世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、チョコレートの製造工程で廃棄されてしまうカカオハスクを使った、アップサイクルの取り組みについてご紹介します。
カカオの豆殻が卵に。カカオハスクの新たな使い道
スペシャルティチョコレート専門店「Minimal – Bean to Bar Chocolate – 」は、5月までの期間限定で「カカオたまごプリン」の販売を開始しました。しっかりとした食感と滑らかな舌触りが特徴のプリンに、チョコレートアイスとソースをトッピング。アジア・アフリカ・中南米のカカオを楽しめるひと品となっています。
そして、今回注目したいのが、このプリンに使われている「宝玉卵」です。
実はこのたまご、食の逸品を厳選する品評会「料理王国100選」の受賞歴もある、埼玉県の卵専門農場「田中牧場」と「Minimal」が協働で行っている、アップサイクルな取り組みから生まれたもの。Minimalのチョコレート製造過程で出るカカオハスクを、鶏の餌として田中牧場に無償提供し、その餌を食べて育った鶏のたまごをプリンの材料にしているのです。
カカオハスクとは?
カカオハスクとは、チョコレートの原料であるカカオ豆についている薄い皮のこと。半分以上が硬い食物繊維でできており、さらに渋みも強いため、これまではチョコレートを製造する過程で廃棄されていました。しかし、ポリフェノールが豊富に含まれているという良い面もあります。
「栄養豊富なのに、チョコレートの材料として不向きという理由だけで、捨ててしまうのはもったいない」と、思いますよね。近年は、食品ロスの削減にも世界全体で取り組んでいるため、カカオハスクの廃棄も見過ごすことのできない問題です。
このような背景もあって、Minimalのようにカカオハスクのアップサイクルに取り組む企業が増えているのです。
ロッテからもさまざまなカカオハスクのアップサイクル製品が登場
「Ghana」や「チョコパイ」といった人気のお菓子を数多く販売する大手製菓メーカー・ロッテでも、カカオハスクをアップサイクルする取り組みを行っています。
View this post on Instagram
そのアップサイクルアイテムとは、なんとネクタイ。カカオハスクから抽出した染料で絹糸を染め、京都の丹後で生地を織ってつくられています。デザインから生産までのすべてを国内で行っているネクタイブランド「giraffe」と連携して誕生しました。柄は、スポット千鳥、無地のワントーンチップ、小紋ペイズリー、リーフの4種類です。
このネクタイは、『カカオに携わるすべてが幸せであってほしい』という思いから生まれたプロジェクト、「LOTTE DO Cacao PROJECT」の一環。ネクタイ以外にも、最近お酒好きの大人の中で話題のクラフトジンなどがラインナップされています。またチョコレートアソート「DO CACAO Chocolate」にも、カカオハスクをアップサイクルしたパッケージが採用されています。
このように、身近なチョコレートひとつとっても、アップサイクルの取り組みや、その背景にある食品ロスの問題が見えてくるもの。「こういう取り組みは数が多くて把握できない」と諦めず、日常的に消費されるもの、ひとつひとつが、どのようなサステナビリティを実践しているか、チェックしていきたいですよね。
Image:PRTIMES
Text:Yuki Tsuruta