
世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、アフリカの民族や文化からインスピレーションを受けて発展した、アフリカ人デザイナーによるファッションブランドをご紹介します。
南アフリカの民族文化を受け継ぐブランド
2012年に南アフリカ人のLaduma Ngxokolo(以下、Laduma )によって設立された『MAXHOSA AFRICA』。南アフリカに居住するコーサ族の文化を反映したファッションブランドです。
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コーサ族は、南アフリカの人口の約2割を占める民族。美しい刺繍が施されたドレスや、動物の皮を取り入れた凛々しい衣服など、代々受け継がれる民族衣装のデザインには、コーサ族の通過儀礼や社会的地位が反映されています。
MAXHOSA AFRICAの創設者であり、デザイナーのLadumaは、子どもの頃から母親が編み物や工芸品を売る姿を見て、そうしたコーサの文化に大きな可能性を感じたといいます。そして学生時代には、母親とともに自分でも民族文化の影響を受けた洋服を作るようになりました。
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特に、大学時代にはコーサ族のビーズ細工などからインスピレーションを得て、ニットウェアのコレクションを立ち上げました。コーサ族の衣装や生活用品には独特な幾何学模様が使われることが多く、そのデザインを南アフリカ産のモヘア(アンゴラヤギの毛)とウールを使用した毛糸と組み合わせ、ニット製品を作ったのです。
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結果として、Ladumaの生み出したニットブランドは世界で高く評価されることとなりました。例えば、2015年には世界的ファッション誌『VOGUE』のイタリア版、『VOGUE ITALIA』が主催する若手クリエイター支援のプロジェクトの中で、アフリカに特化した部門の「Scouting for Africa賞」を受賞しています。
また、ニットの製造を人件費の安い国に委託していない点も、MAXHOSA AFRICAの大きな特徴です。Ladumaは自国に貢献したいという思いから、原材料をアフリカ南部から調達し、南アフリカ国内にアトリエと工場を構えて生産しているそう。
南アフリカのルーツとアイデンティティを大切にしながら生産されたニットは現地の人々にも愛されており、メインの顧客層は南アフリカ人だといいます。
南アフリカの人から親しみを持たれ、世界中のファッションファンからも注目を集めているMAXHOSA AFRICA。これからどのようなアイテムを発表してくれるのか、熱い視線が注がれています。
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マリの特産品と伝統技術を存分に取り入れたAwa Meite
続いて紹介するのが、西アフリカの国・マリを拠点に、デザイナーや映画監督、画家として活動するAwa Meite(以下、Awa)によって設立されたファッションブランド『Awa Meite』です。
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『Awa Meite』が手がける衣類やアクセサリー、バッグには、マリの染料で鮮やかに染められたコットンなど、伝統的な素材と技術がふんだんに使われています。
そんなブランドの生みの親であるAwaは、マリとコートジボワールという2カ国にルーツを持つ人物。また、父親と母親の仕事の関係で多感な時期をフランスやアメリカなどの海外で過ごしたこともあり、自分がルーツとする国や文化について考える機会がよくあったといいます。
そうした中で「ルーツのひとつであるマリの文化について、自らもっと学ばなければならない」と感じたAwaは、大学卒業後、マリに戻って旅をすることに。旅の道中で織物や工芸品を作る村の女性たちに出会い、彼女たちのビジネスを発展させたいと考えるようになりました。これをきっかけにAwaはフェスティバルや展示会を開催し、オーガニックコットン生産に関する勉強、持続可能で発展性のあるビジネスモデルの考案に取り組むようになったのです。
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マリはアフリカ最大の綿花生産国で、約300万人が綿花産業に従事しています。しかし、自国で使われる綿花はわずか5%未満です。そこで、Awaは綿の生産をはじめ、全ての工程で地元の製品と技法を使い、そこに高いファッション性を与えることで、高い価値を生み出しています。
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また、ファッション産業において、生産過程における環境負荷は大きな問題となっていますが、同ブランドで生産するすべての繊維廃棄物は再利用されています。
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マリの職人によって作られる洋服やバッグは、文化がファッションを形作ることを体現した作品であり、現在は世界中の高級ブティックで扱われているということです。
アフリカ発ファッションブランドの台頭
近年、アフリカ発のファッションブランドが世界的に有名なハイブランドやスポーツブランドとコラボしているニュースを目にするようになりました。ファッションは、その国の豊かな資源や職人の技術を感じられるもののひとつ。そして、自国の文化を未来へ受け継ぐ役割を果たすものでもあります。現在もすでに盛り上がりを見せつつあるアフリカ発ファッション。今後、どのようなブランドが生まれるのか、その動向から目が離せません。
References:
INTRO AFRICA「Xhosa inspired knitwear MAXHOSA AFRICA」
WorldAtlas「Who Are The Xhosa People, And Where Do They Live?」
NELSON MANDELA UNIVERSITY「NMMU incubator graduate wins Vogue Scouting for Africa!」V&A「Yaleen」
Text:Hao Kanayama