「気になる10代名鑑」の258人目は、ワタナベロクさん(19)。高校生のときからの夢である撮影監督になるために、有名アーティストのMVやCMなどの映像現場で、撮影部と照明部として働いています。ガジェット好きが転じて、いまの仕事に興味を持ったというロクさんに、どんなふうにキャリアを築いたか、そして将来の野望について、聞いてみました。
ワタナベロクを知るための5つの質問
Q1.プロフィールを教えてください。
「MVやCMの現場で、撮影部や照明部のスタッフとして働いています。どうしてこのふたつの役割を行き来しているかというと、撮影部と照明部を束ねる役目である、撮影監督になることが夢だから。
撮影部では『セカンド』という、撮影監督の下のチーフにつく立場を任されることが多いです。別名『ピントマン』とも呼ばれるのですが、カメラのフォーカスを合わせるのが僕の仕事。1回外したらテイクが増えてくので、責任は大きいですが、こういう細かい仕事が性に合っているので、すごくやりがいを感じてます。
照明部では、照明技師の下のチーフのポジションにいます。普通は、学校を卒業してから3年くらいはかかるんですが、僕はずっと現場で働いてきていたので、6~7年くらいはショートカットできたかもしれません(笑)」
Q2.活動をはじめたきっかけは?
「そもそものきっかけは、ガジェットが好きだったから。地元が千葉の勝浦なんですが、中学生のときに、サーフィンをやっているひとたちをドローンで撮影したのがはじまりです。その流れで高1からカメラを始めて、すぐに現場で修業を始めました。
中学は結局1年半しか行っていなかったので、学校に行かない間、自分の力で稼げるようになりたいなぁと思って。地元で“田舎版ウーバーイーツ”と称して、コーヒーデリバリーのサービスもしていました。
通信の高校も途中で中退しちゃったんですが、入学当初はいろんなことを並行してアルバイトもやっていました。保険屋さんで営業したり、ロボットのベンチャー企業でインターンをしたり、いまも働いているガジェットメディア『ギズモード・ジャパン』で編集の仕事をしたり。ここ数年はもう常にフル稼働で動いているんですが、そうじゃないとウズウズしちゃうくらい、忙しくしていたい人間なんだと思います」
Q3. どうやってスキルやキャリアを積みましたか?
「まずは、どんなにギャラが安くても、いろんな現場に行きまくりました。顔を売って、呼んでもらえる母数を増やすのが大切だと思ったので。
ドローンも写真も映像も、誰かに師事したわけじゃなくて、全部独学でしたが、始めてすぐの段階でお金になる仕事にしてみたり、プロの現場に足を運んでみたりと、趣味で終わらせない努力もしてました。
もちろん、早く稼げるようになりたいっていう気持ちもありましたが、いちばんはそのほうが上達は早いだろうなって思ったんです」
Q4. これまでに印象的だった出会いはありますか?
「中学の終わりくらいから、ヲタ芸のコミュニティに属していたんですが、そのときにできたカメラ好きの友達と、映像の自主制作をやりまくっていて。その延長線上に、いまの僕がいるんです。あのころは、夜な夜な大好きな坂道系グループのMVを観ながら、『ここのカメラワークかっこいい!』とか語り合ってたんです。
いまやそういった憧れのアーティストや有名カメラマンと仕事をしているっていうのは、めちゃくちゃ感慨深いです」
Q5. 将来の夢を教えてください。
「撮影監督になることです! 僕が関わる作品のひとつひとつの絵で常に意識しているのは、好きか嫌い以前に、観ているひとが自然に入り込める『感性として気持ちいいかどうか』という視点。そういった絵作りをこれからも探求していけたらなって思ってます。
あとは、予算や時間の制限によって疲弊している映像業界に、元気を与えられたらいいな。実際に僕が現場で目の当たりにしていることですが、やっぱりいいものをつくるためには、基盤をしっかりさせることが絶対に必要だと思います」
ワタナベロクのプロフィール
出身地:千葉県勝浦市
所属:OTOMEGEAR CREATIVE PRODUCTION
趣味:喫茶店でぼけ~っとすること
特技:料理
ワタナベロクのSNS
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Photo:Eri Miura
Text:Atsuko Arahata