世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今回は、スコットランドで施行された「生理用品無償提供法」について、ご紹介します。
8月15日、生理用品が無償で提供される法律が施行
2022年8月15日、スコットランド(イギリス北部の地域)で、すべてのひとが生理用品を無償で得られる権利を保護する法律が施行されました。
教育機関や自治体での配布を義務付けた世界初の事例で、アプリで提供場所の確認も可能になりました。
対象が「女性」だけはでなく、「すべてのひと」と定められた理由は、生理用品を必要とするひとの中には、ジェンダーアイデンティティが女性ではないひともいるためです。
若者を中心に広がる「生理の貧困」とは?
この施行の背景には、日本を含む世界各地で問題になっている「生理の貧困(Period Poverty)」があります。
生理の貧困とは、生理用品を買うお金がない、または利用できない環境にあること。日本でも、中高生を中心に深刻な問題になっています。
2019年10月より、生活必需品に対する軽減税率が導入されましたが、生理用品は対象になっていません(生理用品の税率は10%)。
「生理の貧困」厚労省が初調査
生理用品の購入などに苦労したことがあると答えた割合は若い年代ほど高く
▽18歳と19歳が合わせて12.9%
▽20代では12.7%理由は
▽「収入が少ないから」37.7%
▽「自分のために使えるお金が少ないから」28.7%
などとなっています。https://t.co/RqchwhcURL— NHK生活・防災 (@nhk_seikatsu) March 23, 2022
厚生労働省が実施したアンケートでは、およそ12人にひとりが「生理用品の入手に苦労した経験がある」と回答。その理由の多くが「収入が少ない」「自分に使えるお金が少ない」などといった経済的なものです。
日本国内の「生理のこれから」
日本では、国による政策は行われていません。しかし、国内の重要課題や政策の方向性を示す「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に、「生理の貧困」への対策が初めて明記されるなど、変化も起きはじめています。
内閣府男女共同参画局によると、581の地方自治体が「生理の貧困」に関する取り組みを実施しており、東京の都立高校や、千葉県の県立学校では生理用品を無償提供が始まっています。
タレントのSHELLYさんや、「性教育YouTuber」として活動するシオリーヌさんといった著名人による発信や、TwitterなどのSNS上でも、生理に関する発信活動が進んでいます。
また、集英社では『yoi comic(ヨイ・コミック)』で生理をテーマにした漫画のリレー連載を開始しており、最近では少女まんが雑誌『りぼん』のとじこみ別冊「生理カンペキBOOK」も話題になりました。
生理の貧困は、月経があるひとだけが向き合うべき問題ではありません。身近なところから、ぜひ学びの一歩を踏み出してみてくださいね。
Reference:
世界初、スコットランドですべての人に生理用品を無償提供する法律が施行|IDEAS FOR GOOD
生理の貧困|内閣府
『りぼん』編集部が作った「生理カンペキBOOK」が永久保存版すぎる。無料公開した思いを聞いた|ハフポスト
社会が動いた 「生理の貧困」が国の方針に明記されるまでの4か月
Text:Kei Hayashi