「気になる10代名鑑」の232人目は、吉川伶さん(18)。武蔵野美術大学に通い、デザイン全般を学びながら、将来は写真の道に進みたいという想いを胸に、シャッターを切り続けています。人間のリアリティを写し出すことをモットーにしている吉川さんに、写真を撮り続ける理由について語ってもらいました。
吉川伶の活動を知る5つの質問
Q1. いま力を入れていることは何ですか?
「普段は美術大学でデザインを学びながら、写真を撮っています。将来は、映像や写真の仕事に携わりたくて、ほぼ毎日カメラを持ち歩いています。撮りたい瞬間を逃したくなくて。カメラを構えていると、30分くらいの通学路が90分になってしまうほど、逃したくない瞬間がたくさん見つかるんです(笑)。
美大を受験するって決めたとき、本当は映像の学科に進みたかったんです。でもそのときは、写真や映像で将来やっていく自信がなくて……将来の選択肢が広い基礎デザイン学科に決めました。
本当にやりたいことに踏み出す勇気が持てなかったことを、後悔したこともありましたが、今はデザインを学んでいるからこそ撮れる写真もあると思うことができて、前向きに写真に取り組んでいます!」
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Q2. 活動を始めたきっかけは?
「いちばん最初のきっかけは、高1の春、高校の美術教師にスマホで撮った体育祭の写真を褒められたこと。みんなが応援する姿を撮っていたら夢中になって、いつの間にか地面に寝っ転がって撮っていたんです(笑)。
そこから本格的にカメラを始めて、学校行事のときは、いつもカメラを持って駆け回ってました。学校の友達も写真を見てすごく喜んでくれて、そこに自分の存在意義を感じて。写真を撮り続けたいと思うようになりました。
受験のときに美術の先生がかけてくれた『カメラを持ったときの吉川の目は一流だから』という言葉が、活動を続ける大きな支えになっています」
Q3. 活動を続ける上で印象的だった出来事は?
「1週間で写真集を作るという授業課題に取り組んだとき、写真を撮るのが苦しいという感情を初めて味わいました。
『人間陸族館』というテーマで、地元の子どもやおばあちゃんたち、親、友だち……さまざまな年代の人たちを撮らせてもらったんです。レンズの中の世界は、目で見る世界よりも解像度が高くて、肌のハリやシワ、血管の浮き出る感じなどから、若さとか老いとか、生命のリアルを目の当たりにさせられて、胸が詰まるような感覚があって。
特に、自分の親を写真に撮ったとき、普段生活している中では気付かなかった一面を見たような気持ちになって、少し苦しくなりました。
この課題を通して、写真を撮るとき、被写体の“生”に介入するような感覚が身に付きました。写真について、改めてじっくり考えるいいきっかけになりました」
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Q4. 新たに挑戦していることはありますか?
「初めてお仕事として、ファッションブランドのルック撮影をさせていただきました。
普段から撮っているような、人物中心のスナップとはまったく違って、服を主役にしないといけない。どうやったら服が生かされるのか、構図や服の形状を意識しながら撮るのが難しくて、すごい枚数を撮ってしまいました。自信のなさの表れですね(笑)。
服の背景には、作り手さんの思いや力を尽くした人がいるからこそ、責任を強く感じました。すごく緊張したけど、そのぶん、達成感は普段のスナップ撮影よりも大きくて。それに、自分の写真が商品と人を繋ぐことを考えると、すごくワクワクします。将来の目標とする仕事の感覚を、少し味わえました」
Q5. 将来の目標はありますか?
「今まで支えてくれた人たちに、結果で恩返ししたいです。今の自分が写真を続けられているのも、美大の受験を乗り越えられたのも周りの友人や先生の支えがあったから。特にきっかけを与えてくれ、背中を押してくれた先生には本当に感謝しています。
いつか大きな広告の仕事をして、恩師や友人たちに『これ吉川が撮った写真じゃん!』って、街中やテレビで気付いてもらえたら幸せです。
私が撮った写真が、誰かの優しさや希望に繋がってほしい! そう願いながら、これからもシャッター切り続けていたいなと思います」
吉川伶のプロフィール
年齢:18歳出身地:秋田県秋田市所属:武蔵野美術大学基礎デザイン学科趣味:YouTubeを観ること、Twitterをみること、音楽鑑賞、読書特技:子どもと接すること
吉川伶伶のSNS
Photo:Kaori SomeyaText:Minori Abe