強を教えたりしています。中高は管弦楽部に入っていたのですが、その経験をもとに、音楽を通じた福祉にも取り組んでいて、障害児や未就学児向けの本格的なオーケストラコンサートの企画も構想しているんです」
この度、「文京区男女平等参画推進会議」の委員を委嘱いただくことになりました。10代での自治体審議会委員就任はまだまだ珍しいことだそうで、ありがたい限りです。
推進会議は早速来週から始まりますが、今後も様々な方の意見を賜りながら、若者目線から区政に働きかけていければと考えています。 pic.twitter.com/ljEWFaXywV
— Seiru Fujita (@sale_seiru) July 7, 2023
Q2. 活動を始めたきっかけは?
「大きなきっかけとなったのは、中高での保護者、生徒、教員が集まっておこなわれた、三者協議会です。
中3の公民の授業で、表現の自由について勉強しているときに、クラスメイトが言った『決められた制服を着なくちゃいけないのは、表現の自由の侵害なんじゃないか』という何気ない発言が引っかかって。そのとき、僕は三者協議会運営に関わっていて、制服の快適さや性的マイノリティへの配慮などのさまざまな観点から、「制服のあり方について」を議題として議論したところ、対話の末に服装の自由化につながったんです。
この経験から『子どもの権利を保障し、子どもの意見を聞き実現することは、難しいことじゃない』という気づきを得ることができ、校外にも活動の場を広げて活動するようになりました」
Q3. これまでの活動の中で、印象的な出会いはありますか?
「高校卒業したばかりの18歳で事業を起こすというチャレンジをしたのですが、なかなか協力を得られず、大変で……。
そんな中、高校生の時に知り合った愛知選出の国会議員の方が、僕の話に真剣に耳を傾けてくださったんです。他にも、政治の勉強をさせてもらったり、自分の事業が安定するまでは事務所でアルバイトさせてもらったりしていました。
はじめからまわりが敵だらけだと思いこまず、自分をさらけ出して対話を重ねることが、困難を一緒に突破してくれる協力者を集めることにつながるんだと実感しました」
本日のTBS「ひるおび!」でご紹介していただけたようで。
界隈ではボイテルスバッハ・コンセンサスが有名になりつつありますが、現場の先生方が取り組み易く、かつ確実に投票行動に結びつくような主権者教育の手法を今後も考え続ける必要があると思います。
(もちろん校則見直しもかなり効果的かと) pic.twitter.com/biNvpPnUt6
— Seiru Fujita (@sale_seiru) November 4, 2021
Q4. 活動の中で、常に意識していることはありますか?
「想像力です。それぞれが立たされている立場や過ごしてきたバックボーンは異なるものだということを忘れないようにしています。
僕自身、家庭の都合で、高校生の頃に一時保護施設に入っていた時期があります。この経験があったことによって、今までにはなかった問題意識も芽生えました。また、私が経営している施設でボランティアとして活動している福祉を学ぶ地元の学生からも、今までにはなかった価値観を共有してもらうことがよくあります。
子どものステークホルダーがそれぞれの経験を持ち寄って活動していくことを通じて、共感力を超えた想像力を養っていきたいです」
Q5. 今後、挑戦したいことを教えてください。
「いま取り組んでいる自分の事業もがんばりつつ、法律についてしっかり勉強して、法律の専門家の立場から子どもの権利の保障に携わっていきたいと考えています。法の視点を子どもの生きる現場に届け、子どもの可能性を広げるとともに、行政などの制度設計にも現場の視点から積極的に関わっていきたいと考えています」
藤田星流のプロフィール
年齢:19歳
出身地:東京都港区
所属:中央大学法学部1年、合同会社ばとん代表、株式会社ウェルネストコミュニケーションズ契約社員、一般社団法人日本若者協議会事務局員、文京区男女平等参画推進会議委員、文京区BBS会役員、北海道立高校ルールメイキングサポーター(試験導入)、NPO法人全国子どもアドボカシー協議会会員、子どもアドボカシー学会会員、日本シティズンシップ教育学会会員・設立賛同人、日本部活動学会会員、市民アドボカシー連盟賛助会員、日本シティズンシップ教育フォーラム会員、株式会社POTETO media政治部ZEXTメンバー、Vote at Chuo!!メンバー、学校内民主主義を考える検討会議座長、学校内民主主義の制度化を考える検討会議委員
趣味:旅行、音楽鑑賞、ドラマを見ること、映画鑑賞
大切にしている言葉:犀の角のようにただ独り歩め
藤田星流のSNS
先日、社会と向き合ってきた高校生4名と座談会を行い、その様子が15日発売の雑誌『情況(2021年夏号)』に掲載されています!
私は自校の生徒会活動の経験や、三者協議会研究を通じての考え、校則等に関する意見を述べています。
Amazonでも購入できるそうなので、もしよろしければ。 pic.twitter.com/LxYLicomcZ
— Seiru Fujita (@sale_seiru) July 14, 2021
Photo:Eri Miura
Text:Chihiro Bandome