Teen's Snapshots

成蹊大学で起業サークルを立ち上げた大学生。「“意識高い系”の偏見が挑戦のハードルを上げている」【こと・19歳】

成蹊大学で起業サークルを立ち上げた大学生。「“意識高い系”の偏見が挑戦のハードルを上げている」【こと・19歳】

「気になる10代名鑑」の949人目は、ことさん(19)。成蹊大学で学生がのびのびと自己表現できる場をつくろうと、起業サークルを立ち上げました。自身の生い立ちから、将来は子どもが親といっしょに笑って過ごせる社会をつくりたいと語ることさんに、サークルを立ち上げた背景や活動に込めた思いについて聞いてみました。

ことを知る5つの質問

Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?

成蹊大学に通いながら、『Seikei Startup Studio』というサークルを立ち上げ、代表として活動しています。学生が自由に自己表現をしながら、それをかたちにできる環境をつくることが目的です。

具体的には、メンバー同士で自己紹介を兼ねたピッチをもとに、実際に起業した社長のひとたちに審査してもらうイベントを開催しています」

Q2. 活動を始めたきっかけは?

「大学には、将来やりたいことや強い思いを持っているひとがたくさんいます。でも、それを発信して、かたちにできる場がないと感じて……。

たとえば、就職やキャリアに対してしっかり考えている友達が、『早期インターンに行く』と話すだけで“意識高い系”と思われてしまうような空気があると思っていて。そういう保守的な雰囲気が、挑戦のハードルを高くしていると感じていました。

僕自身、高校3年生のときに、英語だけでビジネスプランを作り発表をする2泊3日のイベントに参加して、挑戦することの大切さを実感したことがあったんです。英検2級を持っていたけれど、ビジネスプランを企画するうえでは全く通じなくて、自信を失いかけて……。

でも、チームで協力をして最終的に1位を獲得できたことで、『自分がチームのピースのひとつになれた。失敗しても挑戦した先にしか得られないものがある』と実感したんです。この経験もあって、そんな挑戦を後押ししてくれるような『学生のための環境』が必要と思い、サークルを立ち上げることを決めました」

Q3. 活動にあたってのファーストアクションは?

「大学1年生のときに、成蹊大学主催の2日間のビジネスプランピッチイベントに友人と参加しました。

結果としては負けてしまいましたが、ある審査員のひとに『絶対に成功させます』と伝えると、『あなたにとっての成功と、相手にとっての成功は違うよね?』と返されて。その一言が『成功とは何か?』という問いと向き合うきっかけになりました。

この経験を通して、自分中心だった“成功”の定義が、他者との関係のなかで再構築されていく感覚を得ました。そしていま、サークル活動を通じて、自分の思いを自由に発信しながらも、同時に仲間と価値を生み出せるような場づくりは何かを考えていくこともすごく大事だと実感しています」

Q4. 活動を続けている中で、影響を受けた人物は?

大学のピッチイベントで出会った友人です。彼といっしょにサークルを立ち上げたのですが、とにかく熱量がすごくて、やりたいことにまっすぐ。初めて会ったときから、『このひとと何かやってみたい』と思わせてくれるような存在でした。

サークルの立ち上げも、『サークルやりたいよね。いっしょにやらない?』という何気ないひと言から始まって。その一言があったからこそ、ぼく自身も最初の一歩を踏み出すことができたと思っています。

今でも、自分にとっての活性剤のような存在で、日々たくさんの刺激をもらっています」

Q5. 将来の展望は?

将来的には、子どもと親がいっしょに笑って過ごせる社会をつくることが夢です。中学生の頃に父を亡くし、母に育てられたのですが、いつも明るく接してくれた母の姿に、何度も救われました。その経験から、『子どもが笑っていられるのは、親が笑っているからだ』と感じるようになったんです。

そために、親の事務的な負担を減らし、子どもと向き合う時間を少しでも増やせるような仕組みが必要じゃないかなって。たとえば、地域ごとに異なる制度や提出書類を、ひと目で整理・管理できる『母親のためのカレンダー』のようなサービスを展開したいと考えています。

いまの起業サークルの運営とは少し分野は異なるけれど、活動で得た人脈や経験を、将来的にこうした事業に活かしていきたいと思っています。どんなかたちであれ、子どもたちの笑顔をつくる存在でありたいという気持ちは、いまもまったく変わっていません。そのためにもまず、自分の思いをのびのびと発信できる場所を、サークルという場の中でつくり続けていきたいです」

ことのプロフィール

年齢:19歳
出身地:東京都渋谷区
所属:成蹊大学
趣味:音楽
特技:ギター
大切にしている言葉:挑戦

Photo:Nanako Araie
Text:Serina Hirano

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Serina Hirano

エディター/ライター

東京と静岡の二拠点生活。リアルを懸命に生きている若者を応援するため、パラレルワーカーとして活躍中。インタビュー記事を基点とし、学生やスターアップ企業、まちづくりの領域まで幅広く活動しています。ライター兼ディレクターとして、2024年からsteenzに携わる。

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