interfm(TOKYO:89.7MHz)で放送中のラジオ番組「CLUB CEO」(毎週日曜日6:30〜7:00)。ビジネスの第一線で活躍する経営者をゲストに迎え、その事業内容に迫りつつ、新しい価値観をもつZ世代たちと対話をしながら、これからの社会や経営について一緒に考え学んでいくラジオプログラムです。
この番組に登場するZ世代は、以前、「気になる10代名鑑」に登場してくれた10代の方々。Steenzでは、番組を聞き逃してしまった人たちへのテキストコンテンツと、放送にはのらなかった独自のスピンオフコンテンツを展開していきます。
先週に引き続き、ゲストに迎えたのはNetflixマーケティングディレクターの稲本弾さん
五十嵐:今回のゲストは、世界的エンターテインメント企業のNetflixから、日本、そして中国語圏のマーケティングディレクターを務める稲本弾さんを迎えます。
またZ世代からは、東京造形大学1年生のピエロ大好き人間さん、千葉工業大学2年生のふっきーさんにお越しいただきました。
規則がないことが規則!Netflixの企業風土
五十嵐:先週は、作品に人と人をつなげるパワーがあるというお話をしていただきました。今回は、Netflixの企業風土や、大切にしているカルチャーなどを教えていただきたたいと思います。
稲本:こちらにNetflixの本があるのですが、題名が『No Rules Rules: Netflix and the Culture of Reinvention』(英語版原題)といって、Netflixの会社は規則がないということが規則みたいな意味合いがあるんです。
Netflixでは社員ひとりひとりが、専門性の高い仕事をしていて、それに誇りを持っているプロであると考えています。プロに対して「これをやれ」とか「あれをやれ」ってあまり言わないじゃないですか。規則で縛るのではなくて、それぞれに自由を与えて、社員がいかにいい仕事をできるかということを常に考えています。そのかわり、社員ひとりひとりが仕事を進めていく中で、いろんな判断や決断をして、その責任も自分自身で取っているんです。
我々の会社の考え方のひとつに、成功するためには、ある程度リスクを取って、大きな“カケ”をしなければいけないというのがあります。だから、社員がもしカケに失敗してしまっても、「なぜ失敗したのか?」ということを分析して、もう一回カケをしてもらう。失敗しても、そこから学びを得ようというような考え方で、みんな働いています。
五十嵐:自由には責任というものが付いてくると。ふっきーさん、どう感じましたか?
ふっきー:リスクを取るって、やっぱりすごく恐くて。でも、そのリスクから得られるものがあるという考え方は、すごく素敵だなと思います。
五十嵐:誰しも、リスク取るのは怖いと思うんですが、会社にはリスクを取りやすくするようなカルチャーというのものがあるんですか?
稲本:そうですね。リーダーたちが間違いを認めるというのは大事だと思います。「自分の弱さを認める」とか「自分の弱さをみんなに示す」という意味の、『Vulnerability』という単語があるのですが、そのような考え方が、リスクを取りやすいカルチャーにつながっていると思いますね。
五十嵐:大体の日本企業ではヒエラルキーがベースになっていて、上に立った人がミスしても、弱さを認めないどころか、責任もとらないよと。それから、ルールだらけで、例えば有給が消化できないとか、経費の問題とか、就業規則でがんじがらめになっていることが多いですよね。そんな中でルールが「ない」って、すごいですね。
稲本:その有給休暇っていう概念も、Netflixにはなくて。いい仕事をするために、休むことは必要。なので、自分が必要だと思うときに休みを取ればいいという形です。
これが成り立つのも、会社にNetflixが好きな人が集まっていているからなんです。社員はいちばん良いパフォーマンスをすることを常に目指しているから、そのためには、ある程度休まなければいけないこともわかっている。常識を持った大人が集まっているので、あえて会社から何か言ったりはしません。会社が社員を圧倒的に信頼しているんですよね。
プロ意識を持った、いい仕事をする人間ばかりそろっているので、仕事もしやすいですし、あまり社員同士の摩擦もないんです。
カルチャーの話に戻りますが、うちにはフィードバックカルチャーと言うものがあって。「ここはこうしたほうがいいんじゃない」みたいな改善点や、「あれすごい良かったよね」というポジティブな意見を社員同士で言い合うんですよ。
ピエロ大好き人間:直接言うんですか?
