
世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、シードペーパーを活用したサステナブルなプロジェクトについてご紹介します。
再生紙から花が咲く!?日本生まれのシードペーパー「花咲く和紙」
アメリカのBloomin社と、再生紙「シードペーパー」の関連事業を展開してきた有限会社スープ(以下:スープ)は、2022年に国産の古紙100%を使用したシードペーパー「花咲く和紙」の販売を開始しています。
シードペーパーとは古紙を材料に作られた再生紙で、製造時に花やハーブの種も一緒に漉きこみます。ひと晩水に浸したのち土に埋めると、数日後に種から芽が出て育ちます。紙は少しずつ分解され、やがて土に還るため、自然環境に悪影響を及ぼす心配もありません。なかでも「花咲く和紙」は、伝統和紙の手すき技術を取り入れ一枚一枚丁寧に手で漉き、自然乾燥を施しているそうです。
古紙をアップサイクルして作られる「花咲く和紙」なら、ゴミの排出量も削減できます。加えて、名刺やショップカードのような広告販促物として活用し、紙資源を循環させることも可能です。こうしたさまざまなメリットから、SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」や目標15「陸の豊かさも守ろう」に貢献すると期待されています。
「古紙から花へ」で使用された古紙の重量が750kgを達成
2023年からは、「花咲く和紙」を活用した古紙循環プロジェクト「古紙から花へ」も始まりました。
このプロジェクトでは、参加企業も巻き込みながら古紙回収とアップサイクルをおこないます。集めた古紙で花咲く和紙を作り、名刺やカレンダーなどに生まれ変わらせるのです。
これまで参加した企業や団体は20社以上。2024年の12月時点で、回収した古紙の総量は750kgに達しています。この数字を名刺に換算すると、50万枚分にあたるそうです。このような企業参加の取り組みは、SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」につながるでしょう。
プロジェクトの参加事例を紹介
中京テレビ放送株式会社も、「古紙から花へ」に参加している企業のひとつです。人事異動で不要になった30kg分の名刺を回収し、子ども向けのミニうちわにアップサイクル。3,000枚作られたうちわは、企業のイベントや見学会で配布されました。
横浜幸銀信用組合では、9kgの古紙を回収し4,000枚の「花の種カード」を作ったそうです。このカードは、2024年9月2日~7日におこなわれた「しんくみの日週間」に、29店舗の窓口で配布されました。プリントされている、「くまのがっこう」のキャラクターであるジャッキーも可愛らしいですし、写真左の塗り絵部分は小さな子どもにも喜ばれそうですね。
「古紙から花へ」のような取り組みが増えることを期待
デジタル化が進む現代ですが、まだまだ「紙」は私たちの生活に欠かせない物のひとつ。しかし使用頻度が多い分、それに伴いゴミが出るのも事実です。今回ご紹介した「花咲く和紙」や「古紙から花へ」のような取り組みがさらに増えることを期待したいですね。そして、もしシードペーパーを見かけたら、ぜひ使用してみてください。メッセージカードなどは、ちょっとしたプレゼントにもおすすめです。
Text:Yuki Tsuruda