「気になる10代名鑑」の251人目は、宇宙さん(19)。中学・高校時代を図書委員や読書コンシェルジュとしての活動に費やしてきた読書家です。現在も、図書館や本にまつわる勉強をしている宇宙さんに、活動のことや続けられた原動力など詳しく聞いてみました。
宇宙を知るための5つの質問
Q1. どんな活動をしていますか?
「高校まで栃木県で過ごしていて、高校の3年間を栃木県が行っている『読書コンシェルジュ』という、中高生に向けた読書推進活動に費やしていました。
読書コンシェルジュは、本をあまり読まない人に向けて、本の魅力を知ってもらうために、文化祭や校内放送で劇の上演を行ったり、図書館の利用者数を増やすために図書館の新設や移動図書館のしくみを考えたりといった活動をしています。
いまは、この活動の経験を活かして、大学で図書館概論や知識情報の保存といった、本や情報科学などについて勉強しています」
本は自分ができない経験を代わりにやってくれるようなもの。
本を読んで何も思わないのは山に登って何も思わないのと一緒— 宇宙 (@Space_cubics) August 11, 2022
Q2. 活動を始めた理由は?
「中学受験をしたのと、友達が少なかったので、小学生のころから、よく本を読んでいて。そんな流れもあって、中学生になってからは図書委員会に所属し、自然と図書館で過ごす時間が増えました。
中高一貫校だったので、中学生と高校生が活動する機会も多く、栃木県が推進している『読書コンシェルジュ』の存在を知ったんです。本が好きで、図書館にもよく行っていたから、『すぐやりたい!』と思ったんですけど、募集対象が高校生だったので、すぐには応募できなくて……。高校生になってから任命されて、3年間、読書コンシェルジュとして活動を続けました」
Q3. 本に関わる活動を続ける原動力は?
「本がとにかく好きなんだと思います。本が友だち、と言ったらありきたりに聞こえますが。大学受験を控えたときでさえ、読書コンシェルジュとしての活動を受験を言い訳にして辞めるのは違う気がして。3年間も読書コンシェルジュの活動をやっている人はいなかったので、先生やまわりの人からめずらしがられたし、受験のことを心配されたりもしました。
たしかに活動をしながら受験するのは大変だったけど、この活動をしていたからこそ、推薦入試で合格をいただけたし、大学でいま勉強していることは高校3年間で体験してきたことを理論化できている感じで楽しい。それに、ひとつのことを継続できるのは、いまの自分の強みにもなっている気がします」
Q4. 影響を受けた人や作品などがあれば、教えてください。
「特に好きな本は『自動人形の城(オートマトンの城):人工知能の意図理解をめぐる物語』です。高校1年生の12月に運営として参加したビブリオバトルで出会った本で、コミュニケーションや人工知能について書かれています。
ワガママで勉強嫌いな王子が、自分の思いどおりにさせるために召使いたちを自動人形というロボットにすり替えてしまうのですが、人間と機械のコミュニケーションの壁や意図の理解することの難しさに直面し、言葉のもつ重みについて考えていくという物語です。
この本を読んで、自分自身も言葉がもつ魔力や、相手の解釈に委ねることの暴力性について考えさせられました。SNSなどでも誹謗中傷が問題視されている現代は、誰でも言葉で簡単に人を殺せてしまう時代。読めば読むほど解釈が深まっていくので、何度も読み返しています」
自動人形の城(オートマトンの城): 人工知能の意図理解をめぐる物語 川添 愛 https://t.co/msH3Nz3aVh @amazonJPより
— 宇宙 (@Space_cubics) July 8, 2022
Q5. 新しく始めた挑戦はありますか?
「最近ではないんですが、Twitterの機能のひとつであるスペースで、『#面心立方格子の真ん中』という配信活動を毎日行っています。コロナ禍で対面での交流機会が失われていく中で、少しでも多くの人が知り合い、交流が増えたらいいなと思って始めました。
配信しているのは、ただの雑談です。とはいえ、顔の見えない不特定多数への情報伝達の難しさを学んだり、ここからどのようにコミュニティが生まれ、維持していくべきなのかを考えたりするきっかけになったりしています。
時間もテーマも固定していないですけど、なんとなく毎日配信しているので、もし良かったら聞きにきてください」
宇宙のプロフィール
年齢:19歳
出身地:栃木県宇都宮市
所属:筑波大学 知識情報・図書館学類
趣味・特技:読書、ゲーム、料理
大切にしている言葉:覆水盆に返らず
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Photo:Eri Miura
Text:Ayuka Moriya