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アフリカに自衛隊の基地がある?日本と安全保障で協力関係にあるアフリカの国とは【Steenz Breaking News】

アフリカに自衛隊の基地がある?日本と安全保障で協力関係にあるアフリカの国とは【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、日本が安全保障の観点で連携を深めているアフリカの国と、ジブチの自衛隊基地について紹介します。

日本がアフリカの国と初となる防衛協力へ

2024年2月、日本の防衛省は、ケニアの防衛当局とともに防衛協力に関する文書に署名しました。日本がこうした文書を交わすのは、アフリカ諸国ではケニアが初めて。文書は、PKO(国連平和維持活動)などを念頭に置いた内容となっています。両国連携の背景には、日本が「ケニアはインド太平洋とアフリカ大陸を結びつける架け橋になる」とみていることが挙げられそうです。

PKOは、世界各地で起きている紛争の解決のために国連がおこなう活動であり、日本は資金面と物資、人材面で協力しています。1992年以降、日本は陸・海・空の自衛隊から非常に多くの人員をPKOの参加部員として、東アフリカに位置するモザンビークやルワンダ、スーダン(北アフリカ)を含む国々に派遣しています。

 

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また、日本はウガンダや南スーダンなどと安全保障について交流を深めています。これらの国々に対し、防衛大臣や防衛副大臣などが訪問して、現地の防衛当局担当者と対話を重ねているほか、ウガンダでは2023年、陸上自衛隊が得意とする衛生分野において、現地で各国から集まったPKO要員に対し、実習指導などもおこなっています。

さらに、日本は防衛装備品などを提供するOSA(政府安全保障能力強化支援)でジブチを対象としています。

世界で唯一、ジブチにあるの自衛隊の海外拠点とは

ジブチといえば、同国には自衛隊唯一の海外拠点があるのをご存知でしょうか。この拠点は、もともとは隣国のソマリア沖で多発した海賊からの被害に対応するために開設されたものでした。開設当時の2011年は海賊関連の事件が237件ありましたが、2017年では9件まで減少しています。しかし、自衛隊は現在もジブチ基地の機能拡大を続けています。では、なぜ自衛隊は、海賊被害が減少した現在もジブチに居続けるのでしょうか。

それには、まずジブチの地理的な理由が挙げられます。ジブチはアフリカ北東部かつ、紅海とインド洋をつなぐバブ・エル・マンデブ海峡の西側に位置し、欧州とアジアをつなぐ役割をしています。バブ・エル・マンデブ海峡は貨物線だけでなく、中東から欧州に石油を運ぶための重要なルートでもあります。

つまり、この地に拠点を持つと、貿易に有利に働きやすいのです。そうした背景もあることから、現在ジブチにはアメリカ、フランス、イタリア、中国など各国軍の基地があります。そのため、ジブチは日本が各国の基地と情報共有できる場所とも言えます。

 

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また、ジブチ基地には邦人保護や人道支援などといった目的もあり、2023年にはスーダンで勃発した紛争により退避となった邦人を保護しています。最近では、激化するイスラエルとイランの戦闘によって、帰国困難な状況に追い込まれてしまった邦人の退避を支援するため、航空自衛隊の輸送機がジブチへと出発しました。

人口約115万人の小国・ジブチがこれだけ多くの外国の基地を自国に設けているのには、ジブチ側のメリットもあります。まず、ジブチの周辺国はソマリアやエリトリアなど情勢が不安定な国であるため、外国軍が常駐してくれれば、自国の防衛に有利に働く可能性があります。加えて、ジブチは天然資源に恵まれているわけではなく、農業に適した環境もない上に、産業も乏しいため、外国基地から得られる借地料は重要な歳入なのです。

 

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現在、アフリカの安全保障における日本の存在感は高いとはいえません。しかし、「最後のフロンティア」とも言われ、昨今目覚ましい発展を遂げているアフリカ。連携のあり方には一定の議論がありますが、安全保障において各国と関係教科は日本の国益にもつながると見られています。防衛省の資料によれば、日本政府は今後、自国の安全保障を確保するためにより多くの国々と防衛連携を強化する方針を掲げており、アフリカ諸国との連携もその一環とされています。今後も世界各地で紛争・戦争が起きている今、日本とアフリカの安全保障をめぐる動向には引き続き目を向けていきたいところです。

References:
日本経済新聞「日ケニアで防衛協力、アフリカと初署名 首脳会談」
陸上自衛隊「PKO30周年」
DW「Japan to expand Djibouti base despite decline in piracy」
ALJAZEERA「China opens first overseas base in Djibouti」
防衛省・自衛隊「在スーダン共和国邦人等の輸送の終結について」
外務省「ジブチ共和国」

Text:Hao Kanayama

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Hao Kanayama

ライター

16歳、初アフリカ大陸上陸。19歳、アフリカ10か国放浪。20歳、ウガンダ移住。ウガンダの現地の会社とNGOの職員として、ストリートチルドレン、シングルマザー、薬物中毒者、孤児の支援を行う。不条理で不都合な世界だけど、その先にある希望を求めて歩き続ける、アフリカの人々の暮らしをわたしの目線から伝え続けたい。少数民族と木登りとテクノがスキ。

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