Steenzでも度々特集を行ってきた、“00年代生まれによる、00年代のための音楽プロジェクト”『from00』。今回は、このプロジェクトから10月30日に楽曲をリリースした、シンガーの悠稀。さん、ボカロP三栖さんがペアで登場してくれました。プロジェクトの思い出や新曲『家路』に込めた想いをくわしく聴いてみました。
ひとりじゃこの音楽は作れなかった。緊張とワクワクから始まったプロジェクト
―さっそくですが、普段の音楽活動について簡単に教えてください。
三栖:中学生の頃から、ボカロPとして活動しています。両親が音楽好きで、車の中でスピッツとかかけてくれたりして、ぼくもだんだん音楽好きになっていって。それから自然にぼくも曲作ってみたいと思うようになりました。そんなときに、友達が「曲作るならこんなのあるよ」って、ボカロを教えてくれたんです。ボカロ曲を聞いたことはなかったんですけど、何気なく触ってみるうちにハマっていきました。
悠稀。:おもに関西圏を拠点にした、奈良県のバンド「Mind Bluem」のボーカルとして今年の夏まで活動し、今は個人で歌手をしています。去年の年末にシングルを出しました。中3のときに、文化発表会っていうみんなの前で出し物をするイベントがあって。そのときに、弾き語りをしてみたら、案外楽しくて。もっとみんなの前で歌ってみたいなと思って、高校生の時にTikTokで発信したり、バンドを組み始めたりして活動を始めました。
―では今回のプロジェクト「from00」に参加したきっかけは?
三栖:お声がけをいただいて、すぐに面白そう!と思ってお返事しました。前回のfrom00では、ぼくの好きな音楽プロデューサーの方がリツイートしていたのを知っていて。
ですが、お話を聞いていくうちに、自分が思った以上に大きなプロジェクトに参加する実感が湧いてきて。「僕で大丈夫かな?」と思いながら、なんとかくらいつこうっていう気持ちでした。
悠稀。:ぼくは、バンド活動のリリースのときにお世話になっていたビクターの方に、こんなことやるよってこのプロジェクトを教えてもらったのがきっかけですね。三栖くんとおんなじで、これは面白そうだし、やらない理由がないなあって思って快諾しました。
―二人のペアが決まった時、お互いの印象はどうでした?
悠稀。:最年少なのに、すごい礼儀正しいし落ち着いているなーというのが第一印象ですね。とはいえ、最年少らしいとこもあって。レコーディングの時、東京に来たんですけど、「ビル高けー!」ってワクワクしてるのをみて、可愛いやつやなと思ってました(笑)
三栖:ありがとうございます(笑)。TikTokとか洋服とかもみさせてもらって、すごいオシャレでかっこいい人とのペアだし、プロジェクトの大きさもあいまって、最初はガチガチに緊張してました。
悠稀。:関西弁のコッテコテのにいちゃんがきたら最初はそりゃこわいよなあ(笑)
三栖:こわ……かったですね。はい(笑)。でも、すごくフランクに接してくれて安心しましたし、聞いていると悠稀くんの声は、すごくのびやかで、自分の曲を歌ってもらうのが楽しみでした。
―仲の良さが伝わってきますね。今回、一緒に制作に関わったA &Rとの活動はいかがでしたか?
三栖:めっちゃ感謝してます。ぼく一人じゃなにもできなかったなって思いますね。最初は戦争の生々しさを伝えようと思ったけど、なかなかできなくて。そのとき、担当A&Rのなぎさんが「戦争を戦争としてじゃなくて、日常的なものとリンクさせながらやってみよう」って。そこから、悠稀くんとなぎさんともう一回話し合って、コンセプトを捉え直したら、すらすらかけるようになりました。
悠稀。:うんうん。アドバイス自体もだし、ぼくたちの考えをぜんぶ受け止めてくれた上で、うまく言語化してまとめてくれたのがものすごく助けになりました。みんなでつくった一曲だなって実感します。
ぼくたちは本当に無力なのか?今の日常と対比しながら考え練り上げた一曲
―次は、音楽制作について伺います。まず、初挑戦だという、ボカロP×シンガーの共同制作はいかがでしたか?
