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教育を切り口に八戸のまちおこしに貢献。机上の勉強だけじゃない実践的な学びが当たり前の世の中に【千田広成・19歳】

教育を切り口に八戸のまちおこしに貢献。机上の勉強だけじゃない実践的な学びが当たり前の世の中に【千田広成・19歳】

「気になる10代名鑑」の925人目は、千田広成さん(19)。教育を切り口に、青森県八戸市の地域活性化につながる活動をしています。さまざまな視点から教育現場を変えていきたいと語る千田さんに、活動内容や新たな挑戦、将来のビジョンを根ほり葉ほり伺いました。

千田広成を知る5つの質問

Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?

慶應義塾大学の長谷部葉子研究会に所属して、青森県の八戸市で教育とまちづくりを結びつける『八戸プロジェクト』の活動に取り組んでいます。

長谷部葉子研究会は、地域の生活に入り込み、フィールドワークや交流会を通して地域社会が抱えている課題を解決するプログラムで、『八戸プロジェクト』は、そのうちのひとつです。

八戸市と関わるなかで、中心街の活気が減ってきていることや、漁業の落ち込み、若者の流出などが課題として浮き彫りになってきました。そこで『八戸プロジェクト』では、教育の観点から若者のUターン増加をめざして、空きビルの利活用や、学生間のコミュニケーション促進に焦点を当てた取り組みをしています。いつかは地方都市への横展開をしていきたいです」

Q2. 活動を始めたきっかけは?

「大学1年生で、長谷部葉子研究会が主催する、八戸での集中講座に参加したのがきっかけです。空き家問題にフォーカスして、実際に町を巡り、住人へのヒアリングをおこないました。想像したことが形になるかもしれない期待感で、とにかく楽しかったことを覚えています。学生が地域に出て実践的な学びをすることで、地域に住んでいる方とつながり、普段とは違う視点で地域を見ることができると感じました。

中学3年生のときから、教員や人の主観で成績の内申点が決定されるシステムに疑問を抱いていて。高校では、試験を目的とした授業カリキュラムに違和感を覚えていました。僕が八戸で経験した学びのように、学生が地域に出て、幅広い観点から物事を学ぶことが当たり前の世の中になってほしいです」

Q3. 活動の中で、悩みがあれば教えてください。

お金という壁が立ちはだかることです。

空きビルの利活用にあたっても、膨大な額の初期費用や運営コストがかかります。クラウドファンディングで200万円を集めることができましたが、そこまでの道のりは険しくて。活動を知ってもらって、評価してもらうまでにすごく時間がかかりました。申請書の確認で10時間以上のミーティングをしたことがありましたが、頭を悩ませながらも言語化していくプロセスは楽しくもありますね。

支援してもらうには、明確な成果が求められます。ちゃんと評価して、応援してもらうためにも、試行錯誤しながら実践して形にしていきたいです」

Q4. 最近、新しく始めた挑戦はありますか?

サステナブルな缶入り飲料水の会社を立ち上げたことです。

地方の教育現場と関わる中で、学生自身が何か事情があってやりたいことを諦めなければならない現実や、夢をもっていない子どもたち、だんだんと自信をなくしていく学生たちの姿を目にしてきました。ただ、教育現場を変えたいと思っても、目の前にいる人にしか影響を与えることができなくて、個人の力で取り組むことに限界を感じてしまって。大きな視点で教育現場を変えていくにはお金も必要になるし、もっと広い視野で問題に取り組んでいく必要があると感じて、起業しました。

飲料水を詰める缶には環境問題に関することを載せたり、アーティストによるデザインを施したりといったアイデアを詰め込みました。ただ資金調達のためだけじゃない、デザインやアイデアの力で新たな価値を生み出せるようなソーシャルグッドなプロダクトで、社会問題の解決にもつなげていきたいです」

 

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Q5. 将来の展望は?

教育者であることかもしれません。

いまの会社を大きくしていきたいと考えていますが、自分の中に、段階を踏みながらめざしていきたいビジョンがあって。35歳までは、起業家として資金作りと知名度アップに取り組んでいきたいです。そこからは、公園や図書館、学校づくりなどの教育分野に本腰を入れて、45歳からは教育にフォーカスしたまちづくりをしていきたいと思っています。

65歳とかで、仕事を辞めたとしても、農業しながら教育者であるような人生を送りたいです。もともと宇宙とかが好きだから、ら、定年後は好きなことの研究とかができるといいな……なんて思います。それまでは大切なことに目を向けて、一歩ずつ歩んでいきたいです」

千田広成のプロフィール

年齢:19歳
出身地:宮城県仙台市泉区
所属:慶應義塾大学環境情報学部、長谷部葉子研究会、株式会社 No.Service Co-CEO
趣味:二郎系ラーメンめぐり
特技:後ろ向きで階段を早く降りること
大切にしている言葉:「道草を楽しめ 大いにな ほしいものより大切なものが きっとそっちにころがってる」kジン=フリークス(HUNTER×HUNTER)

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Photo:Nanako Araie
Text:Serina Hirano

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Serina Hirano

エディター/ライター

東京と静岡の二拠点生活。リアルを懸命に生きている若者を応援するため、パラレルワーカーとして活躍中。インタビュー記事を基点とし、学生やスターアップ企業、まちづくりの領域まで幅広く活動しています。ライター兼ディレクターとして、2024年からsteenzに携わる。

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