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人生の選択ってどうしてる? 幸せになるための選択って何! って感じている人に。Steenzブックレビュー 【本と私と。】

人生の選択ってどうしてる? 幸せになるための選択って何! って感じている人に。Steenzブックレビュー 【本と私と。】

こんにちは、小春です。「書評アイドル」として執筆活動しながら、モデルなど幅広く活動している20歳です。

「感情と風景が交差するところ」をコンセプトに、新しい本との出会いをみなさんに届ける書評フォトエッセイ連載企画 “Steenzブックレビュー『本と私と。』” 第3弾の今回は「人生の選択ってどうしてる? 幸せになるための選択って何!」って考えている人におすすめの1冊『自転しながら公転する』です。

何を選べば幸せになれる?

わたしは、いま、就活中なんだけど、自分はどうしていきたい?どうなりたい?何を大切にしたい?ってとても考えさせられている。家族、人間関係、自分のキャリア、夢、趣味、優先順位をつけようと思っても全部犠牲にしたくないって葛藤が多すぎる! 大切にしたいことが多すぎる中で何を選んでどう生きれば私は幸せになれるのかな……そんなことを毎日考えている。

今回の主人公、都は、非正規雇用の従業員としてアパレル店で働いている。彼女の母は更年期障害で精神科通い。ある日、彼女は、寛一と運命的な出会いをして付き合うことに。でも、寛一は中卒で、元ヤン、挙げ句に、無免許運転をするような始末。シビアな環境で生きてきたからこその人間力を魅力に感じつつも、将来のことを考えると悩んでいる。さらに、職場でも、上司のセクハラや勤務態度で不満が募るし、会社勤めの安定している人と付き合っている友人を、羨ましく思ってしまう。そんな中、父にがんが見つかってしまう……。

このまま寛一と付き合ってもいいのか。安定を取って正社員になるべきか、そして、病気の家族とどう向き合っていくか。将来に対しての欲もなく、自分への不安が重なる中でなにを優先してどう生きれば幸せになれる?と自問自答していく物語だ。

選択肢の向き合い方

人間って、受験、就活、何を着るか、何を食べるか、大小さまざまな場面で選択肢を迫られる。その時、私は「何を選べば幸せになれるのか」を基準に考える。でもそもそも、「その幸せとは何か」ってところから自分の指針は曖昧だ。だから、たくさん考えてもこの選択が合っていたのか分からないし、「自分が選んだケーキよりも友だちが食べているフルーツタルトの方が美味しそう」みたいに後悔することはよくある。将来に対して欲がないと、その指針のあいまいさはなおさらで、選択肢の取り方は、よりいっそう苦しくなる。今、まさに、わたしがそれ。就活で30代、40代のキャリアを聞かれても、自分がどうなりたいかを描けない。

この物語の中の都が、結婚するには、寛一に安定感が足りないからと今後の付き合いを迷ってしまうように、私も損得勘定で、打算的に考えている負い目を感じたり、人と比べて自己嫌悪になったり……。だから、いろいろなことにぐるぐる悩んでいる都に共感してしまう。

打算的に生きていても思い通りにならない

ここからは、ネタバレだけど、結局、都は、寛一と結婚して、出産。個人的には、「本当にそれで良いのか都! それが幸せということなの…?」と思ったくらい予想外の展開だった。さらに、驚いた言葉がある。自分の娘に、「別にそんなに幸せになろうとしなくたっていいのよ」「少しくらい不幸で良い。思い通りにはならないものよ」と話したのだ。あんなに悩んでいた都の言葉だから驚きつつも説得力を感じた。

もしかして、「なるようになる」って縁や流れに身を任せると、意外といい方向に行ったりするのかも? でも実際そう割りきることって今の私には難しい。都みたいにそれを運命と割り切れたり、少しくらい不幸でもいいと思たりできる強さがほしい。年を重ねれば分かる景色だと信じて、未来の自分に今の悩みも一緒に丸ごと身を任せてみたいな。

今回紹介した本

Amazon.co.jp: 自転しながら公転する(新潮文庫) 電子書籍: 山本文緒: Kindleストア

『自転しながら公転する』/山本 文緒  著/新潮社

Text:koharu
Edit:Keisuke Watanabe

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小春

小春(こはる) 2004年生まれ。大学生、書評アイドル。12歳からアイドル活動を始め、2017年〜『週刊読書人』でweb連載。「カンコー委員会」一期生、三期生(商品開発)の他、『NHK高校講座現代文』で生徒役を務めた。「ミスiD2021」では本と女優賞を受賞。大好きな本を中心に書評やモデル、俳優など幅広く活動中。

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