世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今回はNPO法人・DEAR MEが、フィリピンの貧困地区で開催しているファッションショーについて紹介します。
フィリピンの貧困と子どもたちの現状
急激な経済成長をみせるフィリピンですが、いまだに多くの貧困地区が存在しています。そして、貧困が原因でさまざまな問題が起きているのです。
とくに、フィリピンの首都マニラにある貧困地区では、10〜14歳の若年妊娠が問題となっています。親である10代の多くが、生まれた子どもを育てられず、育児を放棄することも少なくありません。その結果、ストリートチルドレンや児童労働を行う子どもが増えています。
そうした子どもたちは、夢や希望をもつことが難しい状況のなか必死に生きているのです。そんな子どもたちに「生まれた環境に左右されずに、誰もが夢を描けることを知ってもらいたい」「心を育むために、喜びや楽しさを感じてもらいたい」と思い、活動しているのが、NPO法人「DEAR ME」です。
貧困地区の子どもが主役のファッションショー
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DEAR MEは2015年から、フィリピンの貧困地区に暮らす子どもたちがモデルをつとめるファッションショーを開催しています。
衣装をデザインするのも、現地の子どもたちが。彼らがデザインしたものを、日本の服飾学生やデザイナーの手によって製作されました。古着や廃棄衣料をアップサイクルしており、地球環境にも優しい、世界にひとつだけの衣装です。
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2022年6月に行われたファッションショーで8回目の開催となり、これまでモデルとして参加した子どもは203人。笑顔で堂々とポーズをきめる子、恥ずかしがりながらも最後まで下を向かずにランウェイを歩く子など、それぞれの想いを胸に抱き、ショーの成功を目指して頑張っていました。
こうした経験はきっと、子どもたちが自由に夢を描くきっかけになるだけではなく、自信をもつことにもつながっているでしょう。
ファッションショーの動画を見て、貧困地区の現状を知ろう
現在、フィリピンのストリートチルドレンは20万人以上いると言われており、また貧困地区には、これからストリートチルドレンになる可能性の高い子どもたちも大勢います。ファッションショーは、そういった貧困地区の子どもたちが「自分も夢を描いていいんだ」と気づくきっかけになっているのです。
DEAR MEのYouTubeチャンネルには、モデルとして参加した子どもたちのインタビュー動画も。参加した女の子に将来の夢を聞くと、「フライトアテンダントになりたい。より高い夢を持てば、将来、必要なものを手に入れることができるから」と力強く話していました。
子どもたちへのインタビューだけではなく、ファッションショーやその他の活動の様子を撮った動画もアップロードされています。貧困地区の現状を知りたい方は、ぜひチェックしてみてください。
次回の開催は、2023年2月の予定。ファッションの力で社会問題の解決を目指すNPO法人DEAR MEの活動に、これからも注目していきたいですね。
Reference:
NPO法人DEAR ME
ストリートチルドレンの現状|NPO法人アクション
世界の子どもたちは今|日本ユニセフ協会
Text:Yuki Tsuruta