「気になる10代名鑑」の856人目は、隂山弘暉さん(19)。福島県で東日本大震災を経験し『誰ひとり取り残さない新たな形の防災』をテーマに、防災への対策やノウハウを伝える団体を立ち上げました。少しでも多くの人に防災の重要性を伝えたいと語る弘暉さんに、活動の内容や、活動の中で印象に残った出来事を、根ほり葉ほり聞いてみました。
隂山弘暉を知る5つの質問
Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?
「防災に関する知識や対策を発信する学生団体『防災me』の代表をしています。
主な活動内容は、防災に関するノウハウをウェブサイトやアプリで伝えながら、SNSでの定期的な情報を発信すること。リアルな場でも『防災アクション』というイベントの開催、県が主催する防災イベントへの出展など、幅広く活動しています。日常生活で取り入れられる防災知識を広めながら、より多くの人に防災の大切さを伝えたいです」
この投稿をInstagramで見る
Q2. 活動を始めたきっかけは?
「高校2年生の3月11日に東日本大震災を経験したのですが、その際に『若者の防災意識が低い』というニュースを見たことがきっかけです。
震災が起きた当時、ぼくは福島県に住んでいました。世界中の方から支援を受けながら少しずつ復興が進む一方で、県民の防災意識が低いという現実に違和感を覚えました。学校でも、避難訓練が1年に1回ある程度。防災に触れる機会はほとんどなくて、防災教育への意識が薄れていく雰囲気を感じたんです。
このままでは、また災害が起きたときに多くの被害者がでてしまう気がして。震災の当事者であるぼくたちだからこそ、防災に関する知識を発信することで、状況を変えられると思いました」
Q3. 活動にあたってのファーストアクションは?
「まずはドメインを取得して、ウェブサイトを立ち上げることから始めました。ただ、初心者だったこともあって、完成までに1年もかかってしまい、やっと今年の3月に公開できたんです。
そのあとは、ぼくの活動を知ってもらいたいと思って、震災復興支援を目的にしている音楽フェス『SONG OF THE EARTH 311』で、ティッシュ配りをさせて欲しいとメールしました。そしたら、代表のCANDLE JUNEさんからご連絡をいただいて、最終的にはイベントブースを出すことができたんです。
『悲しいイベントをするのではなく、楽しく明るい場にしたい』っていうCANDLE JUNEさんの考えに共感して、いまでも一緒に活動しています」
Q4. 活動をしている中で、印象的だった出来事は?
「『SONG OF THE EARTH 311』の帰り道に、友だちから『ぼくも活動に参加したい』と言ってもらえたことです。
2023年3月11日のイベントに出展のとき、高校の同級生にお手伝いをお願いしていました。イベントでは、被害に遭った方々の話や、出展者、企業のかたと接することができて、普段の高校生活では体験できないことばかりでした。帰り道、その日にあったことを友だちと話していたら、一緒にやりたいと言ってもらえたんです。その言葉がすごく嬉しくて、印象に残っています。いまではメンバーも7人増えて、活動の幅も広がっています」
この投稿をInstagramで見る
Q5. 将来の展望は?
「誰ひとり取り残さない、新しい形の防災を作りたいと思っています。
表面的な活動にとどまらず、防災の教訓や具体的なアクションを伝え、多くの人にその重要性を知ってもらいたいです。デジタル社会の現代は、広く情報を発信できます。ただ、直接見たり、会って話を聞いたりすることで得られることも多いと感じていて。例えば、手のひらサイズのラジオは、震災のとき非常に役立ちます。情報として知るだけでなく、実際に手に取ってみることで、その必要性を実感できると思うんです。
防災の意識を少しでも変えるきっかけになるように、これからも活動を続けていきます」
隂山弘暉のプロフィール
年齢:19歳
出身地:福島県郡山市
所属:学生団体「防災me」、デジタルハリウッド大学、ビルディングサポート株式会社
趣味:音楽鑑賞、フェスやライブにいくこと
特技:Webサイト制作
大切にしている言葉:やるかやらないか迷ったら、やってみる。
隂山弘暉のSNS
この投稿をInstagramで見る
Photo:Nanako Araie
Text:Serina Hirano