
「気になる10代名鑑」の884人目は、須賀遥翔さん(18)。「Fridays For Future」などの団体に所属し、気候変動対策に取り組む学生です。「いま頑張っている人とこれから頑張りたい人の中間にいたい」と話す遥翔さんに、その理由や活動を始めたきっかけについて聞いてみました。
須賀遥翔を知るための5つの質問
Q1. プロフィールを教えてください。
「横浜市立大学でまちづくりを学びながら、気候危機を少しでも緩和するためにアクションをしています。
『Fridays For Future』という団体でスタンディングアクションをおこなったり、『かながわ脱炭素市民フォーラム』のユース部として県議員の方と話し合いをしたり、大学内でサステナブルなシーフードを使った学食メニューを考案したり……。取り組む人の数を増やしたくて、あえていろんな団体に所属して活動しています。
わたしは大学生から活動を始めたのですが、始める前は自分がいちばん意識が高いと思ってたんです。でも、周りの同年代の熱量はすごく高くて、日々感化されています」
Q2. 活動を始めたきっかけは?
「昔、2100年の地球がどうなっているかを描いたビデオを見ていたんですが、その光景に漠然と恐怖を抱いていて。そこからなんとなく、その映像が頭の片隅には残っていたんですけど、所属していたダンス部に夢中の“いわゆる普通の高校生”をしていたから、特に活動はせず、なんとなく節水や節電を意識していたくらいでした。
でも昨年たまたま見たWEBニュースで、世界の平均気温の上昇を1.5度に抑える努力をするという『1.5度目標』のことを知って、残された時間が全くないことに気づいて、大学に入ってから思い切って活動を始めました。
まず最初に『Fridays For Future Tokyo』の活動で街頭スピーチをしました。いまも毎月第2金曜日に、新宿駅でスタンディングデモをしています。大勢の人の前で話す緊張ももちろんありましたが、同時に興味を持ってくれる人の少なさに悲しさも感じました」
Q3. 活動する中で、印象的だった出会いは?
「10月に開催した映画上映会でスピーチをしたとき『勇気をもらった』と話しかけてくれた人がいたんです。自分の言葉で誰かに良い影響を与えることができるのだと、“言葉の魅力”に気づいた経験でした。そこからはスピーチを積極的にするようにしています。
そのときは、勉強と人間関係を両立できなくて休みがちだったこと、大学生になって同じ意思を持っている仲間と出会えて元気をもらえていることと、個人的なことを話しました。
いまでも、まずは自分のことを話して、次に他の人にも共感できることを話して、最後に緊急性を訴えるというやり方を意識しています」
Q4. 活動の中で、悩みがあれば教えてください。
「意外と身近な人のほうが、自分の活動を伝えにくいことです。もともと『どうして周りに問題意識を持っている人がこんなに少ないんだろう』という孤独感から活動を始めたこともあって、『意味ない』と思われないかと不安で、言い出しづらいときもあるのが事実です。
わたしはたまたま勇気が出せて、こうして団体で活動できているけれど、実際こうしたアクションはハードルが高いと感じる同年代も多いんじゃないかな。実際、わたしが通う国公立の大学には、経済的に苦しい友人も多くいます。バイトで忙しくてそんなことを考える余裕もないから、デモに毎週参加なんてできない、というのが本音だと思うんです。
わたし自身、大学生から活動を始めたので、中学生のころからバリバリ活動している子たちと比較してしまう時期がありました。
だからこそ、わたしはいま頑張っている人とこれから頑張りたい人の中間にいて、『頑張れない時期もあっていい』と伝えられる存在でいたいと思っています」
Q5. 将来の展望は?
「普通に暮らしていても環境負荷に加担しない社会を、まちづくりの面からつくることです。
まだ勉強途中ですが、地方創生・コミュニティづくり・環境に関するまちづくりをうまく掛け合わせることができないかと考えています」
須賀遥翔のプロフィール
年齢:18歳
出身地:東京都
所属:横浜市立大学公認SDGs学生団体TEHs、Fridays For Future Tokyo、かながわ脱炭素市民フォーラム、パワーシフトキャンペーン
趣味:寝ること
特技:ひき笑い
大切にしている言葉:希望のあるところには必ず試練があるものだから(村上春樹・『1Q84』)
須賀遥翔のSNS
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Photo:Nanako Araie
Text:Atsuko Arahata