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韓国のZ世代起業家が革新的なスマートゴミ箱を開発。テイクアウトカップを自動でリサイクル【Steenz Breaking News】

韓国のZ世代起業家が革新的なスマートゴミ箱を開発。テイクアウトカップを自動でリサイクル【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、私たちに身近な紙製カップのリサイクル問題に挑戦する、韓国の若手起業家についてご紹介します。

便利だけれど環境負荷が高い、テイクアウトカップの実情

カフェでテイクアウトのドリンクを注文したときなど、私たちの生活の中でよく利用されている紙製のカップ。軽くて持ち運びやすく、廃棄も簡単で便利ですが、実は環境に大きな負荷を与えていることをご存じでしょうか。

紙製カップはその名の通り、紙を材料につくられているため、一見すると環境にやさしい製品のように思えます。しかし、通常、中に注いだ飲み物が漏れないよう、その内側を人体に害のないプラスチック素材でコーティングしています。そのため、普通の紙と一緒にリサイクルすることができません。また、飲み物の汚れが付着していることも、リサイクルをさらに難しくしています。

実際、世界中で使用されている紙製カップのうち、リサイクルされているのはわずか1%にすぎないといわれています。国際環境NGO・グリーンピースの報告書によれば、日本では毎年39億個以上の使い捨てカップ(プラスチック製カップを含む)が廃棄されており、そのうち約3億個がカフェで使用されたテイクアウト用の紙製カップだそうです。

また、紙製カップの製造には大量の森林資源が必要で、1個を製造するのに約0.11キログラムのCO2が排出されるという研究結果もあります。使い捨てのカップは便利さの裏で、地球環境に大きな負担をかけているのです。

紙製カップのリサイクル加速に挑戦する韓国発スタートアップ「NAWA」

こうした問題を解決しようと立ち上がったのが、韓国のスタートアップ企業「NAWA(ナワ)」です。同社が開発したのは、紙製のカップを自動で洗浄、乾燥、圧縮できる革新的なスマートゴミ箱「Cupggiri(コップクル)」です。

コップクルの最大の特徴は、投入されたカップを全自動で処理し、リサイクルにつなげられること。まず、コップクルは、捨てられたカップを強力なノズルと180度回転する機械アームで洗浄。その後、乾燥させた上で圧縮し、300〜700個もの紙製カップをコップクル内部に保管することができます。圧縮されたら、そのままリサイクル業者に持って行き、新しい素材へと変換することが可能です。

また、時間の経過とともにカップから悪臭が発生する問題にも対応しており、3つのファンが湿気や臭いを排出することで、悪臭の原因となる汚染物質を99.9%除去できるそう。さらに、20リットルの水タンクで約1,000個のカップを洗浄できる省エネ設計となっている点も特徴です。

NAWAの「コップクル」は現在、紙製カップのリサイクルを現実的かつ効率的に進めるための画期的なソリューションとして、韓国や日本で注目を集めつつあります。

韓国のZ世代起業家が創業

NAWAを創業したのは、韓国トップクラスの高等教育機関・高麗大学大学院で学ぶソ・ヨンホさんです。

ソ・ヨンホさんは、昨今国や企業が「ESG」をキーワードに、環境対策に力を入れている現状を目にし、学生の立場から何か環境問題に対してできることはないかと考えたそう。さまざまなアイディアを考える中、「使用済み紙コップは中身をしっかりと洗浄しなければリサイクルすることができない」というニュースを偶然目にしたことで、コップクルの原案となるアイデアにたどり着いたといいます。

現在は韓国国内での展開はもちろん、ゴミの分別やリサイクル、街の清潔さを保つ意識の高さから日本市場に勝機を見出し、日本でのサービス展開にも力を入れているようです。先日はSteenz Breaking Newsの中でもご紹介した日本最大級のスタートアップ展示会『Startup JAPAN』にも出展しており、NAWAのブースは多くの来場者で賑わっていました。

技術で環境問題の解決をめざす

私たちの便利さと環境保護の両立は難しい課題です。しかし、NAWAの事例は、新しい技術やアイディアによって、その解決が可能であることを示しているように感じます。これからそう遠くない未来に、NAWAの製品を日本や世界の各地で見かける日がやってくるかもしれません。

References:国際環境NGO・グリーンピース「日本のカフェ業界における使い捨てカップの現状」

TextTeruko Ichioka

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Teruko Ichioka

ライター・編集

フリーライター。好奇心の強さは誰にも負けない平成生まれ。得意領域もスタートアップ、ビジネス、アイドルと振れ幅が広い。

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