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きっかけはケーキ。渋谷からフードロス問題に取り組む大学生【虹希・19歳】

きっかけはケーキ。渋谷からフードロス問題に取り組む大学生【虹希・19歳】

気になる10代名鑑」2人目は、大学1年生ながら渋谷の生ゴミから新たな可能性を生み出す「渋谷肥料」プロジェクトで商品企画ディレクターを務める虹希《にき》さん(19)。ワクワクするようなクリエイティブで、渋谷のゴミ問題に向き合うプロジェクトは、環境問題の関心が高まる今日、注目を集めているそう。“普通”の女子大生がフードロスに関心を持ったきっかけと、現在に至るまでの取り組みを伺いました。

■虹希を知る10の質問

Q1. プロフィールを教えてください。

「東京生まれ、19歳。現在は慶應義塾大学の総合政策学部に在学しています。高校生のころからフードロス問題についての取り組みをしていて、大学でも持続的なサーキュラーエコノミービジネスを研究したくて。趣味は旅と温泉巡り、あとおいしいものを食べることです」

Q2. フードロスに興味を持ったきっかけは?

「中学生のとき、職場体験でケーキ屋さんへ行ったんです。『毎日ケーキ食べられるのかなぁ』とかそんな軽い気持ちで。ケーキ屋さんってすごくキラキラした存在ですよね。だから、リアルな現場を見せてもらって、売れ残った大量のケーキが廃棄されている現実を目の当たりにしたときは、やっぱりショックでした。キラキラした存在のケーキ屋と、廃棄が生まれてしまう現実とのギャップが衝撃で…」

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Q3. 高校時代は、どんな生活を送っていましたか?

「都立の高校に進学したんですけど、周りは一般受験で、大学進学を目指す子ばかり。私はフードロス問題の活動も始めていたし、ボランティア活動にも興味があったので、あまり受験勉強とかに、すぐにはリアリティが持てなくて。友達もいたけど、フードロスの活動について気軽に話せるような人はなかなかいませんでした。そんな環境もあって、高校2年生のとき、東京都のプログラムを使って、1年間オーストラリアに留学しました」

Q4. 留学で何か得ることができましたか?

「留学先のオーストラリアは、食品ロスへの取り組みが進んでいると言われていた国の一つ。実際に現地でフードバンクを訪ねたり、ボランティア活動をしてみたりしたのですが、食品ロスの明確な解決法は見つけることができなかったんです。

いったいどうやったら持続的な循環モデルが描けるんだろう…。そんな思いを抱えながら帰国して出会ったのが、今活動している『渋谷肥料』でした」

Q5.『 渋谷肥料』について教えてください。

「『渋谷肥料』というのは、『渋谷を消費の終着点から新しい循環の出発点にシフトできないか』という問いを起点としたプロジェクトです。循環の先にある『消費』の在り方を日々、模索しています。私は主に、渋谷から出る生ゴミを堆肥化して育てられたサツマイモを使ったスイーツの企画に携わっています」

Q6. 留学や課外活動…人とは違うルートを歩むときに、必要なものは何でしょうか?

『普通って何だろう?』って疑うことですかね。高校でも、一般受験で進学を考えている友達にとっては、留学も課外活動も普通じゃないから、『なんでそんなことするの?』って思われたことも。

だから普通じゃない道に進んだら、自分が実績をつくって、ひとつずつ証明してやるしかないと思っていました。最初は味方が本当に少ないです。信じられる存在がひとりいるだけで嬉しいぐらい。

でも、普通じゃない道にも、選択肢って意外とあるんですよね。大学進学を考えたとき、私は1年間留学していたから、一般受験に挑むのは厳しいと思ったけど、AO入試っていう選択肢があった。それに、募集要項を見て私にピッタリだと思い、受験することを決めました」

Q7. 大切にしているものや宝物はありますか?

今まで撮ってきた写真です。自分が過ごしてきた日々や訪れた場所、そこでの経験が詰まっているから。最近は一眼レフを購入して、カメラを始めました。一枚の写真を通じてより自分の世界観を表現できるようになりたいです」

Q8. これからどんな社会を見てみたいですか?

『普通』という概念がなくなる社会を見てみたいです。今だと、まだ普通じゃないと思われている道や選択肢も、時代の流れに関係なく肯定される社会が必要なんじゃないかなって思います」

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Q9. 今後の展望は?

「素敵なストーリーやコンセプトのあるモノ・コトを社会に生み出していきたいです。クリエイティブなものを作ることって、世界を変える力になると思うんですよ

直近で言うと、『渋谷肥料』で取り組んでいるスイーツの開発。背景のストーリーも大切にしつつ、本当においしい、楽しいと思えるものを作りたい。それに最終的に捨てられてしまったら意味がない。ロスがないように設計することも大事にしています。まさに、来春に向けて試行錯誤しているところです」

Q10. 同じ時代を生きる10代にメッセージをお願いします。

たったひとつの選択や、たったひとつの出会いが、その後の人生を180度変えることがあると思います。どっちの選択が正しいかなんて誰にも分からないし、今の普通は、いつか普通じゃなくなるかもしれない。それに、いわゆる『普通』から逸れたとしても、少なからず選択肢もあるし。

だからとりあえず進んでみる。違うなって思ったら、軌道修正すればいいだけ。ひとりひとりが自分だけの物語を紡いでいけたら、それは素敵なことじゃないでしょうか」

■虹希の今日のファッション

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ニット/DOUBLE NAME スカート/Freada シューズ/BEAMS×Dr.Martens

「よく行くショップは、BEAMS、JOURNAL STANDARD、FREAK’S STORE。今日は、最近染めたばかりの紫のヘアに合わせて、好きなものを詰め込みました。どれもお気に入りアイテムです」

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■虹希のSNS

★Instagram

Photo:Eri Miura
Text:Ayuka Moriya
Edit:Takeshi Koh

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Ayuka Moriya

エディター

1999年生まれ、秋田県出身。東京外国語大学 国際社会学部在学時よりライター・エディターとして主にインタビュー記事の執筆、ディレクションに携わる。Steenzでは、2021年ローンチ当初より「気になる10代名鑑」のコンテンツ制作を担当。

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