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海外のことも「自分ごと」に。MVで人権問題を訴える高校生アートアクティビスト【石川輝・17歳】

海外のことも「自分ごと」に。MVで人権問題を訴える高校生アートアクティビスト【石川輝・17歳】

「気になる10代名鑑」の905人目は、石川あきら さん(17)。アートアクティビストとして、人権問題の意識を広げる活動に力を入れています。将来は誰もが政治や社会問題について話せる場を提供できる政治家になりたいと力強く話す石川さんに、ファーストアクションとして訪れた香港の話や印象的な出来事について聞いてみました。

石川輝を知る5つの質問

Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?

アートアクティビストとして、社会の課題、特に人権問題の意識を広げる活動に力を入れています。高校2年生のとき、12月10日『世界人権デー』に、人権侵害に対する思いや願いを音楽にした歌『1人にはしない』のMVを公開し、その日からアートアクティビストとしての一歩を踏み出しました。

人権の問題は、簡単に目に見える問題ではないからこそ、関心を持ってもらうことが難しいです。たとえ自分の意見があっても、みんな進んで話したがらないのだな……と感じています。どうやったら、より多くの人に問題を知ってもらえるかを考えた結果、中学生の時に始めたギターやドラム、楽曲制作のスキルが活かせることに気づき、人権問題と作詞作曲を融合させてみました。現在、YouTubeやInstagramなどのSNSに投稿したMVの総再生回数は約1万回を記録し、ジャーナリストの堀潤さんにもXでシェアされるなど、予想以上に多くの人から反響がありました」

Q2. 活動にあたってのファーストアクションは?

中学生のときに、ウイグルやパレスチナにおける人権問題を知って衝撃を受けたのですが、なぜこんなに理不尽なことが起きるのか、答えが出なくて。まずは、国際連合が公表している報告書をできる限り読み尽くしたり、日本で開催されているウイグル族や香港の民主化運動のシンポジウムに足を運んだりしました。

また、実際の現場を知るために、中国建国75周年の記念日に、ひとりで香港を訪れたことも活動の原点になりました。香港ではここ数年民主化デモが中国により弾圧されています。そんな中、香港で、中国の建国記念日である国慶節を祝う花火フェスティバルが開催されていたんです。華やかな雰囲気の裏にある『いつ何が起こるかわからない』という緊張を肌で感じて、人権問題への解像度がさらに高まり、アートアクティビストとしての活動を始めたいと強く思いました」

 

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Q3. 活動をしている中で、印象的だった出来事は?

MV公開後、身近な人から『海外の問題を日本で解決しようとしても意味がない』と言われることがあって……。自分にとって想定外の反応だったので驚きましたが、少なくとも興味を持ってくれて、意見を持つくらい考えて伝えてくれたということに、むしろ嬉しさを感じたんです社会問題に対して、賛否が分かれること自体は、考えるきっかけが生まれてとてもいいことだと思っています。

多くの社会課題の活動家の人からは、SNSを通じて『励みになる』『日本人の高校生が関心を持ってくれて嬉しい』と言ってもらえることも増えました。人権問題の認知度を上げるだけでなく、同じく活動をしている人の支えになる曲ができたんだと感じて、やりがいになっています」

Q4. 活動の中で、悩みがあれば教えてください。

人権の話をすると『意識高いね』『思想が強い』というイメージをもたれて、そこで思考が止まってしまったり、政治そのものの話がタブー視されてしまうことがよくあって。でも本来、人権問題について考えて行動するということは、より良い社会に変えていくという意味で、すごくかっこいい行為だと思うんです。だから、解決策として、叫ぶとか、暴力を連想させる方法ではなくて、みんなが日常から使っている『言葉』の力で、オープンに話し合えたらいいなと思います。

あとは、大きな社会課題と向き合っている中で、さらに悲しいニュースが流れてくると、無力に感じて心を痛めることもよくあります。まだ、自分の感情をどうコントロールしていくべきかは答えが出ていませんが、良い報道にも目を向けて、メンタルのバランスを取るように心がけています」

Q5. 将来の展望は?

いつか政治家になって、親しみやすく、政治について誰でも話しやすい環境を作る存在になりたいです。世界の人権問題を解決するには、まずは日本の人たちが自分の意見を持ったり、社会課題に関心を持ったりすることのハードルを下げる必要があると感じています。アートアクティビストとしての要素を活かして、音楽ライブと政治スピーチを混ぜた演説のように表現方法を工夫すれば、もっと多くの若者が政治に関心を持ってくれるんじゃないかと思います。

いまのうちは、高校生のうちから、楽曲制作や現場訪問をするなど、できるところから人権問題に対してのアプローチを続けていきたいです。『どんな年齢でも社会を変えられるかもしれない』と、誰かの行動するきっかけになったらいいなと思います」

石川輝のプロフィール

年齢:17歳
出身地:東京都
所属:N高等学校、トビタテ留学JAPAN、学生団体Acebora、Educere、Historia、Makers University U-18 10期生
趣味:アニメ、音楽(ギター、作詞作曲)、旅行、グルメ巡り、
特技:政治、経済、哲学、近代世界史、英語(英検準1級)
大切にしている言葉:Live your life

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Photo:Nanako Araie
Text:Mizuki Maeda

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