世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、冬に読みたいホラー本をご紹介します。
令和のホラーブームの背景は?
ハヤカワ新書の最新刊『ネット怪談の民俗学』、本日発売です!
杉沢村、コトリバコ、きさらぎ駅、くねくねからリミナルスペース、バックルーム(the Backrooms)まで——「民俗学」でネット怪談に「マジレス」してみた本書に関心があれば、本屋の新書のコーナーに行ってみてください! pic.twitter.com/ZtO3edHsog— 廣田龍平(ῥ) 『ネット怪談の民俗学』(ハヤカワ新書)4刷決定! (@ryhrt) October 22, 2024
ここ数年、ホラーに関するコンテンツが盛り上がりを見せています。駅の中の怪異を探すゲーム『8番出口』は、口コミから話題に。間取りや様子がおかしい家を描いたコンテンツ『変な家』は映画化され、大ヒットしました。ホラーや怪談は、確実に令和のヒットコンテンツと言えるでしょう。
『ネット怪談の民俗学』(廣田 龍平 著/早川書房)は、そんな令和の恐怖ブームを民俗学の観点から読み解く本です。民俗学といっても難しく捉える必要はなく、ここでは「人々の暮らしの変化を探る」程度の意味合いです。ネット怪談の来歴を探ると、元は「口裂け女」や「トイレの花子さん」のような、ネットのない時代にあった口コミの都市伝説がベースにあることがわかります。
ネットが登場したことで、顔見知り同士の伝聞から匿名の情報になったこと、即時性により見ている側も当事者になっていくことなどの要素が入り乱れ、さらに恐怖が増幅していく……といった恐怖の形の分析がなされています。
膨大な参考文献のリストが付いているので、本書の内容をもっと知りたい方は、リストの文献にも手を伸ばしてみてください。
虚構だよね?思わず確認したくなるネット怪談サイトが書籍に
ネット怪談ともホラー系謎解きとも取れるWebサイト「つねにすでに」。巨大匿名掲示板やまとめブログに代表されるいにしえのネット文化から、Discord、「ゆっくりボイス」などの新しいネットのたまり場など、舞台となるのはネット上のあらゆる場所。出所不明のカセットテープやアスキーアート、位置情報ゲーム、最新のAI技術まで、幅広いジャンルの言い知れぬ恐怖を体験できるコンテンツです。
こちらに掲載されていたネット怪談全26篇の物語が『つねにすでに』(梨 著/順文社)として書籍化され、2024年12月16日(月)に発売されます。
ネット未公開の書き下ろし一篇も収録とのこと。独特の世界観が広がる1冊をぜひ書籍でも楽しんでみてはいかがでしょうか。
誰もいなくなってはいないのだけれど。人気の展覧会「行方不明展」が書籍化!
今夏、東京で開催され、話題となった展覧会「行方不明展」をご存じでしょうか。“行方不明”をテーマに作られた、さまざまな架空の“痕跡”が展示されていた同展では、謎の違和感が増幅していく様子がSNSでも話題になりました。フィクションであり「本展で紹介した行方不明者を捜索する必要はありません」と言われても、なんとなく探さなくてはいけないような、触れてはいけないような、そんな気持ちを作り出したのは、『つねにすでに』の怪談作家 梨氏、ホラーとテクノロジーを組み合わせ新しい恐怖体験を作り出す「株式会社闇」、ヒット連発のプロデューサー 大森時生氏の3者です。
その展示が、タイトルをそのまま『行方不明展』(大森時生 株式会社闇 梨 著/太田出版)として書籍化。2024年12月16日(月)に発売となります。絶妙な“痕跡”の様子が繰り広げられた会場の展示全52件を完全収録しています。
展覧会に行けなかった人は初めての、行った人は再びの、どうしていいかわからない恐怖体験を感じてみてください。
存在しない部屋の鍵、点検口から出入りする男……不動産屋が見たものとは
2025年1月22日(水)に発売されるのは『告知事項あり。 その事故物件で起きること』(児玉和俊 著/主婦の友社)。書名の「告知事項」とは、不動産の賃貸契約や売買契約を行うときに、貸主や売主が顧客に告知しなくてはいけない物件についての情報のこと。部屋の中や建物内で人が亡くなっている物件では、心理的瑕疵(設備自体には問題はないが、気持ちの面での負担)が生じるとされています。そのため、その事実を借り手や買い手に知らせる義務が発生します。
この本に載っているのは、事故物件の調査を専門におこなう、株式会社カチモードの代表取締役社長・児玉和俊氏の体験談です。児玉氏は、現地調査をすることで入居者の心理的な負担を軽減し、「事故物件」のオーナーを支援するために活動しています。7,000室もの物件を実際に内見してきたという、児玉氏。ときに、常識や科学では説明できないようなことが起きるのだそう。存在しないはずの部屋の鍵、浴室の点検口から出入りする謎の男……現実には説明しがたい事象のようですが、実際は何が起きているのでしょうか。
この冬は、暖かい部屋で寒さを体験しちゃうかも?
背筋が凍るようなホラーと言えば、夏にぴったりとされていますが、暖房が効いた現代の部屋ならば、多少寒くなっても大丈夫。年末年始にゆっくりと、暖かい部屋で好きなお茶を用意して、現在進行形とも言えるホラー本を読んでみてくださいね。
Text:Itsuki Tanaka