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「世界水の日」に知りたい、水資源問題や国内企業の取り組み【Steenz Breaking News】

「世界水の日」に知りたい、水資源問題や国内企業の取り組み【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、3月22日の「世界水の日」を前に、水資源問題の解決に挑む国内企業の取り組みをご紹介します。

世界の水資源は奪い合いになっている

「水の惑星」と呼ばれている地球。大部分が水で構成されているこの星には、水資源が豊富にあると思われるかもしれません。しかし、わたしたちが飲み水や農業、工業などの用途に使用できる淡水に限ると、地球上でたったの2.5%しかありません。水資源がいかに貴重なものであるかが分かります。

さらに、水資源は世界中に均等に分布しているわけではなく、豊富な地域もあれば、慢性的に不足している地域もあります。今後、人口増加や都市化、気候変動の影響で水の需要はますます増えると予測されています。

その結果、水をめぐる争いも深刻化しています。2000年から2019年の間に、水資源を巡る紛争や暴力が中東、サハラ以南のアフリカ、南アジアなどで676件も発生しました。さらに、2010年から2019年には、毎年2150万人が干ばつや水害で住む場所を失い、「気候難民」となっています。

水資源の問題は、環境だけでなく、平和や人権にも大きく関わる重要な課題なのです。今回は、こうした課題の解決に取り組む国内企業を3社ご紹介します。

水道がない場所でも水が使える画期的なプロダクト

「水利用の構造的課題をとらえ、普遍的な解決方法を実現する」ことを掲げるWOTA株式会社が手がけるのは、水再生システムを駆使した節水型のプロジェクトや製品です。

同社が開発した「水循環型手洗いスタンドWOSH」は、使用した水の98%以上をその場で循環させることで、節水に大きく貢献しています。電源さえあれば水道のない場所にも設置することが可能で、わずか20リットルの水で約500回の手洗いが可能だといいます。仕組みとしては、3つのフィルターを組み合わせることで、一度使用した水に含まれるウイルスや不純物を除去。さらにセンサーと連動したAIが、水質・システムを常時監視・制御することで、水質を高く保つことが出来るそうです。

また、水道が使えない場所での水利用を実現する、ポータブル水再生システム「WOTA BOX」は、シャワーキットや洗濯機に接続すれば、災害時でも、大自然の中でも、入浴や洗濯に使用することができます。同製品は、「2020年度グッドデザイン賞」も受賞しています。実際に、2022年に発生した台風15号の被害にあった静岡県や2024年の能登半島地震の被災地でも活用されたそうです。

水だけで汚れが落とせる新発想の食器とは?

サステナブルな社会の実現を目指してさまざまなソリューションを開発するデザイン会社、株式会社DG TAKANOが提案するのは、節水と時短を叶える新発想の食器「meliordesign(メリオールデザイン)」です。独自技術によって汚れと皿の間に水が入り込み、汚れが浮かび上がり、落ちにくい油の層も洗剤無しで落とすことができます。

うつ伏せにしても空気が通過する設計となっているため、自然乾燥時間は通常磁器皿の1/3まで短縮されるそうです。

洗剤いらずで少量の水で汚れを洗い流せる同製品は、災害時の利用にも最適です。DG TAKANOは2024年春、能登半島地震の被災地のひとつである石川県珠洲市にメリオールデザインの皿40枚を寄付し、現地で活用されました。

洗剤を使わないコインランドリー

最後に紹介するのが、大量に水を使うコインランドリーから水問題に取り組む株式会社wash-plusのサービスです。

同社は、洗濯専用アルカリイオン電解水「wash+ Water(ウォッシュプラスウォーター)」で洗い上げることで、“洗剤不要の水洗い洗濯”を実現しました。「wash+ Water」は、大学と共同開発したアルカリイオン電解水を使用しており、皮脂汚れなど対して高い洗浄効果を発揮するそうです。洗剤を使わないことから、アトピー性皮膚炎等のアレルギー体質の方の衣類でも安心して洗濯でき、洗浄後の排水も化学物質で汚染されないため、人はもちろん、水資源や環境にもやさしい技術となっています。

現在は、この技術をコインランドリーやホテル向けに展開。筆者も実際に利用した経験がありますが、洗剤を使用した洗濯に引けを取らない仕上がりでした!

世界水の日に、身近な水について考えてみよう

蛇口をひねれば水が出てくる環境は、決して当たり前のものではありません。すべての人々が持続可能かつ安全で清潔な水へアクセスできる環境となるために、今日紹介したような製品が世の中にもっと浸透していくといいですね。

References:
国土交通省「世界の水資源」
GLOBAL NEWS VIEW「世界の水紛争:報道されていない事実」
UNHCR「Displaced on the frontlines of the climate emergency」

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ライター/エシカル・コンシェルジュ

フリーのライター/エシカル・コンシェルジュ。学生時代、100本以上のドキュメンタリー映画を通して、世界各国の社会問題を知る。事務職を経て独立後、ソーシャルグッドに関連する記事を執筆。都会暮らしからはじめるエシカルな暮らしを実践中。 Twitter:@ka_ga_r_i Instagram:@kagari_ethicallifejapan

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