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ノリで決めた台湾移住と、人気リアリティー番組への出演。そこから松㟢翔平が学んだこと

ノリで決めた台湾移住と、人気リアリティー番組への出演。そこから松㟢翔平が学んだこと

前回のインタビューでは、自身の10代を振り返り、学生時代の話をしてくれた俳優・松㟢翔平さん(28)。続く第2回では、台湾での生活のことや、人生の転機となった『テラスハウス TOKYO 2019-2020』出演時の話、さらに10代のころの自身に向けたメッセージを伺いました。

前回のインタビューはこちら↓

俳優、モデル、コラム執筆・・・マルチに活躍する松㟢翔平の“超普通だった”学生時代
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インタビュー連載「あの人に聞く、“私の10代”」。今回、お話を聞いたのは、俳優やモデルとして活動しながら、コラム執筆などでマルチな才能を発揮している、松㟢翔平さん。2019年に人気リアリティー番組『テラスハウス TOKY […]
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事務所を辞めて、勢いで台湾へ。異国での生活の話

ー大学を卒業してからは、台湾に住んでいた期間があったんですよね。

「卒業後に所属した事務所を辞めて、すごく暇になったんです。そのタイミングで、お世話になっている先輩から『台湾いいよ』って勧められて。暇だし、行ってみるかくらいのノリで行くことにしました。いざ行ってみたら、すごく良いところで」

ーどんなところが良かったですか?

「気温があったかいし、ごはんもおいしいし、人と人の距離も近い。英語が話せる人も多いので、会話にもそこまで困らなかったですね。

あと、僕のまわりだけなのかもしれないけど、台湾の人って、他人がどう言っているとか、人にどう思われるか、あんまり気にしないのかなと思いました。だから服も着たいものを着ていて、独特な組み合わせの人もいるけど『私、最近これ好きなのよ』で終わり、みたいな。

僕自身、例えば普段履いてないような靴を履いているとき、友達から『お前、そんな靴履くっけ?』って言われたら、本当はすごく気に入っているのに、『これ歩きやすくてさ』みたいに無駄なエクスキューズをつけてしまうところがあるんです。でも僕のまわりの台湾の人たちには、そういうところがなくて。そこはすごく素敵だなって」

ーそこからテレビ番組への出演が決まって、台湾を離れることになったんですよね。やっぱり名残惜しさはありましたか?

「現地にすごく仲のいい友達が何人かいたんで、『こいつらと離れなきゃいけないんだ』、『やっぱり台湾に居たいなぁ』みたいな悲しさはありましたね。でも東京に着いてからはバタバタしていたんで、感傷に浸っている暇もなかったです」

転機となったテレビ出演。注目されてから気がついたこと

ーテレビ番組への出演で注目を浴びるようになったぶん、SNS上などでネガティブな意見を受け取ることも増えたのでは?

「増えましたね。僕の生意気な発言が放送されて、一時期、SNSにいじわるなメッセージがガンガン届いて……」

ーそういう声とは、どうやって向き合ったんですか?

向き合ってないですよ。だけど千本ノック的に全部返信してました。すると悪口を消す人もいるし、返信から会話が生まれて、最後には『そっか、お前も頑張ってんだな』みたいな言葉をくれる人もいて。

中には本気の悪口もあって、それには僕もダメージ食らいます。でもそういうのは、滅多にないんですよ。だから、自分としては、向き合っていなかったですね」

ーいろんな体験があったと思いますが、番組出演前と出演後で、価値観や考え方に変化はありましたか?

「ものの言い方とか言葉の選び方、伝え方が雑だったんだなって気づきましたね。昔は『どう言うか』よりも『何を言うか』が大事だと思ってたんです。自分の思いが100%の純度で人に伝わることは基本的にないんだから『どう言ったって伝わらないものは伝わらない』って。

でもそれじゃあ、聞いてももらえないし、自分が思ってない方向に伝わってしまうことも。自分の考えをなるべく高い純度で人に伝える努力をすることはできるなって気づきました。

だから、どういう言葉を選ぶかとか、どういうタイミングで伝えるかとか、そういうことを、すごく考えるようになりました」

ー松㟢さんといえば専業にこだわらないスタイルを貫いていたのが印象的でした。実際、マルチにご活躍されていますよね。

「いやいや、全然そうでもないですよ。僕はやれることが少ないですし。『俳優を専業にしない』とか、『収入源は複数あっていいじゃん』みたいなことを、偉そうに番組出演時に言ってしまいましたけど。

僕が言ったような働き方ってあって然るべきだし、そんなに間違ったことは言ってないと思うけど、実はみんな、当たり前にやってんじゃないかなって最近は思います」

ーとはいえ映像監督やファッション、映画に関連するものなど、好きなことやできることをお仕事に繋げていますよね。そのために意識していたことはありますか?

好きなことやできることを、やめないことですかね。僕の場合、単純に楽しいから、結果として続けられているだけとも言えますが。

続けないことは、何にもならないですよ。一時期走るのにハマって、1日おきに15キロくらい走ってたんです。でも途中から『寒いからやめよう』とか『足が痛いから』とか、あれこれ理由をつけて、結局やめちゃったんです。これをもし続けられてたら、フルマラソンに出たり、そこから体に興味を持つようになって、それに関連した仕事も増えたかもしれないですし。

基本的には、続けてないと仕事にはならないかなと思います。爆烈なセンスがあれば、1発目から成功する人もいるかもしれないですけど、あんま聞いたことないですね。そう言われる人も、実は続けてるんだと思います」

若いから許されることは多い。だからこそ何事も遠慮なく

ー貴重なお話ありがとうございました。では最後に10代に向けてメッセージをいただけますか。

「年齢に関係なく、みんな精一杯生きてると思うから、特に僕から言うようなことはありません。でも、10代のころの自分に言いたいことならあります。

たとえばチラッと目にして気になった作家さんとか、気になったバンドとかに、もっと正面からぶつかってみたらよかったんじゃないのって思います。無理してでも、お金を払って作品を見に行ったり、ライブに通ったり。なんならその人に『家行っていいっすか?』って話しかけてみたり。遠慮なく興味があることの内側に入っていけば、もっと面白いことが起きたんじゃないのかなって。今でこそ感じるけど、何事も『若いしな』で済ましてくれる大人って、実は多いので。

僕はビビっちゃって、変なストッパーがかかっちゃうことがけっこう多かった。でも気になったら自分からグイグイいってたら、また違った面白さがあったかもとは思います。そしてまだまだ間に合う気もしています

インタビューしてみてわかったのは、松㟢さん独特の、飄々としつつ、肩肘張らないナチュラルなカッコよさは、性格や思想など、内面から滲み出ているものだということ。これからも、自然体でいろいろな表現をみせてくれそう。

松嵜翔平プロフィール

まつざきしょうへい●1993年生まれ。埼玉県出身。多摩美術大学の在学中から、俳優として活動を始める。2018年7月から8か月間、台湾に移住。帰国後、人気リアリティー番組に出演。現在は東京と大阪の二拠点で、俳優、モデル業を中心に、幅広く活躍中。

Photo:Kana Tarumi
Text:Yui Kato

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