世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今回は、アフリカに住む人たちの美容意識についてお伝えします。
多様化する美容意識
InstagramやTikTokといったSNSから、日々新しい美容トレンドが生まれ続けている今日。日本では近年、メンズメイクなども広まりを見せるなど、美に対する価値観も多様化しているように見えます。果たして、アフリカの国々ではどうでしょうか。今回は、筆者の住むウガンダで、現地の方への取材を通してアフリカに住む人々の美容意識について調査しました。
エクステやウィッグで新しいヘアスタイルを楽しむ!
男性の場合、3カ月に1回ほど美容院にカットしに行くか、同じ頻度でブレイズやコーンロウといった髪を編みこむヘアスタイルを楽しむ人が多くいます。5年間ドレッドヘアにしているという男性は「特に手入れは必要がないから楽」と話していました。
一方、首都のカンパラでセレクトショップを経営する経営者兼モデルの20代の男性は、ファッションと美容だけで毎月25万円も使うと言います。ファッションや美容を仕事としているからこそ、毎月6回は美容院に行って、異なるヘアスタイルを楽しむそうです。
首都に住む女性の多くは、毎月美容院に行き、カラフルなエクステを使ったブレイズヘアや、ウィッグで異なるヘアスタイルを楽しんでいるようです。中には、ネイルやまつ毛エクステに毎月行き、美容に月数万円を費やすという人もいました。
また、地方や村では月給が1万円前後の農民や失業中の人も多く、美容にお金をかける余裕がない人も多くいます。そのため地域や経済的な理由によって美容へ費やす時間やお金は人によって変わることがわかりました。
しかし、取材した人の中には、「自分の身だしなみを気にしなくなるということは、自分を卑下し自分自身を諦めていることだ。」と話す人も。給料が高くなくても、「自分への尊敬」という意味を込めて、身だしなみには気を付けることが大事だと語っていました。
美容へのインスピレーションはどこから?
ウガンダにも、日本と同様にInstagramやTikTokで有名な美容インフルエンサーがいます。彼らの紹介するコスメやヘアスタイルを参考にする人もいるようでした。
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また、一部ではありますが「アート×アフリカの美容やファッション」を組み合わせた分野も、世界で注目されてきています。近年、伝統的なメイクやヘアスタイル、装飾を施したアーティスティックな作品が、世界的なメディアに取り上げられるようになってきているのです。
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現地の人の中には、トレンドを伝えるインフルエンサーではなく、こういったアートをインスピレーションとする人もわずかではありますがいるようでした。
日本と異なる美容への価値観
また、「美しさ」において日本と異なる部分としては、整形や脱毛の広告がほとんどないということです。マッサージや肌の手入れをするスパなどは存在しますが、富裕層にのみ利用されています。
体型においては、世界的な流れと同様に、特定の体型を美の基準とするような風潮はなくなってきたようです。しかし、一部ではいまだに、痩せ型の体型よりふくよかな方が良い、とする考えも残っています。これには、アフリカの飢餓や貧困、そしてHIV/エイズの蔓延が深く関係しているようです。
国際連合エイズ合同計画(UNAIDS)によると、現在、世界のHIV/エイズ感染率の上位10カ国は全てアフリカの国であり、ウガンダもまた、成人の5.6%がHIV陽性者です。アフリカでは、HIVやエイズに罹患すると体重が減少する、という偏った認識が広まっており、そのために「ふくよかであることは、健康である証」という考えている人が多くいるのだそうです。こうした背景から、近年では肥満による健康被害もまた、問題になっています。
美容に熱心なことは万国共通
ウガンダでは、経済的な差はあっても、多くの人が美容に力を入れていることがわかりました。また、伝統的なスタイルを取り入れている人も多く、今後、アフリカ出身の美容インフルエンサーが世界的に有名になる日も遠くないかもしれませんね。
References:
UNAIDS「Global HIV & AIDS statistics — Fact sheet」
WORLD POPULATION REVIEW「HIV Rates by Country 2024」
Text:Hao Kanayama