Teen's Snapshots

たったひとりの世界を豊かに。元当事者として不登校の生徒の「本当の居場所づくり」に取り組む【歩奈・18歳】

たったひとりの世界を豊かに。元当事者として不登校の生徒の「本当の居場所づくり」に取り組む【歩奈・18歳】

「気になる10代名鑑」の1044人目は、歩奈さん(18)。自身が5年間不登校だった経験から、「ふたりたび」という会社を立ち上げて不登校支援に挑戦しています。目の前のたったひとりの世界を豊かにしたいと語る歩奈さんに、印象的な出会いや活動にかける想いについて聞いてみました。

歩奈を知る5つの質問

Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?

高校時代に立ち上げた『ふたりたび』という会社で事業を構想しています。

わたしは、小4から中3までの5年間、学校に通っていなくて、周りとの違いに焦りを感じる日々を過ごしました。その経験から、全ての不登校生やコンプレックスを抱える子どもたちが望むキャリアを歩める社会を実現したいと、会社を立ち上げて活動しています。

いまは一対一でのコーチングで一人ひとりに向き合うコンテンツを考えていて。今年の夏頃からプロジェクトの本格始動を計画しています」

Q2.活動を始めたきっかけは?

高校生になってから過去の自分を振り返ると、当時の自分のようなひとを救うシステムがなかったなと気づいて。

確かに不登校だったときは、居場所を見つけようとカウンセリングやフリースクールに行ったんです。でも、なんだか居心地がよくなくて……。ここにいても一時的な安心にしかならず、将来にはつながっていかないなって感覚になりました。結局居場所として定着はできず、開いていく同級生との差にさらなる不安を感じていったんです。

そんな経験から、不登校の生徒の居場所を作るためにと、教育系の学生団体である『teenz関西』に所属して、中高生の課外活動を促進を始めてみました。その後、自分でも学生団体『hopone』を立ち上げ、不登校生に向けたイベント開催やコミュニティづくりに取り組むようになりました」

Q3.活動をしている中で、印象的だった出来事は?

「高校2年生のとき、オープンキャンパスで中学生の保護者にわたしの活動をプレゼンする機会があって。5年間の不登校というハンディを抱えながらも胸を張って生きられるようになったとお話しました。

すると、不登校の娘さんを持つ保護者さんが『娘があなたのようになってくれたら、死んでもいいくらい』と涙ながらにおっしゃってくださったんです。その言葉を聞いて、 初対面のひとにも自分の想いが伝わったんだと喜びを感じて。

それと同時に、不登校をきっかけに不安な気持ちになるのは子どもだけではなく、その親もなのだと知りました。不登校支援とは、生徒のサポートだけでなく家族単位でのサポートのことであると気づけたんです

Q4. 活動を通して、実現したいビジョンは?

ふたりたびのサービスを通して、たったひとりの誰かの道のりが少しでも明るくなれば嬉しいです。わたしは多くのひとを救うというより、ただひとりの目に映る世界が少しでも豊かになればと思っていて。

わたしたちの捉える世の中って、常に自分視点から見た姿だと思うので、その居心地の良さは案外簡単に変わるものだと思っています。つまり、捉え方次第で世界は変えられる。

だからこそ、ひとりの世界の捉え方を変えてあげようとすることで、誰かを救えるんじゃないかなって。そうすれば結果的に多くのひとも助けられると思うんです。未来を生きる子どもたちには、そんな捉え方を変えてみることで『自分で自分を幸せにできるんだ』と、自己需要感みたいなものを持ってほしいと考えています」

Q5. 将来の展望は?

ここ数年の目標は海外の大学でMBAを取得することです。世界で通用するビジネスリテラシーを身につけて、世界全体に貢献できるひとになりたいです。また、いままでは同じ学校のひとと活動をすることが多かったので、今度は国籍の違った仲間と仕事をしてみたいです。

将来的には、わたしのポリシーである『たったひとりの世界をもっと素敵にできるサービス』を生み出す経営者になりたいと考えています。

社会は目まぐるしく変わっていきますが、そんな中でも誰かの心に残り続けるような指針を与えられるひとになりたいです」

歩奈のプロフィール

年齢:18歳
出身地:大阪府豊中市
所属:早稲田大学商学部、合同会社ふたりたび
趣味・特技:自然に触れること、読書、料理、根性論
大切にしている言葉:「意思のあるところに道は開ける」「一身一家、一国の為のみならず。進んで世界に貢献する抱負が無ければならぬ」

Photo:Nanako Araie
Text:Rinna Koike

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