稲本:そうです。言うときはスレートに本人に直接伝える。本人に直接伝え
られないようなことであれば、伝えるべきじゃないというふうに言っています。自分が自信を持って、「これはこうあるべきだ」ということを伝えられるようにする。そこで対話が生まれて、理解し合えるようになって、新しい仕事の仕方が見つかるかもしれない。合意できなくても、仕事として進めていかなければいけないから、どちらかの方向性で決めてコミットするんです。
ふっきー:年上の方とも意見を言い合うんですか?
稲本:はい。例えば僕がNetflixの創業者であるリード・ヘイスティングスに何かフィードバックをしようと思ったならできますし、するべきです。リードも「してくれ」といつも言っています。誰にに対してもフィードバックを出してもいいし、出すべきという考え方ですね。
ふっきー:素敵な考え方ですね。
”好き”をという気持ちを原動力に
ふっきー:Netflixさんでは、みなさんワクワクしながら楽しく仕事をされているんですね。弾さんご自身は、楽しく仕事をするうえで、何をいちばん大切にされていますか?
稲本:自分の好きなことをできる仕事が楽しいと思うので、無理やり嫌なことをやるのでなくて、自分が好きなことがそこにあるか、というのは考えます。
僕の場合、昔から映画が好きで、映画監督になりたかったんです。結局それは達成できなかったけど、今は映画や動画の作品に近いところで仕事ができていて、こんな楽しい仕事はないなと思っています。
五十嵐:ふっきーさんも、目指している夢があるんですよね。
ふっきー:あります。私の夢はメイドカフェをつくることです。
五十嵐:メイドカフェをつくろうと思うのはなぜですか?
ふっきー:いちばんはメイドカフェが好きだからです。あとは、コミュニケーションを必要としている人に、メイドカフェに行ってもらいたいという想いがすごくあります。
私は高校時代、人間関係も嫌だったし、学校も嫌いで、すごく苦しい思いをしていたんです。それって、いま考えると、人と楽しいコミュニケーションができなかったからだなと思って……。
コロナの影響や、インターネットが進んだことで、対面でコミュニケーション取る機会があまりない人に、メイドカフェの良さである「会える」という価値を届けつつ、楽しいコミュニケーションを与えるために、メイドカフェをつくりたいと思っています。
五十嵐:逆に弾さんのほうから、ふたりに聞いてみたいことはありますか?
稲本:はい。おふたりが生きていていちばん楽しいこととか、生きがいって何ですか?
ピエロ大好き人間:僕は「承認欲求を満たす」というのが生きがいです。作品をつくって、SNSに公開して、誰かに見てもらう。中には褒めてくれる人もいます。
稲本:なるほど。じゃあ、作品をつくっても、誰にも見てもらえなかったら、面白くないんですね。
ピエロ大好き人間:でも、みんなに見てほしいというよりも、世界中のどこかに僕と同じ考えの人がいて、その一部の人たちに見てもらうために作品を作っています。
稲本:そういう人たちがいるというところが素晴らしいですね。ふっきーさんはいかがですか?
ふっきー:私は、好きな人と楽しくコミュニケーションしているとき、すごく幸せだなと思います。
稲本:どんなことについて語り合うんですか?
ふっきー:私は学生団体に所属していて、そこでメイドカフェをつくるための勉強や活動をしているのですが、そこにいる仲間たちと、将来のことや取り組んでいる活動について、一緒に考えたり、コミュニケーションを取っているときがすごく楽しいです。
稲本:いいですね。夢があるし、それこそ生きがいですよね。素晴らしい。
五十嵐:みなさん、前向きで明るくて聞いていて元気をいただきました。
ここまで2週にわたってありがとうございました!
次回のゲストCEOは、病院やクリニックのDX推進をサポートするスマートスキャン株式会社の代表取締役社長、濱野斗百礼さんです。radikoでは、タイムフリーで聞くことができます
CLUB CEOアフタートーク
Steenzだけの限定コンテンツとして、「CLUB CEO」の放送では聞けない、収録後のアフタートークを公開しています。放送とはひと味違う、Z世代のパーソナルな悩みや、活動に対するリアルな課題感を、ゲスト経営者にぶつけています。放送には乗せられない、ココだけの話が飛び出すかも!?
番組概要
番組名:CLUB CEO
放送局:interfm(TOKYO:89.7MHz)
放送日:毎週日曜日 AM6:30〜7:00
ナビゲーター:五十嵐彰(株式会社CMerTV代表取締役社長)
番組ホームページ:https://www.interfm.co.jp/clubceo