「気になる10代名鑑」の440人目は、クボーンさん(18)。今年の4月、美大のグラフィックデザイン学科に進学し、デザインを中心に、さまざまな表現方法について学んでいます。もともと美術系の高校に通っていたクボーンさんに、芸術や美術との出会いや最近始めた新たな表現方法のことなど、詳しく聞いてみました。
クボーンを知る5つの質問
Q1. いま、どんなことに力を入れていますか?
「多摩美術大学で、グラフィックデザインを専攻しています。もともと美術系の高校に通っていたこともあって、多摩美のグラフィックデザインには憧れている教授が多かったんです。いまは、美術の歴史をさかのぼりながら、デザインの源流について学んでいます。
また、大学での学びと並行して、グラフィックデザインやアートなど、平面を中心とした作品もつくっていて、SNSで発信しています。大学生になって、クリエイティブツールのAdobeが無料で使えるようになったので、自分が思い描いているものと、日々制作をしているなかで見つけた技法を混ぜ合わせながら、いろいろな表現を試しています」
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Q2. 活動を始めたきっかけは?
「岡本太郎さんの展示を見に行ったのがきっかけです。小さいころから、父が美術館によく連れて行ってくれていて、小学校低学年ぐらいのときに、岡本さんの作品を初めて見ました。作品を目の当たりにして、芸術に対するパッションやつくり出す世界観に、強く胸を打たれたのをいまでも覚えています。
それに、職業を聞かれたとき、『職業は芸術家ではなく、人間だ』と答えていたのにも憧れて……。アートや文学など多岐にわたるジャンルで活動をされていて、あんなふうに生きられたらどんなに楽しいだろうと思って、それから創作や表現にどんどん興味を持ち、美術の道を本格的に志すようになりました」
Q3. 創作活動をするうえでのこだわりを教えてください。
「いまは誰かに向けた作品ではなく、自分のために作品づくりをしています。過去にどんな思いで作品をつくったのか、作品の背景やコンセプトを公開していたことがあるのですが、自分の考えていたこととはまったく異なる意見が返ってきたことがあって……。
自分はまだまだ勉強中の身ですし、いまの自分がすべてを話したところで、伝わらないことのほうが多いんじゃないか、と。だから、あえてコンセプトなどは公開せず、作品だけを投稿することにしたんです。
そうすることで、自分の作品だけど自分では思いもよらなかった意見をもらえるし、新たな視点として受け入れられるようになりました。そういった気づきも大切にできるようになったと思います」
Q4. 続けているなかで、印象的だった出会いや出来事などを教えてください。
「高校のとき、同級生の4人で有志で企画展を開いたことです。『おいしいもの食堂』という、食べ物をテーマに創作した作品を展示しました。自分は展示する作品だけでなく、ロゴ制作や空間デザインの部分でもいろいろと関わったので、すごく印象に残っています。
大学でもこういった展示をまたやりたいと思っていて、どんな展示だったら面白くなりそうか、いままさに考えているところです」
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Q5. 最近、新しく始めた挑戦はありますか?
「映像表現やAIを使った表現を新しく始めました。佐藤雅晴さんという現代美術、映画、アニメ、メディア・アートの領域で活躍されていたクリエイターがいるのですが、彼がつくり出す、ちょっと不気味でシュールな感じの世界観が好きで、そういった映像作品をつくってみたいと思っています。また、大学の『テクノ研究会』というサークルに入ったので、映像で空間を演出していくVJにも興味があります。
いろんな表現方法を学びながら、最終的には美術を中心とした、総合芸術の作品制作に携われるようなクリエイターになりたいと思っています。そして、自分自身を感動させるような作品や、自分自身が作品になれるような芸術を生み出したいです」
クボーンのプロフィール
年齢:18歳
出身地:東京都
所属:多摩美術大学 美術学部 グラフィックデザイン学科
趣味:音楽を聴くこと、歩くこと
大切にしている言葉:なんだこれは!
クボーンのSNS
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Photo:Eri Miura
Text:Ayuka Moriya