Teen's Snapshots

背伸びしない、等身大の提言を。過疎地域出身ならでは経験を胸に、「地方創生」の夢に向かって邁進中【たまちゃん・19歳】

背伸びしない、等身大の提言を。過疎地域出身ならでは経験を胸に、「地方創生」の夢に向かって邁進中【たまちゃん・19歳】

気になる10代名鑑」の1053人目は、たまちゃんさん(19)。こども家庭庁の大学生委員として、会議で若者目線の意見を伝える活動をしています。地元広島の過疎化や教育格差に危機感を抱いたことをきっかけに活動をはじめたたまちゃんさんに、印象的だった言葉や将来の展望を聞いてみました。

たまちゃんを知る5つの質問

Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?

子どもや若者が意見を言いやすい世の中『こどもまんなか社会』の実現に向けて、国の政策に声を届ける活動をしています。

具体的には、こども家庭庁の『こども家庭審議会』と『基本政策部会』の会議に、大学生委員として参加しています。

もともと中学2年生から高校3年生までの5年間、こども家庭庁の意見募集事業に参加していて。そのなかで、高校2年生のときに、こども家庭庁『こども・若者参画及び意見反映専門委員会』で、日本初の10代専門委員に任命されました。この専門委員の任期は2025年4月で終わったのですが、こうしたいままでの活動が、現在につながっています」

Q2. 活動を始めたきっかけは?

広島県の過疎地域出身ということもあり、『過去50年で人口が半減』『昨年の出生数は1桁代 』という地元の過疎の深刻さを目の当たりにしてきました。

また、アメリカの大学のオンライン講座など様々な活動に参加するなかで、距離が遠い地方に住むわたしだけ他の参加者と直接会うことができなかったり、都内開催の興味のあるイベントに参加できなかったりと、教育格差を体感したんです。

こういった経験は、過疎化と都市部と地方の教育格差に危機感を抱くきっかけになりました」

Q3. 活動をしている中で、印象的だった出来事は?

「専門委員として会議に参加したときに、こども基本法の大綱について意見を述べる機会がありました。大綱のなかに、『こども若者が意見を言える環境』が前提とされている文章があったのですが、わたしはその部分に違和感を覚えて。

子どもたちが実際に何か思いを持っていても、それをかたちにできなかったり、どう伝えていいかわからなかったりすることもあると思うんです。意見を言える環境にあるこどもや若者だけに焦点を当てているのは、おかしいんじゃないかなと思いました。

その違和感を会議で伝えたら、それが反映されて文言が実際にいくつか変更されたんです。『政策に携われている!』という実感があってとても嬉しかったのを覚えています」

Q4. 活動の中で、悩みがあれば教えてください。

こども家庭庁の会議参加者は、大学教授やNPOの団体創設者などの専門家ばかりなので、『大学生のわたしが、この会議で何を伝えることができるだろうか』と常に悩んでいます。

若者目線で意見を伝えるように頑張っても、『若者目線って何だろう』とわからなくなることもあって……。でも、同じ専門委員だったひとの、『若者の代表を意識して参加する必要はない。会議のなかで黒木さん自身が感じる違和感や問題意識をありのまま伝えてくれれば』という言葉に救われたんです。

それから、自分の実生活で感じたことをありのまま伝えるようになっていって。『黒木さんの意見は、背伸びせずに率直な意見で参考になる』と言ってもらえるようになりました」

Q5. 将来の展望は?

「政策立案者としての立場から、こどもや若者が小さい頃から輝ける地域づくりに貢献したいです。こども家庭庁でいままで話し合ってきた『こども若者の社会参画・意見反映』と、自分のバックグラウンドである『過疎問題』を組みあわせた活動に取り組みたいと考えています。

また、今年の秋からはイギリス留学に行く予定です。留学先では『若者学』と呼ばれる学問分野を学ぼうと思っていて。留学中もこども家庭庁の活動にたいして新たな視点を得られるのではないかと、いまから楽しみです。

こども若者が周囲の大人に意見を受け止めてもらう経験って、生まれ育った地域への愛着にもつながるんじゃないかと思っています。だから、過疎化が進む日本で、こどもや若者の声を反映できる地域コミュニティづくりができるよう、頑張ります」

たまちゃんのプロフィール

年齢:19歳
出身地:広島県府中市
所属:こども家庭庁こども家庭審議会、〃基本政策部会、慶応義塾大学総合政策学部
趣味:ランニング、ラーメン巡り、一人散歩、プチ旅行
特技:似顔絵を書くこと、カラオケで演歌を歌うこと
大切にしている言葉:「挫折は短く、努力は長く」(祖父)

Photo:Nanako Araie
Text:Haru Ninagawa

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