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タイでBLドラマの人気爆発。かつては偏見も・・・若者から広がる理解の輪【Steenz Breaking News】

タイでBLドラマの人気爆発。かつては偏見も・・・若者から広がる理解の輪【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、タイ発の「ボーイズ・ラブ(BL)ドラマ」人気の秘密についてお届けします。

タイの若者たちがBLドラマにハマる理由とは…?

タイでは、男性同士の恋愛を描く、いわゆる「BLドラマ」の人気が高まり、それが世界に広がっています。しかしタイにもかつては、同性愛に対する世間からの強い偏見もありました。

しかし最近では、若者を中心に、BLドラマのファンが急増。タイ発の新しいコンテンツとして注目されています。実際に、タイの人はどう感じているのでしょうか。

「男性同士の恋愛というのは、普段はなかなか見られないもの。だからこそ、余計に胸がときめきます」。自身も同性愛者であるという、タイ人のビアさん(30)は、BLの人気についてそう話します。ビアさんはタイだけでなく、韓国や日本のBLドラマもくまなくチェックしているそうです。

タイでのBLドラマ人気の火付け役となったのは、2016年放送の学園ラブストーリー『SOTUSソータス』。この作品をきっかけに、BLドラマの制作が増加しました。

 

2020年2月には、同じく学園をテーマにして、日本でも大きな話題になった「2getherトゥギャザー」が放送され、一気に人気が加速。コロナ禍でのステイホームを追い風に、日本でも認知が進みました。

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中でも、主役を務めたブライトさんとウィンさんの人気は止まりません。タイの街中ではふたりの広告があちこちで見られ、ふたりのインスタグラムのフォロワー数はそれぞれ1,500万人、1,400万人を超えています。2020年11月には、女性誌「anan」の表紙を飾り、話題を呼んだことも記憶に新しいですよね。

LGBT先進国タイ、カギとなるのは「Z世代」

こうしたBL作品、もともとはタイの一部の若者の間では人気がありましたが、一般的には認知されていませんでした。ニューハーフショーといったエンタメ施設や性転換手術で有名な病院があり、LGBTに寛容なイメージが強いタイですが、高齢者は保守的な人が多く、同性愛者に対して偏見を抱く人も少なくないのが現状です

そうした社会の状況を変えているのが、1990年半ばから2010年代初頭に生まれた、いわゆる「Z世代」。タイのZ世代の多くは大学を卒業しており、上の年代に比べて教育水準が高いのが特徴です。人権問題のほか、環境問題などさまざまな社会問題への関心が高い傾向があり、LGBTに対して偏見を持つ人も少ないとされています。

タイ政府は、同性カップルに異性同士の夫婦と同等の権利を与える「シビル・パートナーシップ法案」を承認しています。同法が成立すれば、実質的に同性婚が認められることとなります。現状、アジア諸国の中で政府が同性婚を認めているのは台湾のみで、いまだアジアにおける同性愛者への偏見は根強いものがあると言える中、こうした動きは、多様性という面では歓迎されるものですよね。

タイのBLドラマは、明るく楽しいロマンスストーリーが多いですが、最近では、より現実的な性差別問題を取り上げた社会派BLドラマ『NOT ME』なども登場しています。

 

こうした魅力的な「BLドラマ」が次々に生まれ、多くの人に支持されることによって、タイ国内のほか、他のアジア諸国でも、LGBTへの理解が広がることが期待されます。

Text:Risako Hata
Image:コンテンツセブン/©GMMTV COMPANY LIMITED, All rights reserved

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Risako Hata

ライター

タイ在住のジャーナリスト。共同通信系メディアにて5年のタイ駐在を経て独立。現在は、アジアの経済や人道問題、SDGsに関連する記事を執筆。

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