
世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、筆者が今まで訪れた中で最も美しい国だと思った、「天空の王国」とも言われるアフリカの国・レソトの魅力をたっぷりとご紹介します。
まず、レソトを知ってほしい!
最近、ニュースを見たり、読んだりしていると必ずと言っていいほど話題に上がっている、アメリカのトランプ大統領。各国に対し高い関税率を課すと表明したことで、世界はいま大混乱の様相を呈していますが、世界の国々の中で最も高い50%という関税率をかけられた国が筆者の住むアフリカ大陸にあります。南アフリカ共和国の中に存在する、「レソト」という小国です。
レソトは今年3月、トランプ大統領が施政方針演説の中で、「誰も聞いたことのない国」と言及。同国に対し、アメリカがLGBTQI+に支援するための予算を800万ドルも提供していることは問題だと指摘しました。
レソトの外務大臣はこの発言は侮辱的だと反発。世界で話題になりました。ただ、一部メディアの報道によると、米国の対外援助について記したウェブサイトにはレソトでのLGBTQI+の権利に対する財政支援は記載されていないということです。その代わり、同国のHIV/AIDSの問題に取り組むための資金や、保健および農業部門での資金提供があったとされています。
レソトは、アフリカで唯一スキーができる国!
レソトは、人口約230万人の小国です。標高が1400m以上の山が国土のほとんどを占めるため、「天空の王国」と呼ばれています。冬は山岳地帯が雪で覆われ、アフリカで唯一のスキー場が存在する国としても知られています。
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主要産業は農業と繊維産業ですが、同国の経済規模はかなり小さいため、多くの労働者が南アフリカ共和国に出稼ぎに行っている現状があります。国民は主にソト族で構成され、もともとイギリス領だったことから、ソト語と英語が公用語です。また、国民の9割以上がキリスト教徒です。
観光資源化されていない伝統文化の数々
そんなレソトの魅力といえば、国旗にソト族の麦わら帽子があしらわれているように、伝統文化が社会の中に強く根付いていることです。アフリカでは現在、開発が急速に進んでおり、都市部では高層ビルが立ち並ぶ国もあります。グローバル化により、アフリカの各国で先住民族の儀式や生活が観光資源として活用されるようになってきているなか、わたしが先日、レソトを渡航した際は、現地の人が麦わら帽子を被って、マントを羽織り、馬に乗って伝統的な生活をしている姿を見かけたのです。
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放牧が盛んなレソトでは、家畜の数が人口よりも多いとされています。また、国土全体が山で囲まれており、舗装された道路が少ないため、人々は馬やロバで移動しています。
住まいには「モコロ」と呼ばれる、ハットのような形をした伝統的な家が見られます。こうした住居の壁は土、砂、石などで作られ、屋根は茅葺きになっています。地方に行くと数十のモコロが集まり、村を形成しているようでした。
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そして、レソトを語る上で絶対に忘れてはいけないのが、壮大な自然です。海外を旅行していて大自然を見に行く際、バスやタクシーに乗って目的地に向かうことがほとんどだと思います。しかし、わたしがレソトに滞在していた際は、「近所を歩いているだけで息を呑むほどの美しい大自然を見られる」という日々を過ごすことができました。
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落差192mを誇るマレツニャーネ滝や、何千年も前の狩猟生活の様子が描かれた岩絵が残るリップホフン洞窟。レソトという小さな王国には、何千年も前から続く歴史が詰まった自然が広がり、人々はこの大自然の恩恵を受けながら共存しているのです。そして、何よりもこういった自然や生活がオーバーツーリズム化することなく、そのままの姿で生かされているところがレソトならではの魅力だと思います。
レソトは、南アフリカのヨハネスブルグから約5時間のドライブで行くことができます。また、アフリカの多くの国に渡航する際はVISAが必要なのに対し、レソトは日本人であればVISAなしで90日まで滞在可能です。
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筆者がアフリカ大陸を旅していた際、アフリカで出会う自然は常に別世界のように壮大で、人間が生まれたのはこの大陸で間違いないと感じるほどでした。レソトはその中でも、人生で出会った最も美しい国で、地球にこのような場所が存在することを嬉しく思ったほどです。みなさんも人生で一度、行ってみてはいかがでしょうか。
Text:Hao Kanayama
Reference:外務省「レソト王国(Kingdom of Lesotho)基礎データ」