世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、フランスの一部地域で始まった「Oui Pub」運動についてご紹介します。
フランスの11自治体で迷惑チラシを一部規制
毎日のようにポストに投函され、読まれることなく可燃ゴミとして捨てられるチラシを見て、「資源がもったいない」と思ったことはありませんか? もちろん、生活に役立つケースもあるものの、まったく興味のないチラシに悩まされることの方が多いのが実態ではないでしょうか。
「何とかならないのかなぁ」と思っているひともいるでしょう。世界に目を向けると、こうした流れをストップする取り組みも始まっているんです。
📬 L’expérimentation OUI PUB est lancée aujourd’hui dans 11 collectivités : les habitants ne recevront de publicité papier non adressée seulement s’ils en manifestent le souhait, via un autocollant OUI PUB.
+ d’info 👉 https://t.co/sfFSbIr5Ph pic.twitter.com/WLOb57On4J— Ministères Écologie Énergie Territoires (@Ecologie_Gouv) September 2, 2022
フランス国内11の自治体では、2022年9月1日から「Oui Pub」運動という、ユニークな取り組みが始まりました。チラシを必要とする家庭のみ、ポストに「Oui Pub(チラシOK)」シールを貼るという規則です。
この措置の背景には、2021年7月に可決された「気候変動対策関連法」があります。2023年2月からは、さらにふたつの小都市も加わる予定で、合計14都市の住民が対象となります。
今回は実験的な試みで、31か月の施行期間の様子を見て、今後のアクションが判断されるそうです。
広告チラシだけで年間約90万トン
フランスの「エコロジー移行省」のホームページを見てみると、フランス国内で配られる広告チラシの量は、2019年で年間で約90万トンにものぼるそう。
容器包装のリサイクル管理を行う非営利団体のシテオ(CITEO)が発表した数字である、新聞紙などグラフィック用紙のリサイクル率が57%(2019年)であることを踏まえると、読まれずに破棄されてしまうチラシもかなりの量になると推察されます。
ムダなチラシを減らすことが狙いの「Oui Pub」運動ですが、特筆すべきは、行政の一環として実効力をもって実施している点。
日本でも「チラシ・勧誘印刷物の投函お断り」のステッカーを貼ることは可能ですが、行政ほどの抑止力はありません。そして、国や自治体による措置は、何も実施されていないというのが現状です。
フランスでも促進される「サーキュラーエコノミー」とは?
チラシなどの紙類に限らず、環境問題や資源の再利用を学ぶ際に知っておきたい言葉のひとつが、「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」。資源をできるだけ長く循環させながら利用することで、廃棄物などのムダを富に変える、循環型の経済モデルです。
フランスでは、2020年2月に「サーキュラーエコノミー」を促進する法律が施行されました。これによって服や化粧品、本など売れ残りの廃棄が、原則として禁止されたことでも注目されています。また、2021年より「すべてのプラスチック包装の段階的廃止」に向けて歩みを進めています。
世界各国の取り組みや、その影響について注目しながら、自分たちにもできるアクションを考えていきたいですね。
Reference:
Lancement de la deuxième phase de l’expérimentation Oui pub|Ministry of Ecological Transition
独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)「循環経済法が2月に施行、循環経済型社会へ大きな一歩(フランス)」
独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)「2019年の容器包装のリサイクル率が70%に向上」
Text:Kei Hayashi