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ハンセン病問題を風化させない。人権問題と国際教育を探究する高校生【吉田翔胡・18歳】

ハンセン病問題を風化させない。人権問題と国際教育を探究する高校生【吉田翔胡・18歳】

「気になる10代名鑑」の889人目は、吉田翔胡しょうごさん(18)。高校の授業で学んだハンセン病に関する人権問題に興味を持ち、世界の教育事情について研究の幅を広げています。人権問題を風化させることなく、誰もが平等であるべきだと語る吉田さんへ、活動を始めたきっかけや、新たな挑戦を根ほり葉ほり伺いました。

吉田翔胡を知る5つの質問

Q1. プロフィールを教えてください。

早稲田大学高等学院に通いながら、人権問題と国際的な教育を勉強中です。

人権問題に教育の観点からアプローチし、国際教育へと視野を広げたいと考えています。いまは『国際的な視点を獲得するための教育とは何か』というテーマを軸にして、少しずつ研究を進めている段階です。まだ具体的な形にはなっていませんが、試行錯誤しながら、探究をしています」

Q2. どんなことをテーマに活動をおこなっていますか?

主に、ハンセン病の人権問題について勉強しています。

ハンセン病とは『らい菌』による感染症です。手足が痺れたり、皮膚にさまざまな病的変化をもたらしたりしますが、感染力は非常に弱いと言われています。現代では特効薬も開発され、完治する病気ですが、感染への恐怖などから、政府主導のもと患者が隔離されるとともに、患者だけではなく孫を含む家族や関係者の方々が世界中で差別と偏見を受けてきました。

この問題を勉強する中で、実際に起こった出来事をそのまま伝えることの難しさを感じました。内容を軽く扱いすぎると、現実の深刻さが薄れてしまう気がする一方で、重い話として扱いすぎると、怖いという印象が出てしまい新たな差別が生まれてしまうかもしれない。当事者の方々やご家族への配慮も必要です。

ハンセン病問題とどう関わり、どのように伝えるべきか模索しながら、活動をおこなっています」

Q3. 活動を始めたきっかけは?

高校1年生のとき、授業でハンセン病問題について学んだことがきっかけです。

授業では簡単に触れる程度でしたが、人権侵害や差別、当時の隔離施設の過酷な環境に衝撃を受け、言葉が出ませんでした。

活動の中で、当事者である患者家族の方々との交流、群馬県草津町の栗生楽泉園や重監房資料館の訪問などもおこないました。もう忘れてほしいという当事者の声があることも知りましたが、次なる差別を起こさないための教訓としてハンセン病問題を学び、伝える必要があると思っています」

Q4. 最近、新しく始めた挑戦はありますか?

10日間かけて、東南アジアの3か国を1人で巡りました。教育の研究を目的とし、政治家や教育者の方々、現地の学生との交流や、教育関連の施設の訪問などを行いました。自分でお金を貯めて、マニラ、セブ島、バリ、シンガポールを訪れ、飛行機を6回乗り継いで、さまざまな体験をしてきました。

高校生で海外のひとり旅に挑戦するのは、ぼくにとって大きな挑戦でした。マニラでは子どもたちが近寄ってお金を求めてきた一方で、シンガポールでは小学生が蚊に刺されたときの現象を化学式で説明するなど、国ごとの違いを強く感じました。貧富の差や教育格差の現実を目の当たりにした気がします」

Q5. 将来の展望は?

教育をテーマにしたテーマパークを作ることです。海外に出て感じた、無限に広がる可能性をこれからも追求していきたいと思っています。

自然×海外×教育が融合したような開放的な空間で、自由に学べる場を作りたいんです。多くの人が、学びを通じて、新しい発見や可能性に出会える場所をめざしたいです」

吉田翔胡のプロフィール

年齢:18歳
出身地:千葉県松戸市
所属:早稲田大学高等学院、日本ASEAN台湾次世代フォーラム、ワールド寺子屋、International camp
趣味:年に一度の登山
特技:無茶
大切にしている言葉:俯仰天地に愧じず

吉田翔胡のSNS

★Instagram

Photo:Nanako Araie
Text:Serina Hirano

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Serina Hirano

エディター/ライター

東京と静岡の二拠点生活。リアルを懸命に生きている若者を応援するため、パラレルワーカーとして活躍中。インタビュー記事を基点とし、学生やスターアップ企業、まちづくりの領域まで幅広く活動しています。ライター兼ディレクターとして、2024年からsteenzに携わる。

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