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「自分の街を推せる」未来を目指して。多摩市でまちづくりの社会実験中の高校生【中野敬太・18】

「自分の街を推せる」未来を目指して。多摩市でまちづくりの社会実験中の高校生【中野敬太・18】

「気になる10代名鑑」の953人目は、中野敬太さん(18)。多摩市と連携しながらワークショップや社会実験を通してまちづくりに挑戦しています。高校1年生の探究授業で気づいた「若者こそ、まちを動かす原動力になれる」という気持ちを大切にしている中野さんに、活動の原点や、悩みを越えたその先の展望について聞いてみました。

中野敬太を知る5つの質問

Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?

「多摩大学附属聖ヶ丘高校に通いながら、地元で『まちづくり』に関わる活動をしています。

特に力を入れているのは、『多摩市若者会議』のメンバーとしての取り組みです。高校生3人、大学生3人が中心となって、大人たちで構成されたチームで、行政と連携しながら、市民の声を集めたり、ワークショップを企画・運営したりと、さまざまな社会実験に挑戦しています。たとえば、地域のつながりの希薄さをテーマにしたワークショップでは、多摩市の“良いところ”と“改善したいところ”を参加者に挙げてもらい、そこから『街で小さな約束をつくる』という対話の場を生み出しました」

 

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Q2. 活動を始めたきっかけは?

高校1年生の『総合的な探究の時間』で、地域の課題について調べたことがきっかけです。

ぼくが担当したのは多摩センターエリアだったんですが、あのサンリオピューロランドの来場者数減少やホテルの閉業など、街のにぎわいが失われつつある現状に気がつきました。

そこで提案したのが、時間帯ごとにターゲットを変えたカフェのアイデアです。朝はビジネスパーソン向け、昼は高齢者が気軽に立ち寄れる場所に、夜はサンリオとコラボした空間にするという内容です。

この企画が評価され、なんと市長の前でプレゼンする機会もいただけて……。街のことを深く知り、自分たちで考えたアイデアが市民や行政からの反応として返ってくる楽しさを体感したことで、もっとまちづくりに関わってみたいと感じるようになりました」

Q3. 活動する中で、印象的だった出会いは?

「いちばん印象に残っているのは、高校の『総合的な探究の時間』を担当していた先生です。その先生は、一般的な授業とはまったく異なる、ユニークで問いに満ちた授業を展開してくれました。たとえば、子ども向けの絵本を教材に使ったり、『好き』という言葉を使わずにラブレターを書く課題を出したり。そうした授業の内容を通して、『自分の考えで世界を捉えること、理念や軸を持って生きること』の大切さを学んだんです。

なかでも心に残っているのが、先生からいただいた『どんなにキレイな服よりも、まっすぐな理念の方が美しい。そう思える探究者になってください』という言葉。キレイな服は、立場や実績などの表面的なものを指していて、それよりも自分の信じることを貫く姿勢が美しい、そんなふうに受け取りました。この言葉は、これからも一生忘れることなく、自分の道を照らしてくれると思っています」

Q4. 活動の中で、悩みがあれば教えてください。

「街頭アンケートで話しかけても無言で立ち去られてしまったときや、『行政との連携は難しいかもね』と言われたとき、『自分のやっていることって、本当に誰かの役に立っているのかな』と不安になる瞬間があります。これって、ただの自己満足なのかもしれない……って。

そんなとき、行政のひとから『たとえ自己満でも、君の行動が1ミリでも誰かの気持ちや街を動かしている。それって、すごいことだよ』と声をかけていただき、ふっと心が軽くなったんです。それからは『楽しいからやってみたい』という気持ちを一番大切にしています。

実際に、自分が楽しんでワークショップを運営していたら、『なんか面白そうだから来てみた』と言ってくれるひとが現れたり、友だちが手伝ってくれたり。そうやって輪が広がっていく瞬間に、活動の意味と力を感じるようになりました」

 

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Q5. 将来の展望は?

将来的には、まちづくりをもっと“オープンなもの”にしていきたいです。行政やまちづくりに興味があるひとだけでなく、誰もが気軽に関われる空気をつくりたいと思っています。

引き続き、多摩市で市民の声をもとに、ワークショップや社会実験、若者と行政の協働プロジェクトなどをかたちにしていきたいと考えています。そこで得た経験や知見を、やがて全国にも広げ、行政の意思決定プロセスをもっと開かれたものにして、誰もが『自分の街を推せる』と思えるような文化を育てていくことが、いまのぼくの大きな目標です。

そして、自分自身が『やりたいことをやり続けるひと』でありたい。理念を持って行動する姿勢を、これからも大切にしていきたいと思います」

中野敬太のプロフィール

年齢:18歳
出身地:神奈川県
所属:多摩大学附属聖ヶ丘高校、多摩市若者会議
趣味:街歩き、ゲーム
特技:アイデアを考えること
大切にしている言葉::「どんなにキレイな服よりも、まっすぐな理念の方が美しい。そう思える探究者になってください」

中野敬太のSNS

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Photo:Nanako Araie
Text:Serina Hirano

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Serina Hirano

エディター/ライター

東京と静岡の二拠点生活。リアルを懸命に生きている若者を応援するため、パラレルワーカーとして活躍中。インタビュー記事を基点とし、学生やスターアップ企業、まちづくりの領域まで幅広く活動しています。ライター兼ディレクターとして、2024年からsteenzに携わる。

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