Teen's Snapshots

カナダ留学で出会った「生徒同士助け合う制度」。ギフテッドの方が自分らしく生きれる社会を【snow・19歳】

カナダ留学で出会った「生徒同士助け合う制度」。ギフテッドの方が自分らしく生きれる社会を【snow・19歳】

「気になる10代名鑑」の1040人目は、snowさん(19)。自分自身が「ギフテッド」であると気づいた経験から、ギフテッドの特性や、支援の必要性を社会に広める活動を続けています。早期発見を目指す研究から偏見をなくすための啓発活動まで、幅広く挑戦するsnowさんに、活動の原点や未来への思いを聞いてみました。

snowを知る5つの質問

Q1. あなたのプロフィールを教えてください

自分がギフテッドであると知ったことをきっかけに、ギフテッドへの教育や社会のあり方に興味を持つようになりました。

ギフテッドは、同世代の子どもよりも先天的に高い能力を持つひとたちのことです。天才と思われがちな一方で、得意・不得意の差が大きく、困ることもたくさんあります。たとえば、耳で聞いたことを覚える力は高いけれど、音に敏感でざわざわした場所が苦手だったり、作業のスピードが遅かったりと言ったものです。

わたしは、小学生時代、苦手と感じることを自分の努力不足だと思い込んできました。ですが、自分がギフテッドであるという特性を知ったことで、気持ちが少し楽になっていって。いまでは、カナダでの留学経験を活かして、ギフテッドの早期発見につながる研究や、偏見をなくすための啓発活動に挑戦しています」

Q2. どんなことをテーマに活動をおこなっていますか?

ギフテッドを早期に発見し、ギフテッドに対する誤解や偏見をなくすことです。

具体的には『バイオマーカー』についての研究とギフテッドの啓発活動をしています。たとえば、去年の秋にはユースセンターで『公平と公正の違い』をテーマにしたディスカッションを開催しました。

ギフテッドの子は『支援がいらない天才』と思われてしまうことがあります。ですが、本当はサポートが必要な場面もたくさんあるんです。だからこそ、一人ひとりの特性を正しく理解し、必要な支援が必要な場所に届く社会をつくりたいと思っています」

Q3. 活動を始めたきっかけは?

「小学6年生のときに受けた『WISC-Ⅳ(ウィスクラー式知能検査)』で、自分にギフテッドの特性があるとわかったことがきっかけです。

それまでは『子どもは外で遊ぶのが仕事だよ』と言われ悩むことや、『どうして漢字の書き取りが普通にできないんだろう』と感じることがありました。『子どもらしさ』を求められる場面で、自分を責めてしまうことも多くて。

でも、自分の特性を知ることで、自分に備わっている力を伸ばす方法を専門家に相談したり、自分のことを少しずつ知ったり、新しいことに挑戦する意欲が生まれるようになっていったんです。

一方で、もっと早く自分がギフテッドの特性を持っているということに気がついていれば、もう少し楽に生きられたんじゃないか、とも感じていて。そんな思いが、いまの活動の原点になっています」

Q4. 影響を受けた人物は?

カナダ留学中に出会ったPeer Tutorの先輩です。

Peer Tutorは、生徒同士で助け合う制度。授業中に隣で単語を訳してくれたり、放課後も一緒に勉強してくれたりと、わからないところを何度でも丁寧に教えてくれ、できるまで寄り添ってくれていました。

日本では『勉強は先生から教わるもの』という空気が強いけれど、カナダでは『困っているひとがいたら生徒同士で助け合うことが当たり前』という考え方が根づいています。

留学の最後には、ただの勉強を教えてもらう関係性だったのが『またいつか会いたいわ』と言ってもらえて、すごく嬉しくて。その経験から、わたしも、誰かの助けになれるような存在でありたいと思うようになりました」

Q5. 将来の展望は?

ギフテッドの子どもたちが『希望を持って生きられる社会』をつくっていきたいと思っています。

そのために、バイオマーカー研究を続けながら、検査キットを作ったり、必要なサポートが届く仕組みを考えたりと、いろいろなかたちで実績を積み重ねていきたいと考えています。

当事者のわたしだからできることは、当事者としての視点を持ちながら、研究と啓発の間を行き来し、声を届け続けること。これからも、自分にできることをひとつずつ積み重ねていきたいです」

snowのプロフィール

年齢:19歳
出身地:福岡県
所属:Global Teacher Program、東京大学松尾・岩澤研究室、トビタテ!留学JAPAN
趣味:読書、森林浴
特技:ウィンタースポーツ(フィギュアスケート、スキー)
大切にしている言葉:「優等生とギフテッドとの違いは『若さ』『女子』『肩書』といったあらゆるブランドへの依存度である」

Photo:Nanako Araie
Text:Serina Hirano

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Serina Hirano

ライター/ディレクター

ライター兼ディレクターとして、東京と静岡県・東伊豆町の二拠点で活動中。インタビュー記事を中心に、学生、スタートアップ、まちづくりの現場まで、取材・執筆・編集・企画運営まで一気通貫で手がけています。“今”を懸命に生きる若者を応援したいという想いから、2024年より10代のリアルな声を伝えるメディア「Steenz」に参画。

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