世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、世界に広がりつつある「ブックスタート」という取り組みについてご紹介します。
1,116の自治体が参加。赤ちゃんに絵本を贈る「ブックスタート」
現在日本では「ブックスタート」に取り組む自治体が増えています。ブックスタートとは、0歳児健診などの機会に、赤ちゃんに「絵本」と読み聞かせの「体験」をプレゼントする取り組みのこと。2024年10月時点では1,116もの自治体が参加しており、絵本を贈るのみの活動も合わせると、全国の約88%にあたる1,511の自治体が取り組んでいることになります。
「親子の言葉と心をかよわすひととき」を応援する取り組みである、ブックスタート。「NPOブックスタート」を中心に、図書館職員や保健師、ボランティアなどが協力し行っている点も特徴のひとつです。岐阜県各務原市では、授業で活動を知った大学生も、ボランティアとして参加しているのだそう。また、2022年4月から使用されている高校生向けの教科書『Survive!! 高等学校 家庭基礎』(教育図書株式会社)でも紹介されているため、10代の方でも、ブックスタートを知る人は多いかもしれません。
イギリスのバーミンガムで始まり、日本へ
日本でも広がりを見せるブックスタートですが、もともとは1992年にイギリスのバーミンガムで始まった取り組みです。同都市の教育基金団体が、バーミンガム中央図書館や南バーミンガム保健局、バーミンガム大学教育学部と連携。最初は300家庭を対象に、試験的におこなわれました。
バーミンガム大学のバリーウェイド教授らによると、ブックスタートに参加した家庭では本への意識が高まり、より深く読書の時間を楽しむようになったとのこと。その他にも、赤ちゃんのころから本に触れる時間を習慣化すると、言語面や計数面の「考える力」に大きく影響することもわかったそうです。このような背景もあり、ブックスタートを広める活動は活発化していき、日本では世界で2カ国目として、2000年から開始されました。
世界的ネットワーク「Global Network for Early Years Bookgifting」が発足
2018年になると、世界規模のネットワーク「Global Network for Early Years Bookgifting」が発足。全31の団体からなるこのネットワークは、活動を通して、毎年約1,200万冊の本を子どもたちに贈っているそうです。アジア地域では日本の他に、韓国や台湾、マレーシアが参加しています。
また、多くの国でブックスタートの教育的価値に重きが置かれているのに対して、日本は「赤ちゃんの幸せ実現」をめざして活動していることから、世界から注目が集まっているそう。10月には、スウェーデン・ストックホルム市立図書館の職員も来日し、埼玉県三芳町の取り組みを視察しました。図書館でブックスタートの様子を見学し、県庁にて意見交換をおこなったそうです。
赤ちゃんの幸せをめざす取り組みに、10代で参加できる機会も
高校の教科書に登場したり、授業で存在を知った大学生がボランティアに参加したりと、10代にも身近な活動になりつつあるブックスタート。赤ちゃんの幸せをめざす、という考え方も素敵ですね。小さな命に接する、責任の伴う仕事ということを理解した上で、「赤ちゃん(子ども)が好き」や「絵本が好き」という人は、参加を検討してみてはいかがでしょうか。また「参加したいが、読み聞かせを上手にできる自信がない……」という人も、会場の誘導係など、間接的に活動に関われる場合もあるようです。ボランティアの募集は自治体ごとに異なっているため、気になる方は問い合わせてみてください。
Text:Yuki Tsuruda