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親が政治家なteenのリアル【政治POPS. #3 】

親が政治家なteenのリアル【政治POPS. #3 】

― 誰かが、「日本は平和だから、若者が、政治に興味を持たずにすむ」とか⾔っていたらしい。でも、政治は未来の国を良くするためにあるのなら、きっとホントは僕らのもの。なんでもいいから、興味を持とう。政治の話はそれからだ。

政治をポップに発信していく新企画「政治POPS.」。フリーライターの中村眞大がナビゲーターとなり、10代の皆さんを楽しくわかりやすい政治の世界へと誘います。今回は、普段あまり表に出ることが少ない、政治家の子どもにスポットを当てて、いろんなことを根掘り葉掘り聞いちゃいました!

取材に応じてくれたのは、高校2年生のひかりさん(仮名・福岡県在住)と、高校1年生のはなさん(仮名・東京都在住)。二人のお父さんの職業は、国会議員。ひかりさんのお父さんは立憲民主党、はなさんのお父さんは国民民主党に所属する現役の衆議院議員です。

親が政治家だと政治との距離感は変わるのか?

僕らにとって「政治はお堅いもの」というイメージがある。身近か、身近じゃないかで言えば、身近とは言えないのがリアルだと思う。では、親が政治家の場合はどうなんだろう?

政治と言えばおカタいイメージがあるけれど……

はな:父は、わたしが小学校2年生のときに国会議員になりました。小2って世の中のことが少しわかってくる頃じゃないですか。うちの家庭は、家の中で政治の話をすることも多くて、政治は昔からすごく近い存在でした。

ひかり:わたしが物心ついたころからお父さんは政治家をしていたので、地元の行事についていくこともよくあったし、お母さんも事務所の手伝いをしていたので、幼い頃から身近だったかなと思います。学校でも、社会の授業で政治について扱ったりすると、「政治家の娘だから詳しいでしょ?」みたいな周りからの圧もあって。

はな:わかります(笑) 周りから「どうなの?」ってよく聞かれていたので、詳しくならなきゃって思っていました。

世論調査の結果をマメにチェック?teenたちの選挙戦

政治家にとって一番大変なのは、選挙。なにせ落選したら無職になってしまうんだから、政治家はみんな命がけで戦う。未成年は選挙運動ができないけれど、選挙期間はどう過ごしているのだろう?

はな:これまで3回、選挙を見てきたんですけど、こっちも生活がかかっているので、すごい注目はしますね。世論調査の結果を見て「あ、五分五分かも…」みたいな感じで定期的にチェックしています。母も手伝いに行くので、選挙期間は、家族総出で「やばい、選挙!」みたいな雰囲気はなりますね。でも、平日は学校があるので、選挙との関わりというと、父の街頭演説を聴衆として聴きに行くくらいです。

ひかり:選挙の手伝いをすることはないけど、選挙期間中になると、うちのきょうだいみんなで投開票日のカウントダウンとメッセージを書いて、写真を撮ってお父さんに送っていました。開票速報は家できょうだいと一緒に見ています。一度、テレビ局によって結果がバラバラだったことがあったんです。20時過ぎてすぐに当確が出た局もあれば、いつまでも「接戦」って言っている局もあって、それはめっちゃ怖かったですね。

ひかりさんたちがお父さんに送っている「投票日カウントダウン応援メッセージ 」

優しい?ウザい?子どもから見た父親の素顔

国会議員の職場は東京・永田町。地方に住む政治家は、週末になると地元へ戻り、国会が始まる火曜日には東京に戻っていないといけない。これを金帰火来(きんきからい)なんて言ったりする。つまり、家族と会えるのは、実質、土日だけ。そんな「お父さん」を子どもたちはどう思っているのだろう?

はな:ずっと一生懸命働いてくれていて疲れているし、ちょっとイラ~っとしたときでも、強く言うのが可哀そうになっちゃう(笑)。でも、そもそもめっちゃ優しいので、そんなにイラつくことがなくて。だからか、わたし自身反抗期がなかったんですよね。

ひかり:やっぱり土日しか帰ってこないので、わたしに土日の予定があったりすると、話せるのは土日の夜だけになるんですよ。なので、一週間分の話したいことをいっぺんに話している感じです。

はな:父は、仕事でもプライベートでも誰とでも仲が良くて。他の党の人とも仲が良いのは、すごくいいなあって思っています。

幼少期のはなさんとお父さん

幼少期のはなさんとお父さん

ひかり:「現場の声を聞く」っていうのをキャッチコピーにしているんですけど、言うだけじゃなくて本当にしているし、わたしの進路の相談にものってくれるので、そこはすごく好きですね。

政治家の娘、政治家になる…?

はなさんもひかりさんも、18歳になったらいろいろな候補者の選挙ボランティアをしたいらしい。二人の将来の選択肢に「政治家」はあるのだろうか?

はな:表向きは政治家でも、家では普通の父親なので、父の本当の大変さをわかっていない部分も多いと思うんです。だから、選挙ボランティアをやって、政治家のリアルを第三者として観てみたいなと。将来の夢にもつながるかもしれないし、普通に興味があります。

ひかり:選挙活動の大変さを間近で見ていて、ボランティアの人たちの存在があってこそ、いまの父が当選できていると思うので、わたしもボランティアとして関わりたいなと思っています。

はな:小さい頃は、政治家になるなんて考えたこともなかったんですけど、1年半くらい前に生徒会役員になって、昔から政治とか法律とかが身近だったこともあり、だんだん政治家もいいなと思い始めています。言うのが恥ずかしくて、まだ父には言っていないんですけど(笑)。

ひかり:生徒会とか課外活動はやっているし、政治の重要性もわかっているけど、父を見ているとすごく忙しそうなので、同じようにやりたいなとは思いませんね。

―ひょっとして政治家の子ならではの愚痴や親の悪口が山ほど出てくるのでは? と少し歪んだ期待を抱いていたぼくは、おふたりから出てくるほっこりエピソードに見事に撃沈してしまいました(笑)

おふたりとも「政治」や「選挙」に巻き込まれ過ぎず、程よい距離感で関わっていることがわかりました。ひかりさん、はなさん、ありがとうございました!「政治POPS.」はまだまだ続きます!お楽しみに〜!

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Masahiro Nakamura

ライター

2002年生まれ。小学校低学年の頃、校門横にあった選挙掲示板のポスターをきっかけに政治に興味を持つ。小学校5年生で友達と架空政党「政治改革党」を結党するも程なくして消滅。中2のとき、突然思い立って生徒会長選挙に立候補、思いがけず当選。高校3年次に校則問題をテーマにしたドキュメンタリー映画『北園現代史』を制作し、大学入学後から本格的に取材・発信活動を始める。趣味は一人旅。編著『わたしたちの世界を変える方法 アクティビズム入門』。

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