
「気になる10代名鑑」の988人目は、森本明希恵さん(19)。家庭環境や経済的な理由から体験活動を十分に経験できない子どもたちのために、無料塾を立ち上げて運営をおこなっています。子ども食堂などのボランティアの経験が立ち上げのきっかけとなったと話す森本さんに、塾づくりで大切にしていることや印象的な子どもたちとの出会いについて、詳しく聞いてみました。
森本明希恵を知る5つの質問
Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?
「高校3年生のときに、NPO法人宮ノマエストロで『みやまえ塾』という無料塾を立ち上げて、いまはボランティアでその運営をおこなっています。
小学生から高校生の子どもたちに向けて、おもに学習支援をしているのですが、それ以外にも農業体験や太鼓演奏などさまざまな体験活動を楽しめる場も提供しています」
Q2. どんなことをテーマに活動をおこなっていますか?
「学習支援だけではなくて、子どもたちの将来の選択肢を増やしてあげられるように成長を支えていきたいなという思いがあって。
学習支援だけをする団体も多いですが、農業や音楽の体験って、学校や家がつらくなったときでも毎日を楽しむための居場所にもなると思うんです。わたし自身、子ども食堂やキャンプリーダーなどのこれまでいろんなボランティアをしてきたのですが、いまもその経験が自分の軸になっていると考えています」
Q3. 活動を始めたきっかけは?
「もともと子どものキャンプのリーダーをしていたのですが、そのときに『経済的に余裕のある家庭の子しかキャンプに参加していないのではないか』という疑問を抱いたことがきっかけです。
その疑問から子ども食堂のボランティアを始めて、支援を必要としている子どもたちのための無料塾の需要があることに気がついて。同じく子ども食堂でボランティアをしていた学生たちといっしょに、その思いを共有しながら無料塾を始めることができました」
Q4. 活動する中で、印象的だった出会いは?
「12歳の女の子と、ふたりでブランコで遊んでいたときに、弟に障がいがあって家族でお出かけしたりご飯を食べにいったりすることがなかなかできないということを打ち明けてくれたことがありました。
その話を聞いて、自分の身近なところにも支援を必要としている子どもたちがいることを目の当たりにして。子ども食堂や無料塾もニーズがあるんだなと改めて実感して。
あとは、人前で話すことができない全緘黙症の子の学習支援を担当したことも印象的でした。
その場で会話をしながら教えることが難しかったので、教科書よりも詳しくプリントを作ることを心がけながら、家でも自分で勉強ができるように教えていました。ボランティアのメンバーで話し合ったり、元特別支援学校の先生にも相談したり。無事高校を卒業できたと聞いたときの嬉しさは、いまでも忘れられません」
Q5. 将来の展望は?
「『みやまえ塾』の規模を大きくして、より多くの子どもたちの成長の役に立ちたいです。学習支援だけでなく若者が主催する体験活動の支援をしている団体は珍しいみたいで、2駅隣からわざわざ来てくれている子もいるんです。そういうニーズに応えながら、もっと多様な体験活動を届けていきたいです。
『みやまえ塾』での活動を軸にしながら、何かしらのかたちで児童支援に関わりつづけたいですね」
森本明希恵のプロフィール
年齢:19歳
出身地:神奈川県横浜市
所属:日本女子大学、NPO法人宮ノマエストロみやまえ塾
趣味:お笑いをみること、野球観戦
大切にしている言葉:継続は力なり
Photo:Nanako Araie
Text:Haru Ninagawa