Steenz Breaking News

女性の人権を守るために。深刻な社会問題と向き合い、闘い続けるアフリカの女性活動家【Steenz Breaking News】

女性の人権を守るために。深刻な社会問題と向き合い、闘い続けるアフリカの女性活動家【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、女性の人権を守るために活動する、アフリカの女性活動家についてご紹介します。

FGMと児童婚のサバイバーである人権活動家

みなさんはアフリカ出身の人権活動家をご存知でしょうか。日本ではあまり話題になることはありませんが、アフリカには男女平等や人身売買、暴力などの問題解決を訴える人権活動家がたくさんいるのです。今回はその中でも、ふたりの勇ましい女性人権活動家をご紹介します。

ジャハ・ドゥクレ(以下、ドゥクレ氏)は、西アフリカに位置するガンビア出身の活動家です。彼女は「FGM」と児童婚に反対し、精力的に活動をおこなっています。

 

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FGMとは、約2000年前から主にアフリカでおこなわれている女性性器切除のこと。国や地域によっては、通過儀礼として幼いうちに経験させられるケースもあります。FGMがおこなわれるようになった理由としては諸説ありますが、多くの迷信に加えて、女性が性行為で快楽を感じることを悪とし、「結婚まで処女を保つ」といった価値観の存在などが挙げられます。

FGMは大量出血により死に至ったり、感染症や精神的疾患を患ったりすることもあり、現在はFGMの慣習があるアフリカの28カ国中、22カ国で法律により禁止されています。

 

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ドゥクレ氏は生後1週間でFGMの被害者となり、15歳のときに年配の見知らぬ男性と結婚するためにアメリカに送られ、児童婚の被害者となりました。彼女は、FGMの経験を「数十年経っても痛みは苦痛」だと語っています。アメリカの大学を卒業した年に、FGMの根絶を目指す非営利団体「Safe Hands for Girls」を設立しました。ドゥクレ氏の教育やアドボカシー(社会的弱者の権利を保護したり、主張を代弁したりする活動)、若者主導のキャンペーンを通じた活動の成果もあり、ガンビアでは2015年にFGMが禁止されました。

 

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2018年にはノーベル平和賞にノミネートされ、UN Women親善大使にも任命されています。

紛争下の性暴力根絶を訴える活動家

続いて紹介するのは、ジュリエンヌ・ルゼンジュ(ジュリエンヌ氏)です。彼女は、コンゴ民主共和国出身。紛争下の性暴力に反対する活動家です。

 

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20歳の頃にラジオ局で働きはじめたジュリエンヌ氏。仕事で辺境の村を訪れた際、暴力を受けているものの報復を恐れて訴えることができない女性、そして紛争下で性暴力を受ける女性に出会います。

コンゴ民主共和国では紛争が絶え間なく続いており、その背後では武装勢力による性暴力も発生しています。被害者の中には、乳幼児や小学生もいるそうです。紛争下の性暴力は、政治的・軍事的利益のために脅迫を広める、民族の浄化、特定の民族への見せしめといった目的でおこなわれることが多くあるといいます。

現在では、紛争下の性暴力は、一般市民に力を誇示し、恐怖を与え、地域社会を崩壊させる「戦場の武器」として認知されています。その凄惨さが知られるようになったのは、ノーベル平和賞受賞者で性暴力などに遭った女性を治療するムクウェゲ医師などの活動による功績も大きいことに言及しておかなければなりません。

しかし、これまでコンゴ民主共和国で性暴力の被害者は地域のコミュニティから疎外される傾向にあり、被害の存在は認知されてきませんでした。そこで、ジュリエンヌ氏は性暴力の実態を記録し、武装集団に書面で抗議しはじめました。2000年には他のジャーナリストとともにSOFEPADIを設立し、性暴力サバイバーのための医療支援や心理ケア、社会復帰のための支援、法的支援などをおこなっています。

 

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40年以上にわたってコンゴ民主共和国の女性の人権向上に貢献してきたジュリエンヌ氏は2023年に国連の人権賞を受賞しています。

声なき声を届ける活動家たち

アフリカでは、深刻な社会問題と向き合い、闘い続ける女性の人権活動家が多数活動しています。ただ、中には脅迫や拷問に遭う人権活動家やジャーナリストもいるようです。しかし、声なき声を届け続ける彼女らの活動に多くの人が関心を持つことは、問題解決のための一歩になります。どのような問題があり、どんな人が活動しているのか。みなさんも注目してみてはいかがでしょうか。

References:
PLAN INTERNATIONAL「[特集]女性性器切除(FGM)を知っていますか」
Spaceship Earth「FGM(女性性器切除)とは?なぜ行われるのか・現状と後遺症などの悪影響」
Georgia Southwestern State University「Jaha Dukureh, 2015」
THE NEW NOW「Jaha Dukureh」
Carnegie Corporation of New York「Jaha Dukureh」
AURORA「A Fearless Advocate Raising Feminists in Congo」
UN Web TV「Human Rights Prize Winner: Julienne Lusenge」

Text:Hao Kanayama

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Hao Kanayama

ライター

16歳、初アフリカ大陸上陸。19歳、アフリカ10か国放浪。20歳、ウガンダ移住。ウガンダの現地の会社とNGOの職員として、ストリートチルドレン、シングルマザー、薬物中毒者、孤児の支援を行う。不条理で不都合な世界だけど、その先にある希望を求めて歩き続ける、アフリカの人々の暮らしをわたしの目線から伝え続けたい。少数民族と木登りとテクノがスキ。

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