2021年衆議院議員選挙での投票率は、全体で55.93%。それに対して、10代の投票率は43.01%で、その差は12.92ポイントでした(総務省の調査による)。こうした数字をもとに、いろいろなメディアで「若者の政治への無関心」への懸念が叫ばれています。
この「投票率の低さ」というのは、さまざまな要因があり、一概に語ることは難しいもの。しかしSteenzでは、敢えてわかりやすい指標として、「まずはこの、全体平均へのビハインドをなくそう」という一点を目標を掲げ、「12.92ポイントの壁」をなくしていくためのコンテンツを発信していきます。
「12.92ポイントの壁」とは?
Steenzのエディターのナガカワです。Steenzではこれまで、たくさんの10代のリアルな姿をとらえ、内に秘めている考えや、社会に対する思いを聞き、それを記事として発信してきました。
Steenzに登場してくれた10代の方々は、ほぼ全員が社会や地球環境、人権問題に対する関心を高く持ち、「よりよい未来のために、自分として何ができるか」について、真剣に考えていました。「世の中がどうなろうと、自分さえよければそれでいい」と考えている人は、ひとりもいませんでした。
だからこそ、多くのメディアで「若者の政治離れ」「若者は選挙に行かない」と言われていることには、正直、少し違和感を抱いています。「本当に無関心なのかな」「“若者”というラベルのせいで、スケープゴートにされていないかな」……。きっと、同じように感じている10代もいると思います。
しかしデータというのは、ある種、客観的なもの。どれだけ「政治に関心が高い若者もいる」「Z世代は社会的意識が高い」と言っても、全体投票率に比べると、10代の投票率が12.92ポイント低いことは、紛れもない事実……。
つまり、この「12.92ポイントの壁」こそが、若者を「無関心」「政治離れ」にラベリングされてしまう装置であり、逆にいうと、これを埋めることができれば、視点が「全体投票率の向上」へとスライドしていくのではないか。そう考えています。
もし「10代の投票率」を押し上げることができたなら
「シルバー民主主義」という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。
デジタル大辞泉によれば、
となっています。有権者人口に占める10代の割合は、18歳、19歳と年齢もかなり絞られているため、非常に少ないのも事実。確かに、まとまった数としてのパワーは弱いかもしれません。
しかし今の10代は、すぐに20代になるし、その後も30代、40代と年齢を重ねて、長く社会にコミットしていく存在ですよね。いま、シルバー世代に対して、「投票率が上がっても、数で負けているからといって、「10代の意見なんて反映されにくいから、行動してもムダ」というのは、近視眼的と言えるのではないでしょうか。
それに、10代のうちに投票に行くようになって、「当然行くもの」にしてしまえば、きっとその人はずっと選挙にコミットするはず。近い将来、60%以上の10代が「普通に」投票に行く……そんな状況になれば、どうなるでしょうか。政治の景色も、少しずつ変わる気がしませんか?
だからこそ、10代の投票率は、数字で見るよりもずっと重要で、Steenzとしても10代向けメディアとして、取り組んでいくべきだと考えました。
投票日まで残りわずかだからこそ
10代の毎日はとても忙しいのを知っています。日常的に政治としっかり向き合って、さまざまな政党が打ち出している政策を吟味して……というのは難しい。でも、だからといって、「投票しちゃいけないかな」なんて考える必要は120%ありません。
とにかく投票率を押し上げて、「12.92ポイントの壁」を超えて、「若者が〇〇だから……」と言わせないようにする。これだけで、イメージや印象は激変するはずですし、きっと社会も変わるはず。
出生率の問題でも、コロナ禍での行動制限でも、なんとなく悪者にされている若者層。この先の未来を生きる10代が、対等に声を上げるためのひとつのアクションとして、「12.92ポイントの壁」を超えるための政治特集を、投票日までの残りわずかな日数に敢えて集中させて、届けていきたいと思います。