
今回の”Hao in UGANDA”は、フェスがある期間の1日を紹介します。
わたしはウガンダ国内で開催される3万人規模のフェスティバルの運営に参加しています。10年目のこのフェス。わたしの参加は今年で4回目。このフェス本番の時期は、1年で最も忙しい日々を送ることになます。フェスが始まる当日まではアーティストまわりのマネージャー業務をしており、当日からはステージマネジャーを担当しています。大規模フェスはカンパラから3時間ほど離れた大自然の中で開催されることが多く、フェスが始まるまでの1〜2週間前から世界中のアーティストがウガンダに集まるため、わたしもフェス会場に最も近いホテルに滞在します。
まず、フェスが始まるまでは4時に起床し、夜中の便で来たアーティストがホテルに到着するため、チェックインし、会場の詳細やホテルの情報などを伝えます。その後、ホテルのスタッフと共に、当日ホテルに到着予定の50人分の部屋と、ゲストを追加するアーティストがいると大きな部屋が必要なため手配します。
8時にオフィスに戻り、タイムテーブルの調整やVIPアーティストのマネージャーと連絡をとりながら重要事項をまとめます。
10時に警察やプライベートセキュリティ会社とセキュリティに関する打ち合わせに参加します。注意事項があればアーティストやスタッフのグループで共有します。フェスはテロの標的になったり、警察関連の写真は絶対に撮ってはいけなかったりと日本とは異なる環境なので大事な打ち合わせです。
12時にフェス会場に向かい設営グループにジョインします。機材の点検をしたり、人手が足りていないところがあればスタッフを送ったりします。また、設営グループにご飯のチケットや飲み物を配布するのも私の仕事。
14時に早朝に到着していたアーティストのグループとダウンタウンまで向かい、SIMカードの手続きや両替を手伝います。
18時にスーダンからのアーティストのグループ30人が到着し、別のホテルに滞在するため全員で移動します。チェックインでホテル側にトラブルがあり、時間がかかってしまったのですが、わたしがアーティストを待たせてしまっていることに対して申し訳なく思っていると、スーダンのアーティストは楽器を取り出し演奏し始めて、待ち時間も楽しい時間に変えてくれました。
20時にプロモーションのために、アーティストやオーガナイザーとともにラジオ局に向かいます。生放送でラジオパーソナリティとアーティストの対談が始まりました。
23時にアーティストの出演料を払いにいきます。その後、タイムテーブルが更新されたため、資料を作り直し、アーティストに情報共有します。2時に2時間睡眠をとります。
倒れるほどに大変な仕事だけど……
このようなスケジュールをこなしながら、初日を迎えるので、毎回初日からくたくたに疲れていますが、どんなパフォーマンスに出会えるのか、無事に終わるか興奮と不安でいっぱいです。当日、わたしが担当するステージでは、1日に15〜20組のアーティストがパフォーマンスします。彼らが時間通りに完璧な環境でパフォーマンスできるように管理するのがわたしの仕事です。約20時間ステージでのパフォーマンスがあるので、アーティストと機材やライト、サウンドに関する打ち合わせ、朝行われるサウンドチェック、機材の管理、トラブルがある際のラインナップ調整、救護が必要な人や盗難の対応などの業務があります。
最終日の残り5時間くらい、フェスが終わりに向かう時間帯は、身体中から緊張感とあらゆる感情が抜け出します。「やっと無事に終われる」と思い、3年前は最終日の最後に倒れたこともありました。しかし、ウガンダの大自然の中で生み出されるアーティストの圧巻のパフォーマンスと、ステージでの一体感、そしてフェスが成功した時の達成感は、他に代わるものがないほどの最高潮の高揚と無我夢中になる自分がいることに気づくのです。
フェスが終わると、疲れて、一週間ほど家にこもって出られなくなりますが、毎回「このために生きているんだ」と思うくらい、音楽業界の仕事は心底から自分が好きで、求めているものだと感じます。ここで出会うアーティストは全く新しいジャンルや世界観をつくりあげて、オーディエンスの心を音楽で操るマジシャンみたいです。いずれ彼らは世界的にもっと評価されると確信しています。彼らが世界で活躍する姿を目指して、これからもずっとこの業界に関わっていきたいと思っています。
次回は、「アフリカの交通手段って…ドンキーや馬も高頻度で利用するってホント!?」を紹介します。