世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、日本最大級のスタートアップ展示会『Startup JAPAN 2024 - 秋 -』で見つけた、 これからの社会や暮らしを変革する可能性を秘めたスタートアップ企業についてご紹介します。
日本最大級のスタートアップ展示会『Startup JAPAN』が開催!
11月20日(水)と21日(木)、東京・江東区にある東京ビッグサイトにて『Startup JAPAN 2024 – 秋 -』が開催されました。このイベントはスタートアップ企業に特化した展示会で、春と秋の年2回開催されています。
今回で4回目を迎えた同イベントには、前回比1.2倍となる300社が出展。事前の来場登録者数は1万人を超え、多くの注目を集めました。
スタートアップ企業によるピッチイベント「Dream Pitch」に注目
筆者は11月21日に現地を取材。会場に足を踏み入れた瞬間、ビジネス関係者が新たな取引先や協力先を求める熱気に圧倒されました。各社のブースでは活発な交流が繰り広げられ、講演会では来場者が登壇者の言葉を一言も逃すまいと真剣に耳を傾けている様子が印象的でした。未来を見据えて新しいビジネスに挑む来場者たちの姿が、会場全体を活気づけていました。
その中でも、筆者が特に注目したのは、今注目のスタートアップ企業が集うピッチ(※)イベント「Dream Pitch」です。東京都の起業支援プログラム「TIB STUDIO」が推薦する起業家や、U-25の起業家がステージに立ち、革新的なアイデアを次々と発表しました。
今回の記事では、特に「TIB STUDIO」が推薦する起業家たちのステージに焦点を当て、その一部をご紹介します。
※ピッチ:自社のアイデアや製品を売り込むための短時間でのプレゼンテーションのこと。
呼吸法の誘発デバイスで日本の生産性向上をめざす「シンコキュウ」
「【Dream Pitch】TIB STUDIO Special – 未来を創る起業家たち -」と題して、10時25分よりスタートしたピッチイベント。まずご紹介するのは、2社目に登壇した、株式会社シンコキュウの創業者 三好賢聖さんです。
慶応義塾大学の特別研究員RPDである三好さん。「人が目にした人やモノの動きに共感し、無意識に真似してしまう」現象を、設計やデザインに応用する研究をおこなっています。三好さんは、その研究を活かし、深呼吸を誘発する卓上デバイス『シンコキュウ』を開発しました。このデバイスは誰でも簡単に日常生活の中で呼吸を整え、ストレスを軽減できるよう設計されています。
三好さんが開発、および起業のきっかけとして挙げたのが、パソコン作業中に感じた「妙な息苦しさ」という自身の原体験でした。調査を進める中で、パソコンやスマートフォンの使用時にブルーライトが原因で呼吸が乱れ、その結果、読解力が20%低下し、生産性が10%低下することが判明。また、それによる日本国内の経済損失額は、年間およそ500億円にものぼると試算されています。『シンコキュウ』の効果検証の結果では、ストレスを約30%軽減し、生産性を15%向上させる成果が得られたとのことです。
現在『シンコキュウ』は、法人向けにベータ版を提供中で、今後はデバイスだけでなく、ソフトウェアも開発していく予定。法人向けサービスから個人向けサービスへと展開し、呼吸法の効果をより多くの人々に届けることで、日本全体の健康課題解決に貢献したいと語っています。
身近な課題に焦点を当てた新しいサービスに、多くの参加者が注目し、会場からは熱い視線が送られていました。
日本の歯科医療を世界へ。デンタルツーリズムの普及をめざす「Haris」
「医療×観光」をキーワードに、新サービスを展開するスタートアップ企業も。Haris株式会社の代表・梅澤幸太さんは、歯科衛生士としての実務経験や、フランスやイギリスなど10カ国での滞在経験をもとに、日本の歯科医療を観光と結びつけた「デンタルツーリズム」の可能性に着目し、事業を推進しています。
梅澤さんが開発したのは、歯科医院向けの多言語翻訳・通訳アプリ『DentLingual』。AI技術を活用し、日本語を英語、中国語、韓国語、ドイツ語など、計14カ国語に翻訳できる機能を備えています。このアプリの開発背景には、梅澤さん自身が実感した“日本の歯科医療の高い品質”への強い思いがありました。
例えば、日本の歯の治療費は欧米諸国の半額以下、歯のクリーニング費用は6分の1程度と非常にリーズナブル。それにもかかわらず、高品質なサービスが提供されている点に注目し、この魅力を世界中に伝えたいと考えたのだそうです。
現在、Harisでは外国人観光客専用の歯科医院予約サイトを構築中。加えて、外国人対応が可能な歯科医院を増やすため、『DentLingual』の普及を進めています。言語の壁は世界的な課題であり、このサービスを3~5年以内にグローバル展開することをめざしているとのこと。
「日本の歯科医療を世界へ」という梅澤さんのビジョンに、多くの参加者が共感し、ピッチは熱い拍手で締めくくられました。
U-25の起業家も独自視点で未来を切り開く事業を発表!
『Startup JAPAN 2024 – 秋 -』の「Dream Pitch」では、25歳以下の若手起業家たちによるピッチも行われました。U-25の起業家たちは、独自の視点から社会が抱える多様な課題に挑み、解決へ導く革新的な事業を次々と発表。その斬新なアイデアや柔軟な発想に、多くの参加者が魅了されました。
次回は、彼らのピッチの模様を詳しくご紹介します。どうぞお楽しみに!
Text:Teruko Ichioka