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人間が食べるために動物が殺されるのは当然のこと?種差別に向き合う女子高生【前田みづき・18歳】

人間が食べるために動物が殺されるのは当然のこと?種差別に向き合う女子高生【前田みづき・18歳】

気になる10代名鑑」の41人目は、動物の命の権利や種差別について問題意識を持ち、『Vegan Teens(ヴィーガンティーンズ)』の一員として発信している高校生、前田みづきさん(18)。あどけない表情ながらも、読書家らしく多彩かつ丁寧な言葉で、今の考えに至ったきっかけや、活動を通して抱く思いを話してくれました。

■前田みづきを知る10の質問

Q1. プロフィールを教えてください。

「東京出身の18歳で、現在、高校3年生です。今年の4月からは、野生動物の保全について学べぶために、大学へ進学します

Q2. どんな活動をしていますか?

「学生生活と並行して、アレルギーや宗教・主義を含め、どんな背景を持っている人でも楽しめるヴィーガンフードを、Instagramで発信しています。

それから、『Vegan Teens(ヴィーガンティーンズ)』の一員として、ヴィーガンライフを実践したいという方の道標となるような投稿を、Instagramで発信しています

Q3. 活動を始めたきっかけは?

「オーストラリアの工場畜産の実態を描いたドキュメンタリー映画『DOMINION』を見たことです。映画の中で、命が奪われる瞬間、豚の悲鳴を耳にしたとき、『いただきますと感謝をしたとしても、亡くなった動物たちには届かない』という、当たり前のことに気づかされました。

それをきっかけに『すべての生き物が生き物らしく生存できる世界』を実現するため、動物からの搾取に頼らない衣食住の選択肢を拡げる活動をしています」

Q4. 活動を通して感じる壁はありますか?

ヴィーガンって、偏見を向けられることも多いんです。それに、ヴィーガン同士でも、何を信念に持っているかによって取る立場が違うので、意見が合わないことも少なくありません。

私が大切にしている動物倫理というのは、ハッキリとした正解のない、とっても複雑な問題。だからこそ、多角的な視点を忘れずに、お互いの話を聞き合うことを大切にしています」

Q5. 影響を受けた人はいますか?

「環境保全団体のWWFで働いている小田倫子さんを尊敬しています。野生動物の保全というのは、法律や決まりが複雑で、本を読んでいるだけではわからないことが多くて……。

インターネットの記事で小田さんの存在を知り、『話を聞かせてください!』とメールをして、取材を申し込みました。4月からの進学先を選ぶきっかけとなった方でもあります」

Q6. もともとアクティブな性格ですか?

高校2年生までは、人に意見を伝えるのも苦手だし、学外で活動するようなタイプじゃなかったんです。でも、実際に屠殺場を目の当たりにして、『放っておいてはダメだ』って強く衝撃を受けて、高校3年生から、性格も劇的に変化したんです。母ですら、『いったいどうしたの?』とビックリしていました(笑)」

Q7. どんなときに安らぎや幸せを感じますか?

「母がつくってくれたごはんを食べているとき。いきなり肉も卵も食べなくなったので、最初のころは、『私の体、大丈夫かな』って自分でも不安で。でも母が私の活動に興味を持ってくれて、いっしょに調べてくれて。ヴィーガン食は栄養が偏りがちなことを理解して、栄養管理に気を遣ってくれます。おかげで、ヴィーガン生活をする前と変わらず、元気いっぱいです」

Q8. 宝物はなんですか?

「愛用している『TENERITAS』の財布です。小物などに使われる動物のレザーは、目を覆いたくなるような方法で皮を剥がしていることも少なくありません。一方で、サボテンレザーは汚れや傷がつきにくかったり、使い終わった後は土に還すことができたりと、いいこともたくさん。地球環境や、人、動物に優しく作られたものは、持っているだけで自然とハッピーな気分になります

Q9. 社会が「こう変わればいい」と思うことは?

「今の社会って『死』がタブー視されて、畜産に関わる問題も、建前的なことで終わりがち。でも、家畜システムに組み込まれた牛・鶏・豚たちの最期は、直視できるレベルのものではありません。

そこに『おかしいな』と矛盾を感じ、純粋に真実を知りたくなって、自ら調べるようになりました。

触れにくいことに対して口を閉ざすのではなく、真実を求める人には、真実を教える……そんな当たり前のことができる社会にしていきたいです」

Q10. 同じ時代を生きる10代にメッセージをお願いします。

「違和感から目を背けないでいてほしい。もしも真実を知らなければ、目の前の問題に関わらなければ、もっと自由でラクに生きられたかも……わたし自身、そう思ったことが何度もあります。でもアクションを起こすことで、感じた悲しみや悔しさや傷が、誰かに寄り添える温かさに変わることを知りました。

だからこそ、ゆっくりでいいので、自分の心の動きをよく観察して、解きほぐしてみてください。そして社会に出て仕事やお金に縛られてしまう前に、何度でも社会に投げかけてみましょう。それが10代の特権であり、同時に責任なんだと思います

■前田みづきの今日のファッション

トップス/l’atelier du savon スカート/DOUBLE NAME ブローチ/chambrette雑貨洋品店

「価値観が変化したのはここ1年くらいなので、身につけているものすべてがエシカルとは言い難いのですが、まずは自分にできることとして、今あるものを大切に着ようと思っています。ちなみに今日のスカートは、もう6年くらい履き続けています」

■前田みづきのSNS

★Instagram

Photo:Kana Tarumi
Text:Natsumi Sasaki

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Steenz編集部

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