悠稀。:一言で言えば、面白かったですね。プロジェクトに参加するまで、ボカロ曲にはあまり触れてきてなくて。だけど、一緒に作ってきて、自分の声だけど自分だけのものじゃないみたいな、ひとりじゃない感覚がすごい新鮮でした。今回のプロジェクトがなければ、ボカロPの方と一緒にやることはなかったと思うので、ありがたい機会でした。
三栖:ボカロ以外で、曲を発信する方法は少し前から考えていたので、挑戦できて良かったです。作曲していく時に、ボカロの作曲に慣れてしまっていたし、テンションがあがっちゃったこともあって、歌詞を詰めすぎてしまった箇所があって。そこは悠稀くんには申し訳なかったな。
悠稀。:歌えはするけど、「どこでブレス入れようか?」とか、「この転調はけっこう大変やな」と思うことはありましたね。でも、制作途中やレコーディングの時に、その都度意見を出し合って、最終的にはうまく調整できました。
―今回リリースされた曲は、どんな曲に仕上がりましたか?
悠稀。:これだけ情報があふれる社会で、例えば戦地の映像とか、SNSで見られるようにもなっているのに、なぜかみんな無関心。できることはないって、最初から諦めちゃってるけど、戦争のこと、やれることを、もういっかいだけ考えてみませんか?というメッセージを込めました。
三栖:まずは、自分たちがいかに平和な現状にいるのかを知るべきなのだと思って。「公園の遊具も、パン屋の匂いも」という歌詞のように、素朴な日常との対比も意識しています。
―コンセプトの「青き、あきらめ」をどう解釈しましたか?
三栖:それこそ、いちばん初めは、「あきらめ」って聞いて、戦争も経験してないぼくたちって無力だし、できることなんかないよねっていう方向で、ちょっと皮肉にとらえすぎてしまっていて。そのとき、話し合いの中で、悠稀くんとなぎさんが、「だけどシンプルに戦争はダメなことだよね」って言ってくれて。そこからは、この素直なメッセージを伝えることも僕たちにできることだなって思って意識して作曲しなおしました。
悠稀。:最初、ぼくもそんなに戦争のことをくわしく知らないし、知ろうともせんかったなって気づいて。ぼくと同じように考えている人が多い、僕たち世代そのままを表したようなことばだなって思いました。あとは、三栖くんの歌詞を受け取って、「この考え方も、確かにあきらめかもな」って理解を深めていきましたね。
―最後に、注目ポイントを教えてください!
悠稀。:ラスサビ前のBメロあたりには注目してほしいです。「青き、あきらめ」を持ってる世代に、ほんとうにそれであきらめちゃっていいのか?っていう声を届けられるように、特に、力と気持ちを込めて歌ったのでぜひ聞いてください。
三栖:オーケストラも入れて、歌詞もメロディラインも一見、綺麗にまとめましたが、要所要所でハッとするような本音の一言や強い単語を使っています。そこにインパクトだったり、泥臭さを感じてもらえれば嬉しいです。
考えてみたら、結局、戦争がなくなってほしい理由って、自分の幸せとか日常のためっていうことも伝えたくて。他の人のためだけには願えないけど……っていう気持ちは、当たり前の感情だし、それも愛せる人間らしさだなーって思います。そんな思いも込めた歌詞もぜひ聞いてください!
―ありがとうございました!
from00のSNS
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大学生4人が、同年代の音楽家とともに
自分たちの反戦歌を作るプロジェクト、from00#2始動。争いの終幕を信じて、僕ら00年代が届ける反戦歌。
この歌を、一緒に歌ってくれませんか。 pic.twitter.com/zQd2ncNApt
— from00 (@_from00) July 27, 2024
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@from00_ 大学生4人が、同年代の音楽家とともに 自分たちの反戦歌を作るプロジェクト、from00始動。 争いの終幕を信じて、僕ら00年代が届ける反戦歌。 この歌を、一緒に歌ってくれませんか。 #大学生 #反戦 #nowar #from00 #04 #03 #05 #fyp ♬ suara asli – Evxyn – ム O X 口
配信情報
10月30日リリース from00,悠稀。,三栖 / 家路
11月6日リリース from00,おと(CARAMEL CANDiD),Ruliea / 我々贅沢品
11月13日リリース from00,Siglinen,FILEIN / k0t0nakare
11月20日リリース from00,万優子,Terutomo Nakashima / Sphenoid’s Noise
11月27日リリース from00,高松力都,はなつばめ / 夢をみてた
12月4日リリース from00,中島りん,よしだ かなう / 証明
12月11日リリース from00 / アルバム「Blue Truth」