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ナミビアで初の女性大統領が誕生。アフリカの政界で女性比率はどうなっている?【Steenz Breaking News】

ナミビアで初の女性大統領が誕生。アフリカの政界で女性比率はどうなっている?【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、女性の政治家が多数活躍するアフリカ各国の政治事情をご紹介します。

ナミビアで初の女性大統領が誕生!

アフリカ南部の国・ナミビア共和国で3月21日、同国初の女性大統領が誕生しました。今回就任したのは、ネトゥンボ・ナンディ=ンダイトワ氏(以下、ンダイトワ大統領)です。

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ンダイトワ大統領は、1990年から国会議員として活動を始め、過去には副大統領や外務大臣などさまざまな閣僚職を務めてきました。10代の頃には、ナミビアの解放運動にも参加していたことがあります。

かつてドイツの植民地だったナミビア。同国では、白人と現地にもともと暮らしている民族との間にさまざまな問題が発生しています。土地問題もそのうちのひとつ。ナミビアに住む白人の人口は全体のわずか1.8%にも関わらず、同国の農場の約70%は白人が所有しています。また、雇用問題も深刻です。ナミビアの失業率は36.9%。ンダイトワ大統領は、そうした問題の解決を目指し、農業分野への投資などに力を入れることで、雇用の創出と自国の食糧不安の解決を目指しています。

国会の女性議員比率が世界で最も高い国はアフリカにある

ところで、アフリカでは、国会の女性議員比率が日本よりも高い国が多いのをご存知でしょうか。

世界各国の議会による国際組織・列国議会同盟(IPU)によれば、世界の国々の国会における女性議員比率の平均値は27.2%でした(2025年3月1日時点)。それに対し、2024年の日本の国会議員における女性比率は19.0%と、過去最高ではあるものの、世界各国と比較すると低い結果になりました。

そんな中、実はサブサハラ以南アフリカの国々における国会議員の女性比率は27.1%となっています。そして、国会における女性議員比率が世界で最も高い国はアフリカ・ルワンダの61.3%なのです。

それだけではありません。アフリカでは、女性が国家のトップに立つケースも増えてきました。例えば、過去にはリベリアのエレン・ジョンソン・サーリーフ元大統領や、タンザニアのサミア・スルフ・ハッサン大統領が女性大統領として役職を全う。これまでに何人もの女性が、最高職である国家元首や首相代理に就任しています。

法制度はどれだけジェンダー平等の実現に貢献する?

視点をルワンダに戻しましょう。なぜ、ルワンダは世界で最も高い女性議員比率を実現することができているのでしょうか。

ひとつめに考えられるのは、ルワンダで数十年前に起きたジェノサイド(大量虐殺)の後におこなわれた「ガチャチャ裁判」の影響です。ガチャチャ裁判は、虐殺中に起きた犯罪について、虐殺から生き残った人など、専門的な司法資格を持たない民間人同士が話し合って加害者の量刑を決める裁判のこと。この仕組みには、女性が積極的に裁判官や証人として参加したそうです。ここで女性が指導的な立場に立ったことによって、現在もルワンダでは多くの女性の裁判官や弁護士が活躍しています。

 

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ふたつめは、政治における「クオータ制」の実施です。これは国会の構成員の一定数を女性にすることを定めた制度。政治においては、男女平等で知られるノルウェーや台湾などを含めた国が、法律または憲法において、こうした候補者の一定数を女性と定める制度を導入しています。

実は、アフリカでは54カ国のうち41カ国が、国レベル、地方レベル、またはその両方で何らかの形のクオータ制を実施しています。

日本では企業や政治においてクオータ制がたびたび話されてきましたが、逆差別になるといったデメリットもあることから、議論があまり進んでいません。

しかし、ルワンダでは、政治だけでなくさまざまな領域で女性の権利保護や活躍推進につながる取り組みがおこなわれています。例えば、これまでには女性が財産を相続できる相続法や、配偶者間での共同の土地所有権が認められる土地法が制定されました。また、家庭内暴力やハラスメントを犯罪とする法律や、ガバナンスや健康、教育におけるジェンダー平等に関する国家政策の制定によっても男女平等が推進されています。 

アフリカで進む女性の政治参加。社会に好影響をもたらすか?

アフリカというと、村社会が未だ根強く存在し、性別によって社会的な役割が定まっている印象があるかもしれません。しかし、実は政界では多くの女性の活躍が見られます。包括的な男女平等を実現するためには、文化的、社会的な個人間の意識改革も重要ですが、それだけでなく、システムや法律といった構造的な改革も両軸でおこなうことが必要です。アフリカで進んでいる女性の政治参加が、今後も社会全体にポジティブな変化をもたらしていくことが期待されます。

 

References:
IPU Parline「Global and regional averages of women in national parliaments」
立憲民主党「日本の国会議員の女性比率」
JOICEFP「ジェンダー・ギャップ指数」2024が発表 日本は146カ国中118位」
IPU Parline「Monthly ranking of women in national parliaments」
Africa Barometer 2024「Women’s Political Participation」

Text:Hao Kanayama

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Hao Kanayama

ライター

16歳、初アフリカ大陸上陸。19歳、アフリカ10か国放浪。20歳、ウガンダ移住。ウガンダの現地の会社とNGOの職員として、ストリートチルドレン、シングルマザー、薬物中毒者、孤児の支援を行う。不条理で不都合な世界だけど、その先にある希望を求めて歩き続ける、アフリカの人々の暮らしをわたしの目線から伝え続けたい。少数民族と木登りとテクノがスキ。

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