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ウガンダではどんな宗教が信仰されているの? 宗教間の対立がないってホント?【Steenz Breaking News】

ウガンダではどんな宗教が信仰されているの? 宗教間の対立がないってホント?【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、ウガンダの宗教についてご紹介します。

アフリカでは、多くの人がキリスト教を信仰している

みなさんは、アフリカ大陸でどんな宗教が信仰されているか、ご存知でしょうか。2020年に公開された調査報告書によると、アフリカ大陸に住む人の95%は何かしらの宗教に属しており、56%がキリスト教、34%がイスラム教を信仰しています。

筆者の住むウガンダでは、2020年時点で人口の約84%がキリスト教、約12%がイスラム教、約2%が土着宗教を信仰しています。

もともとウガンダでは、イギリスの植民地となるまで、土着宗教が広く信仰されていました。土着宗教は地域によって様々な種類がありますが、宗教によって創造者や神の存在は異なり、黒魔術のようなものや霊媒師が信じられていたこともあるそうです。

ウガンダは13世紀から続くブガンダ王国が繁栄していましたが、経済的な利益を得るために、王様がそのほかの宗教の布教を認めたと言われています。そして、19世紀には東アフリカ海岸のイスラム商人の影響によって、イスラム教が広まりました。

しかしその後、イギリスの「英国聖公会宣教協会(CMS)」とフランスの「ホワイト・ファーザーズ」というカトリック宣教師団がウガンダに足を踏み入れると、キリスト教が一気に広がり、現代のウガンダにおけるキリスト教の基盤を築きました。

ウガンダで、イスラム教よりキリスト教が広まった理由として考えられるのが、キリスト教の宣教学校の存在です。イスラム商人はウガンダ人の大人にイスラム教を布教しようと活動する一方、キリスト教は宣教学校を設立することで、子どもから教育していきました。

いまでもウガンダには、「子どもには宗教の勉強をしっかりとさせる学校に入学させたい」と希望する保護者が多くいることから、キリスト教の影響は大きいと考えられます。

ウガンダでは、異なる信仰を持つ人々が尊重し合って暮らしている

キリスト教徒の多いウガンダ。日曜日は礼拝がおこなわれるため、マーケットやお店は閉まっていることも多く、人々はおしゃれをしてキリスト教の教会に向かい、歌って踊ります。

日曜日の朝に教会から讃美歌が聞こえてくる一方で、その近所でイスラム教のモスクからアザーン(礼拝の呼びかけ)が聞こえてくるのもまた、ウガンダの特徴です。

筆者がウガンダを初めて訪れた際に驚いたことは、「ウガンダ人は、信仰の深さに関係なしに、友達や身近な人がどの宗教に属しているか気にしていない」ということです。ウガンダでは、毎日集まる仲の良い友達のグループにも、同じ屋根の下で寝ているシェアハウスのメンバーにも、異なる宗教に属する人がいるというのはよくある光景なのです。

その理由をウガンダ人に聞いてみると、「宗教的アイデンティティよりも民族的アイデンティティの方が重視される。また、幼い頃から近所にキリスト教徒もイスラム教徒もいる上、異宗教間の結婚もよく見られる。」と教えてくれました。

また、信仰度も人によってかなり差があります。

年配の人は信仰深いことが多く、筆者も初対面の年配のウガンダ人に「宗教は何か」と聞かれることがしばしばあります。一方で、若いウガンダ人に話を聞いてみると、「家族は信仰深いが自分は無主教」と答える人も多くいます。とくに、外国人と仕事をする機会のあるウガンダ人や、海外渡航をしたことのあるウガンダ人にそういった考えをもつ人が多く見られるようです。

複数の宗教が存在するウガンダ。信仰の深さも人によりけりですが、同国には多様な民族が隣り合って暮らしていることが、信仰する宗教の垣根を超えて互いに尊重し合っている理由となっているのかもしれません。

References:
AFRO BAROMETER「Religion in Africa: Tolerance and trust in leaders are high, but many would allow regulation of religious speech」
ARDA「WORLD RELIGION」
日本大使館「カンパラ通信~ナカセロの丘から」

Text:Hao Kanayama

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Hao Kanayama

ライター

16歳、初アフリカ大陸上陸。19歳、アフリカ10か国放浪。20歳、ウガンダ移住。ウガンダの現地の会社とNGOの職員として、ストリートチルドレン、シングルマザー、薬物中毒者、孤児の支援を行う。不条理で不都合な世界だけど、その先にある希望を求めて歩き続ける、アフリカの人々の暮らしをわたしの目線から伝え続けたい。少数民族と木登りとテクノがスキ。

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